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ジャズギタリスト 浅葉裕文さんインタビューVol.2
(Vol.1はこちら)
──バーニー・ケッセルのギターの魅力はどんなところでしょうか?
シングルトーンのソロで始まって16分音符で速く弾いてコードソロでゴージャスに弾いてと、すごく盛り上げ上手ですよね。
ユーモアとエンターテイメント性があるというか。
ハリウッドで活躍してたっていうのもあるというか、人を楽しませようってのが伝わってきますよね。
ライブ盤だと『On Fire』なんか最高ですよね。
2曲目のJust In Timeはめちゃくちゃ速くて、ドラムもベースもついていくのがやっとで。そういうところもエンターテイメントだなと思います。
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ソロの回し方も、毎回ギター、ベース、ドラム、4バースという流れだけじゃなくて。
そういうのもいいけど毎回同じだと飽きちゃうし、そういったところも参考になりますね。
バーニーは今でもコピーするたびに毎回発見あります。
いや、もうすごい。楽しい。2時間くらいあっという間に過ぎます。
──浅葉さんがコピーしてるところを見てみたいです。
なるほどねぇ、へぇ~とか言いながら弾いてますよ。教科書ですよね。
好きってことは自分にとって正解なわけで。
正解をコピーして知っていくっていうのが楽しくて。
──じつは今日、去年イベントで浅葉さんに教えていただいたバーニーの伝記本を持ってきたんです。
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Maurice J. Summerfield(著)
レコーディングデータとかすごいですよね。尋常じゃない数で。
モーリス・サマーフィールドって人が書いてて。最近連絡取ってないですけど。
──え、連絡取ってたんですか?(笑)
連絡取ってたし、会ったし(笑)。イギリスで。
モーリスはバーニーのファンで、バーニーモデルのギターを作ろうとしてたんですよね。アイバニーズから。
動画でアイバニーズ弾いてるの見れますよ。これこれ。(スマホを見せていただき)
この時しか弾いてなくて結局気に入らずやめたみたいですけど。
──浅葉さんて行動力ありますよね。
行動力ありますねぇ(笑)。
──サンディエゴにフィリス・ケッセルに会いに行かれたエピソードもびっくりしました。
フィリス・ケッセル(Phyllis Kessel)はバーニーの最晩年の奥様です。
ドラムのたきざわあつき、彼が毎年のようにロサンゼルスにスウィングバンドを見に行ってたんです。2週間くらい。
ロサンゼルスといえばサンディエゴにフィリス・ケッセルが住んでるはずだぞと思って。
それでぼくも1週間だけ行きまして。
当然フィリスの連絡先知らないから、ネットで調べてたら、職場が出てきたわけですね。
で、職場に電話してバーニー・ケッセルの大ファンなんだけどフィリスさんいますかと。
そしたら辞めてて。でも大ファンなんですけど連絡先教えてくれませんかって粘って。
そしたらちょっと聞いてみるって、それで連絡先聞いてメールしました。
──奇跡・・・(笑)
すごいですよねぇ。3~4時間話しましたね。実際お家に行って。
──かなりのご高齢ですよね?
ご高齢でしたね。その時も80何歳でしたからね。
コロナ禍の一年目くらいにメールしたけどお元気そうでした。
──お宅には生前のバーニーを感じるものはありましたか?
ありましたね。写真見せてくれたり。
どういう音楽を聴いてたよとか色々とエピソードを聞かせてくれましたね。
珍しいレコードもくれたり。
──日本からそこまで行った人はいないんじゃないですか?
いないでしょうね(笑)
──今年はバーニーの生誕100周年だそうで。
そうですね。1923年。トリビュート盤を出せたらと思うけど難しいですよね。
Satin Dollとか圧倒的過ぎてそれ以上のプレイが想像できないですもん。
Recado Bossa Novaもそうだけど、そういう圧倒的な曲を自分がやることに怖さというか気が引けるところがあったんです。
でもやっていかないと上手くならないぞって。
今年は勇気をもってやっていこうと思ってます。
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──そういえば、先日のFacebook拝見しました。マーティン・テイラーからインタビューを受けたんですか?
夢のような時間でした😭😭😭 レジェンド、マーティンテイラーさんと約2時間の対談。いろんな貴重な話が聞けて(バーニーとの話やステファン・グラッペリとの話など)幸せでしたー。。。 Had such a great time with legendary Martin Taylor !!!! So precious and happy moment in my life.
Posted by Hirofumi Asaba 浅葉裕文 on Tuesday, February 7, 2023
そうなんですよ。
CDを発売したときのプロモーションライブ動画をマーティンがみてくれて。
In A Mellow Toneやってるやつ。
それでメールしてくれたのが最初のきっかけ。5年くらい前。
で、そのあと台湾の台中のフェスに出た時の動画を見て、またメールしてくれました。
台中ジャズフェスティバル 2019
マーティン・テイラー(Martin Taylor)とウルフ・ワケーニウス(Ulf Wakenius)はよく一緒にツアーをするんですけど、それに君も加わってグレイト・ギターズ名義でライブやろうと。
コロナ前のことだったので、その後なかなか実現できなかったけど、最近ようやく収束してきたから今年できたらいいねということで。
「Guitar Conversations」というマーティンがやってるシリーズにまず出演してくれと言ってくれたんです。
──めちゃくちゃすごい・・・!
そうなんです。すごいですよね(笑)
──いきなり連絡来た時ビビりませんでした?マーティン・テイラーだし、しかもグレイト・ギターズ名義のオファー。
ビビりましたねぇ。めっちゃ嬉しい。
ハーブ・エリスのトラでバーニーと演奏したことがある方ですからね。
グレイト・ギターズは、ジャズギター界のレジェンドであるバーニー・ケッセル(Barney Kessel)、チャーリー・バード(Charlie Byrd)、 ハーブ・エリス(Herb Ellis)の夢の共演のことです。
──最後に、ここ数年の目標はありますか?
・・・
グラミー賞ですかね(笑)
──(笑)
マーティンとウルフとのライブが実現したら嬉しいです。
あとは、この前グラミー取ったボーカルのサマラ・ジョイとか、サックスのハリー・アレンとかスコット・ハミルトンとかそういう方たちといつか一緒にやりたい。
世界のジャズフェスにもまた少しずつ出られたらなと思います。
夢はたくさんあって、どんどん拡がるって感じですね(笑)。
そういう人たちとやって、名実ともに良い音楽をやっていくことがぼくにとって幸せです。
今の時代っていうのは世界中が見てくれるチャンスがある。
だからこそ自分の分野で飛び抜けてないといけないというか。
自分の好きなことだけ出来るけど世界がライバルという風に思ってやっていかないと。
4月に韓国のスウィングダンスのイベントで演奏するんですけど。
バーニーが若手時代にバックやってたアーティ・ショウのような40年代頃の音楽に合わせて踊るんですよね。
そこらへんのギター弾くとしたら、思いつかないですからね。ぼく以外は(笑)。
古いジャズであっても、世界中にそれを好きな人がいて集まってくれる。
そういう人たちにとって決して古くない、ジャズって自由で楽しい音楽なんだって。
間違いないって思ってます。
(おわります)