逃病小説 #7

2021/3/15(月)②
消化器内科の窓口で書類を渡し、順番を待つ。待合室には、もちろんわたしより年上の老人も多くいたが、20〜30代と思われる若い方も結構いた。総合病院なので、「ちょっと具合が悪い」から通院しているわけでなく、かかりつけ医から「紹介状」を出されて通院しているのだろう。ガン告知されてから「みんな元気なのに、なんでぼくはまだ40代なのにガンになってしまったんだろう」という思いに駆られていたが、実はぼく以外にも大変な人は多い、という当たり前のことに気づく。
そうこうしているうちに、自分の順番が来て、若干緊張しながら診察室に入った。
担当医は「時効警察」などにも出演している岩松了似のなんとも憎めない顔つき。

岩松了氏(出典:Wikipedia)

これまでの病状を説明すると、今後の治療方針を話された。やはり入院・手術になるらしいが、胃を全摘出しなくても済むらしい。ただ、わたしのガンは胃の上部にあるらしく、胃の上部を摘出すると、胃の入口「噴門」もなくなり、それは胃液など逆流しないための「弁」の役割も果たしているらしく、術後胃液の逆流に悩まされる可能性があるとのこと。
一通り説明を受け、各種検査を行うため診察室を後にした。
つづく

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