逃病小説 #21
2021/04/22(木)
(恐らく)16:00頃
「jayuさん」
そう呼びかけられて私は目を覚ました。身体中あらゆるところに管がつけられている。手術前に麻酔科医から
「麻酔から目が覚めると時間間隔がなくなり、突然人工呼吸器などの管が身体中についていることに驚く場合があるので気を付けてください」
と言われていたので、驚きはしなかったが、麻酔から目を覚ました私は、とても熟睡した朝のような感覚だった。声をかけられた先生に
「四十肩で、肩が痛いです」などと話をしながら私は、入院している病棟のナースセンターのすぐ隣の処置室というところで翌朝まで容態を監視されることとなるのだが、この一晩が私の入院生活の中で一番の苦痛になるとは知る由もなかった…
処置室にベットごと移動して、2時間に1回体温と血圧を測られることになる。
処置室での私の状況はおおよそ以下の通り
この様な拘束された状況+四十肩による肩痛がじわじわとストレスになってくるのだ(画像は北里大学HPより引用)
そして、私は普段心療内科から処方された睡眠導入剤がないと眠ることができないのであるが、手術直後ということで薬を服用することもできない、ということは翌朝まで眠ることもできない!
この様なストレスに耐えかねて、2時間に一回の検温の際に看護師さんに
「今何時ですか?」
と聞いたときに
「夜の10時ですねー」
と答えられた時の絶望感たるや…てっきりもう早朝くらいだと思っていたのに…あと12時間くらいこの状況が続くのか!
肩は痛いわ、人工呼吸器が蒸れて気持ち悪いわ(蒸れ蒸れであまりに気持ち悪く、こっそり何回か人工呼吸器を外した。しかしほどなく人工呼吸器からピーッと警告音が出て慌ててまた人工呼吸器を付けなおすの繰り返し)
尿道カテーテルも非常にストレスになった。前日に手術の説明があった際に看護師さんから
「尿道カテーテルを自分で抜いちゃって血だらけになる人もいるので抜かないでくださいね」
と言われた言葉が思い出させる。正直血だらけになってもいいからカテーテルを抜いてしまいたい!そんな気持ちにさえなった。
ただ唯一の救いは、手術箇所の痛みがほとんどなかったことだ。もし手術の痛みが加わっていたら、正気を保てたかわからない…
そして長い長い夜が過ぎていくのであった…
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