Salt Sea / Jazz de 恋バナ No.74
ブラジル音楽会の巨匠セルジオ・メンデスが、9月5日に亡くなった。主にラテン音楽やボサノヴァ、サンバ、ジャズなど、さまざまなジャンルを融合させた音楽で、1960年台から世界的な人気を誇り、大の親日家としても知られた。40回以上の来日を果たし、古くは1970年大阪万博でのパフォーマンスも有名。2022年のビルボードライブ出演が最後の来日となった。代表曲「マシュ・ケ・ナダ」をはじめ、数多くのヒット曲を飛ばしてきた”セルメン”だが、意外にも自身のオリジナル曲は少ない。件の「マシュ・ケ・ナダ」も、ジョルジ・ベンの曲だ。このコーナーでは以前にメンデス作曲の中で、ジャズ界隈では有名な「So Many Stars」を取り上げたことがあるが、今回は隠れた名曲「Salt Sea」を紹介しよう。
この曲は、セルジオ・メンデス&ブラジル’66名義の、1969年作『Crystal Illusions』に収録されている。同バンドのラニー・ホール(vo)と、セバスチアン・ネト(b)との共作。派手なアレンジの施された曲が目立つ彼のバンドの中にあって、ボサノヴァ然として淡々とした曲だが、南米の海を想起させる爽やかなメロディと、詩的な歌詞が魅力的だ。
音楽の垣根を自由に飛び越え続け、長年に渡り多くの美しい音楽を遺した偉大なる音楽の巨匠。心から敬意と感謝を贈りたい。
川本睦子
Way Out West 2024.10月号
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