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シンガポールの医療事情 「日本より凄い!」は本当か?

シンガポールに住んでいた頃の話。
仕事をしていたら、先日新たに雇用したばかりのメイドさんから連絡。

「腕を学校で怪我したらしく、腫れてて肘を曲げられないと言っています。骨に異常があるかも」とのこと。慌ててそのあとの仕事をすべてキャンセルし、すぐに自宅に戻りました。

たしかに、肘が腫れて、なんか変に曲がってる。…の割には痛くなさそうなのですが。

「うーん、曲げるとちょっと痛いかな。でも治ってきたような…」
なんて言っていましたが、ひとまず「KK Hospital 」というシンガポールでは大規模な病院のうちのひとつの救急へと連れて行きました。

このKK Hospital 名前は聞いたことありましたが、子どもを連れて行ったことはありませんでした。

なぜそのKKに行ったかというと、タクシードライバーさんからの情報です。

実は、オフィスから自宅に帰るタクシーの中で、いつもかかっているGeneral Hospital(かかりつけ医)というに電話をしていて、子どもの症状などを電話に出たナースに喋っているのを聞いて、タクシードライバーさんが「KK HospitalのChildren's Emergency」に行くと良いよ、と教えてくれたのです。

この国のタクシードライバーさん、かなり情報通の人が多く、こうゆう私みたいな外国人が困っている時にそっと助言をくれたりする人も多いのです。本当にありがたい限り。

ひとまず自宅で準備し、タクシーに乗せ、KK Hospitalへ直行!

着くと、普通に感動しました。

入り口からして、なんか水族館か何かみたいなんです。
子ども向けの急患窓口ということもあり、子どもがこわがったりしないように、かなり配慮されています。

「走ってはいけないよ」「こんな症状には注意しようね」
すべての壁や看板に、必要なことがきちんと描かれているのですが、それらにも、海の動物や貝殻、波などが書かれていて、子どもはむしろ大喜び。「なんか、楽しいね、この病院!」と。

入るとまずはトリアージュを受けます。そう、災害時などに、その人の怪我の度合いによって、手当ての順番を変えて、今すぐに手当ての必要な重患を見逃さないようにするあれです。

次に名前の登録と支払い。ここの病院では加入している保険のキャッシュレス対応の病院ではなかったので、まずは全額自己負担。103ドルなり。

そして次にレントゲン。やさしい笑顔の、髪にスカーフを巻いた女性技師が撮影してくれました。

そして、整形外科医のもとへ呼ばれます。ここまで、正味20分くらいでしょうか。

部屋に入ると、中華系の若い男性の先生が、「Good Evening」と笑顔でお出迎え。レントゲンを見て、最初は脱臼を疑っていたのですが、そこまできちんと?脱臼しているかどうかまで判断つかない様子。

するとベテランのインド系の先生を呼んできました。

インド系の先生は、レントゲンを見るとすぐに「脱臼はしてないけど、ほら、ここに痛みがあって、ここが腫れているから、ここの骨を拡大してみると…」と言ってやさしく子どもの手をとり若い先生にも親にも説明。そしてレントゲン写真を拡大。

すると、見えてきましたよ、ミシミシと入っていたヒビが。

「折れてるからギプス(Castと言います)して固定しようね」というと、その先生は去って行きました。

早速ギプス作成。今時のギプスってすごいんですね。なんか、穴の空いたガムテープみたいなものを子どもの腕の長さに合わせて 何層か重ね合わせる。それを水に浸けてコットンでくるんで腕につければすぐに乾いてギプスの出来上がり! ものの5分で完成します。

生まれてこのかた一度も骨折・ひびを経験したことのない私は、昔ながらの石膏で固める方法しか知りませんでした。

一応、痛み止めを出しておきます、とお医者さん。その処方箋(prescription)を隣の薬局コーナーに持って行き、ポストみたいなところにその処方箋をスライドイン。すると、その処方箋のバーコードが自動でよみとられ、奥で薬が全自動で運ばれてきてきます!どらえもんに出てくる工場みたい!(写真撮っておけばよかった…)


だけど最後は人間がしめます。ちゃんと名前に間違いはないか、薬のアレルギーは本当にないか、などを念押しして確認され、薬をゲットします。

いや、シンガポールの病院事情、正直ここまでとは思っていませんでした。

本当にすごい。そしてこのスピードと正確性。
最初に病院へ到着してから、名前やIDを確認→支払い→トリアージ→レントゲン→診察→ギプス作り→薬 まで全部で1時間で完了しました。

シンガポールの医療事情は日本を超えるレベル、とよく聞いてはいましたが、今日はまさに病院のシステムに驚きの連続でした。

子どももまるで遊ぶ場所に来たみたいな気分でいられたようです。「めっちゃたのしかったー!」と感想を残して帰路に。

もう少しで楽しみなお誕生日会なのに…とギプスをはめられた手を恨めしそうに見つめる子どもでしたが、きっとそれまでにはギプスも取れてるよ!と根拠のない励ましをして眠りました。(結局ギプスをしたままお誕生会を迎えることに)



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