MARVELはここから変わる！シャン・チー / テン・リングスの伝説が見逃せない！

MCUがおくる最新作は、心地よいまでに明快でエナジーに溢れる映画だった。

マーベル・シネマティック・ユニバースに新加入したシャン・チーはこれまでのヒーロー達とは異なるバックグラウンドを持つ。原作のコミックが発売されたのが1973年、かすかに聞き覚えがあるかもしれないこのタイトルは、当時流行していたカンフー・ブームに便乗する形で世間を圧倒させたマーベルなりの挑戦であった。シャンチーの歴史を遡ると、時代と共に欧米における“アジア人”像がいかに大きく変わったかがよく分かる。イギリス人作家のサックス・ローマーの生み出したフー・マンチューというステレオタイプな無表情の極悪中国人キャラクターがオリジナルのコミックスにも登場する。主人公シャンチーとはその息子である。原作を読めば、まるでThe Black and White Minstrel Showさながらの人種的風刺に、現代のMCUファンは驚くことだろう。