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お洒落とは無縁な僕の生活(43)

 令和五年四月二十一日(金)

 寝ていた僕を起こしたのは、父の声だった。時計を見てはいないが、まだ空は白みがかっていて、いつも起きる時間よりも早いことはすぐにわかった。そして、父が声をかけるということは、雨が降っていて、駅まで送って欲しいという要望だということも。
 僕はジャージに着替えて、父を駅まで車で送っていった。雨はぱっと見は降っていないように見えたが、さらさらとした小粒の砂のような雨だった。運転していると、フロントガラスにびっしりと雨が張りつく。それで、ああなるほど、雨が確かに降っていることを納得した。
 帰ってきてから、昨日から気になっていた漫画の試し読みをする。スマホで開いたのはabemaマンガだった。ここ最近はこのサイトを気に入っている。1巻か2巻くらいまでは無料試し読みをしているマンガが多く掲載されている電子書籍サイトだった。そこで、呪術廻戦を2巻まで読む。続きが気になってきたので、残りを全巻、メルカリで購入する。中古で漫画や小説を買うときは、結構便利だ。よく利用している。
 その後、僕は昼寝ならぬ朝寝した。父に起こされたことで、いつもよりも3時間ほど早くに目覚めたので、眠気が襲ってきたのだ。しかし、昼からは歯医者の予約が入っている。寝過ごしてはまずいと思って、アラームをかけて就寝した。
 無事、アラームが鳴る前に再度目覚め、髭剃りなどを済ませた僕は、歯医者へ行った。今回は予約はしているものの、少し待たされる時間があるかも、と事前に受付の人から聞いていた。なので、文庫本を持って行く。ここ最近読んでいるのは燃え殻さんの『ボクたちはみんな大人になれなかった』だ。

燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』

 noteで連載されていた一つ一つの長さが掌編小説くらいの、連作短編集だ。作者が70年代生まれということもあって、90年代や2000年代の懐かしいもの、曲、雰囲気があって、かつ今の時代のSNSや感覚とリンクするという、いわゆるエモい感じのする小説である。小説としては、文章がちょっとぶつ切れで、上手いとは言えないまでも、燃え殻さんのセンチメンタルなイメージ、ストーリー展開、細かなところの情緒が素晴らしく、次第に引き込まれる。こんなのは僕には書けないなぁと、わずかながら嫉妬心を感じる。それでいて、読んでいる最中はタイムスリップしているような、時代を越えた感情に浸れる。
 文庫本を読んでいると、待ち時間が終わって、名前を呼ばれた。今日は親知らずを抜いた後の、経過観察と、消毒だけだ。ものの十分足らずで終わった。会計もたった180円だった。
 昼ご飯を食べた後で、お気に入りだったパステル画の額装をした。今回は立体フレームに入れて、マットで周囲を隠さなかった。今まではナチュラルは白木の色で縁を飾っていたけど、今回はオーク材のような、ブラウン色だ。そっちのほうが引き締まって見える。これからはブラウン色で飾っても良いかもしれない。
 今日の分のパステル画も描く。118枚目。田畑の風景だが、もう少しビニールの見た目など、工夫したかった。が、今はこれが自分の限界だし、他の部分は気に入っているから、満足する。

 そのあとは日誌を書いた。今日は書くのが遅くなった。朝寝と歯医者の予約が入っていたせいである。夕方以降になると、気力が落ちてきてしまうので、簡単な日誌にとどめておく。およそ1000字だった。
 夜になり、僕は『約束のネバーランド』を読んだ。5巻まで読んだが、ついに第一部が終わって、第二部突入という感じだった。孤児院から脱獄した主人公たちがどうなるのか、先が気になる展開だ。しかし何のかんのとジャンプ連載の漫画だから、もしかしたらこのままバトル展開に突入するのかもしれない。少しそれを不穏に思いつつも、満足してその夜は寝た。

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