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ロゼが歌う「ア~パト、ア~パト」は、日本語では「マン~ション、マン~ション」

韓国の人気ガールズグループ、Blackpinkの元メンバーであるロゼ(ROSÉ)の「APT」が、世界的に大きな注目を集めています。ロゼが歌った「ア~パト、ア~パト」というメロディは、韓国の飲み会でよく行われる罰ゲームの一つをモチーフにしています。このユニークな発想が親しみやすさを生み、ファンの間で話題になりました。

Blackpinkは、世界中で絶大な人気を誇る4人組のガールズグループでしたが、その中でロゼは当初、他のメンバーと比べて目立たない存在とみられました。しかし、現在では彼女の「APT」が世界的なヒット曲になり、ロゼ自身も他のメンバー3人を遥かに超える大スターになりました。この逆転劇は人生が予測不可能であることを強く感じさせます。

ロゼの「APT」の流行によって、世界中で「APTとは何か?」という疑問を抱く人々が増えています。実は、「APT」は韓国語で「アパート(Apartment)」を指す言葉です。韓国語には英語の巻き舌の「R」の発音がなく、日本語のように英単語の子音に「あ、い、う、え、お」を付ける習慣もありません。そのため、ロゼがAPTを発音するときの韓国語の発音は「Apat」に近く、日本語「アパート」や英語の「Apartment」とは少し異なります。

発音だけではなく、韓国の「APT」と日本の「アパート」は概念や定義自体が違います。韓国で、APTは主にモダンな中高層の集合住宅を指し、一般的に管理やセキュリティが充実している特徴があります。一方、日本のアパートは、比較的小規模で低層の建物を指すことが多いです。つまり、韓国の「アパート」は、日本でいう「マンション」に近いと言えます。ロゼが歌う「ア~パト、ア~パト」を日本語で直訳すると、「マン~ション、マン~ション」になるということです。(笑)

こうした韓国と日本で使われる「アパート」の意味の違いを考える中で、アパートという単語の由来と、韓国、日本のみならず、英語圏の米国や英国での住宅形態を指す単語についても整理してみました。

1.Apartmentの由来

ご存じの通り、日本語の「アパート」や韓国語の「APT」は、いずれも英語の「Apartment」から来た単語です。しかし、英語の「Apartment」の由来は、フランス語の「Apartement」から派生していることを知っている方は多くないと思います。

今後、英語とフランス語の関係についても整理してみたいと思っていますが、英語はさまざまな言語から単語を取り入れており、特にフランス語の影響を強く受けています。実際、英単語の約40%以上はフランス語由来だと言われています。

「Apartement」の「ment」は、動詞に付けて名詞化する接尾語で、英単語の「-ment」はフランス語の影響を受けています。私はフランス語の語感が好きで、Duolingoを使って約1年間フランス語を学びました。フランス語では、単語の最後に来る子音を発音しない傾向があります。

例えば、「Restaurant」という単語はフランス語から来た(というか、そのままフランス語)英単語ですが、フランス語では最後の「t」を発音しません。これが英語にも影響し、「レストラン」と発音されます。同様に、「Apartement」も「アパフトマン」(フランス語のRはフに近い)と発音されます。

フランス語の「Apartement」は、ラテン語の「partīre」(分ける)や「part-」(部分)から由来しています。この語源から、初期の意味は「建物の中で分けられた空間」や「部分的に区切られた場所」だったことがわかります。そして、この意味が発展して、現在の「個別の住居」という概念に繋がったのです。

2.米国の住宅形態

さて、日本語と韓国語に影響を与えた英単語「Apartment」は、米国ではどのように使われているのでしょうか。

① Apartment

米国で「アパートメント」は、日本でいう「マンション」や「アパート」といったすべてのタイプの集合住宅に対して使われることが一般的です。つまり、低層の建物にある集合住宅だけでなく、高層の集合住宅にも「Apartment」という言葉が使われます。但し、米国のApartmentは、賃貸物件を意味する場合が一般的とのことです。

② Condominium

これに対し、アメリカで「Apartment」を所有している場合は、「Condominium」や「Condo」という用語が一般的に使われます。これらは、所有権が個々の住民にある場合の集合住宅を指します。つまり、「Condominium」や「Condo」は住人が個別に所有している一室を意味します。

また、韓国の「Condominium」や「Condo」の概念は少し異なります。韓国での「Condo」は、主にリゾート地や高級住宅地に位置する別荘のような意味で使われることが多く、ホテルと違って、個別の部屋で自炊が可能となっています。

③ Mansion

英語の「Mansion」は、日本語の「マンション」とは全く異なる意味を持っています。

英語での「Mansion」は、通常、広大で豪華な一軒家、すなわち「豪邸」や「邸宅」を指します。富裕層が所有する大きな家で、庭やプールなどの豪華な設備が整っていることが一般的です。つまり、英語の「Mansion」は、集合住宅ではなく、独立した一戸建て住宅を意味するのです。

例えば、ホラー映画でよく登場する「Haunted Mansion」は、その典型的な例です。こうした「Haunted Mansion」は、大きくて古びた邸宅で、薄暗い廊下や広い庭があり、そこに不気味な雰囲気が漂う設定です。

日本語のマンションとは大違い!

「Mansion」も「Apartment」と同様に、ラテン語からフランス語を経由して英語に取り入れられた単語です。「Mansion」の語源は、ラテン語の「mansionem」(住む場所、宿泊地)から来ており、この単語は「manere」(住む、滞在する)という動詞に由来します。このラテン語の「mansionem」は、フランス語に変化し、「mansion」として英語に取り入れられました。

フランス語の「Maison(メゾン)」は「家」を意味し、日常的に使われる一般的な単語ですが、「Maison」と「Mansion」が妙に似ているのは、どちらもラテン語の「mansionem」から派生しているためです。

④ House

「House」は英語で「家」を意味し、最も一般的な用語として、どのようなタイプの家でも指すことができます。たとえば、普通の一軒家でもマンションやアパートのような集合住宅でも、物理的に「建物」という意味で使われることが多いです。しかし、実際には上記のApartmentやCondominiumなどもあるので、Houseというと一軒家のイメージが強いと思います。

3.英国の住宅形態

英国では、モダンで高層の集合住宅を「Apartment」と呼ぶそうです。これが、韓国でいう「APT」と同じ意味合いに近いと言えます。つまり、都市部にある高層の集合住宅や日本語でいうマンションに使われる言葉です。

一方、日本でいう「アパート」や、韓国で言う「ヴィラ」は、英国では「Flat」と呼ばれます。これは、比較的小規模で低層の集合住宅に使われる用語ですが、米国ではFlatという表現は一般的ではないそうです。

米国と英国の住宅形態を区分する単語については、以下の二つの動画を参考にしてまとめました。この動画を見ると、それぞれの単語の違いが理解できると思います。

また、上記の内容をPPTで表にしてまとめてみました。

各国の住宅形態を指す単語(私がPPTで纏めたもの)

私は、英語のネイティブスピーカーでもなく、英語圏で住んだこともありません。あくまで、私が今まで聞いてきた内容や追加で調べた内容を整理してみました。もし、ご意見ありましたら、是非、コメントください。

同じ単語が違う意味で使われたり、一つの単語が国境を越え色々な形に変形していくのは、面白いですね。

今度、ロゼの「APT」を聴くときは、「あ~ロージーが言うア~パトは、マン~ションなんだな」とイメージしながら聞いてみてください。(笑)

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