【美しいと思ったらそれはもう恋の始まり】

「こんなに美しい生き物がいるんだな」
って少女が言った

2024年のパリオリンピックに
まつわることで
1番、わたしが印象に残っていることは

ニュースでオリンピックの馬術を見て
乗馬を習い始めたという
少女へのインタビューで
彼女が言ったこのセリフかもしれない

オリンピック、今回も素敵なことや
考えさせることがたくさんあったけど

馬術はわたしの心の中で
大優勝だった

馬術っていう競技が人馬一体にならないと
上手くいかない
人と馬との信頼と、
馬への愛がものをいう競技だ
ってこともそうだし
これまで注目されてこなかった
メジャーじゃない種目が
結果を出して光り輝く瞬間って
なんでこんなに美しいんだろうって
心が震えた

きっと、これまでに
馬術をやってることで奇異な目を向けられたり
なかなか他の強い国と比べると
整ってない環境で四苦八苦したことも
あったんだろうな

そんな中で淡々と
ただ好きだからやり続けて
ここまで来た

そして、それが報われることがきたんだ
ってことがどうにも愛おしく
選手の皆さんも成熟してるから
慎ましく落ち着いていて
それもなんとも言えず
人生というものの深みを感じさせてくれた

そんな中で
馬術を初めて見た少女のインタビューを聞いて
「あぁ」って胸が熱くなった

しなやかに動く馬を見て
その世界に触れてみたいって思うほどに
「美しい」と思ったひとがいた

これまでも
こんな風に誰も知らないところで
静かに火は受け継がれてきたんだな

そして
今度はその輝きが遠くまで届いていって
今、こうやって
予想もつかなかった
新たな火が生まれていくんだ

このそれぞれの心に
受け継がれてきた火こそが愛
って言っていいんじゃないかなって思うし
こうして、人は発展してきたのだな

って人類の歴史の一部を
目にしたような気がしたんだ

どんな形でも
心の中の火を消さずにいたら
きっとどこかに誰かには届く

愛はきっとそういうもので
無駄なことなんて
どこにもないんじゃないか
と信じていきたい

そう思ったんだ

「こんな美しい生き物がいたんだ」
と言ったあの少女の瞳が
とても美しく透き通っていたから