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サッチモの謎 かつて仙台で訪問した「将校クラブ」は花京院にあった


2023年3月29日 6:00 河北新報 朝刊掲載
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[社会館で演奏した笑顔のサッチモ(前列右から3人目)と仙台のジャズマンら=1953年12月]

 「サッチモ」の愛称で知られる米国のジャズの王様ルイ・アームストロング(1901~71年)が戦後、仙台市を訪れて演奏した進駐軍の「将校クラブ」は現在の青葉区花京院にあり、進駐軍に接収される前は宗教団体が入居する「社(やしろ)会館」と呼ばれる建物だったことを同区の郷土史研究家千葉富士男さん(63)が突き止めた。

郷土史家・千葉富士男さんが突き止める

 サッチモが仙台の将校クラブで演奏したことは知られているが、具体的な場所は不明だった。

 千葉さんは2019年、米国在住歴のある知人から外観写真を渡され、所在地と現況を尋ねられた。知人の友人の父親が1950年ごろに運営していた将校クラブの写真と説明され、神社のような特異な外観をしていた。

 仙台の昔の地図製作に携わった経験がある千葉さんは、将校クラブが記載された進駐軍使用の地図と43年当時の仙台の地図と照らし合わせ、花京院にあった社会館ではないかと考えた。

 終戦直後の花京院を知る市民らに尋ねると、該当場所には終戦前、複数の新興宗教団体が入る施設があったことが判明。戦後は接収されて57年まで将校クラブとして利用され、進駐軍の撤収後に取り壊されたことも分かった。


千葉さんが知人から渡された将校クラブの外観写真。社会館と判明した

千葉さんが知人から渡された将校クラブの外観写真。社会館と判明した

千葉さんが知人から渡された将校クラブの外観写真。社会館と判明した かつてジャズバーを経営した千葉さんは、親交のあるジャズマンたちから「将校クラブで53年にサッチモの前座を務めた」との話を聞いていた。ジャズマンたちに改めて当時の記憶を聴き取るなどし、社会館が演奏会場と特定した。

 社会館は建物の色合いから「あかがね御殿」と称された。接収後は2階の畳の大広間が板の間に変わり、将校らが会食する食堂兼ダンスフロアになった。夜ごと日本人ジャズマンの演奏で将校らがダンスする場所に、サッチモは慰問演奏のため訪れたという。現在の「イオンエクスプレス仙台花京院店」の辺りとみられている。

 千葉さんは「仙台のジャズの聖地と言ってもいい場所。なくなってしまったのは惜しいが、往時を伝える看板を設置してはどうだろう」と提案する。

1943年当時の仙台の地図。黄色に塗られた道路の曲がり角に「社會(会)館」の文字が見える

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