もうオリジナリティは消滅した
こんにちは...!!
デアです(o|o)
今日は最近のアートの流れを掴む上で最も見逃してはいけない
事実を語ろうと思います。
この記事で一番言いたいことは、
オリジナリティはもう消滅してしまったという一つの事実です。
どういう事なのか、美術史の流れからできる限りしっかりと
説明できるように努めたいと思います。
よろしくお願いいたします🙇♂️
1. 「盗用芸術」というアート界の事件
盗用芸術とは読んで字の如く、
誰かの作品をパクッて(盗んで)作品にしてしまうという芸術の事です。
え.....それはもう”作品”じゃないじゃん( ゚д゚)
いえいえ...
これが1980年のアートの歴史から突如、芸術化してしまったのです。
ここでこの現象を語る上で欠かせない本を紹介しましょう。
こちらは、
美術評論家 椹木野衣さんの「シミュレーショニズム」という本です。
この本では「盗用芸術」をシミュレーショニズムという芸術の運動として表現し、論としてまとめられております。
ここでかつてのアートの歴史を見届けた上で、
椹木さんは、「盗用芸術」の流れに大変印象深い言葉を残しています。
「表現主義」「幾何学的抽象」「ポップ」というかつての歴史的動向
を踏まえているとはいえ、そこには、核となる堂々とした思想らしきものは見当たりません。
それぞれがそれぞれの規範とする「イズム」を現代に継承しようとするのではない。
むしろ、過去の歴史に埋葬されている、
ありとあらゆる終わってしまった様式を墓掘り人さながら
自由に借用して、それを一種のゾンビとして復活させる。
美術史におけるネクロフィリア(死体好癖)のようなものではないか、と。
そう。
「盗用芸術」とは思想がしっかりと入った従来のアートとは違い、
昔の芸術をゾンビとして復活させた上で、何か意味を持たせて、
新しいアートを再構成するという意味が込められていたのです。
これをやった代表的なアーティストを紹介しましょう。
出典:http://reinoart.blog.jp/archives/1032380401.html
マイク・ピドロさんです。
彼が残した作品はなんと、
「これはピカソではない」
「これはカンディンスキーではない」
「これはセザンヌではない」
「これはポロックではない」
「これはアンディ・ウォーホルではない」
と"作品名"が付いた通り、
確信犯的に歴代の芸術作品をそのまま写して作品にしています。
彼がしたことは自分の作品性というオリジナリティを捨てて、
再び、偉人の芸術作品を復活させて新しい問いかけを発見したことで
「シミュレーショニズム」の運動(?)の中では、
欠かせない人物となっております。
言い方を極端に崩せば、
"オリジナリティなんてクソくらえ。
そんな事をこの時代に求めたって無駄なんだよ。
むしろ、今までの作品を再登場させてもっと本質的なことを問いた方が
面白いじゃないか....!!! "
と言葉遣いは本当に悪いんですけど、
そう言っているように自分は聞こえました。
こんな風に、写真や絵などを通して、
「盗用芸術」を行うアーティストの方々が現れ、
オリジナリティの限界を自覚した後の最終手段としてのアート、
「アプロプリエーション・アート」という名前がつきました。
このアートをきっかけに、自分は、
これから現れるアートはどんなに最先端やオリジナリティを
出しているようで、実は「アプロプリエーション・アート」という仮面
をつけたアートなのではないかと疑問を持つようになりました。
(o|o)
2. サイエンスアートは一種の「盗用芸術」か?
別名は最先端アート、アートサイエンス、メディアアートという名前を持つ
サイエンスアート。
自分がとりあえず定義したこのアートは以前の記事で、
" 科学、工学などのサイエンスの要素と、
問題提起や新しい見方を提供するアートの要素を融合、衝突させた作品 "
と謳って、さも新しいアートのように作品を作っていました。
しかし、
これも誰かが作ったアート作品の様式をパクって、
新しく見せているだけなのかもしれない。
そんな疑念をずっと持っておりました。
あの最先端のテクノロジーで作られた、
チームラボの作品やライゾマの真鍋さんの作品の中にも
この要素が入っていることを美学者母さんはおっしゃっておりました。
だから、媒体を変えても、様式を変えても、思想を変えても
それは過去の蓋遺品を少しいじっただけの物であるかもしれないわけです。
これはアートに限らず、デザイン、エンタメ、今の経済や社会環境まで
スケールを広げて捉えなおすことができる考え方だと思います。
そこを「盗用芸術」はあるいに、
サイエンスアートやメディアアートでやっている
ひっそりと新しい芸術、オリジナリティとして見せている物を
堂々と確信犯的にやることで新たなオリジナリティを確立してしまった
動きだったのかもしれません。
あらゆる意味で、僕たちが考えるような「唯一無二」、「オリジナリティ」
といった物は狭い範囲でしか確立されないもので、
長い歴史の上に立てば、それらは終わってしまった概念なのかもしれません。
最後に:オリジナリティを求めるのはもうやめよう
いくら新しい物を作り上げたと思っても、
それは過去の焼き直しであることに気づいた芸術家、アーティストの方々が
「盗用芸術」という物を作り出し、「アプロプリエーション・アート」というあるいに、新しい芸術を作ったわけです。
ここで行われていることは、
「この世でたった一つ!!!!!」なんていう甘美な響きが
いかにも無残であるかということの知らしめだと思っております。
YouTubeやブログなどクリエイターの方たちには痛い響きだと思いますが、
僕たちは「オリジナリティ」、「唯一無二」といった概念を
捨てるか、超えて何か物を作っていかないといけないのだと思います。
その事を念頭に置きながら、
再び創作に戻って色々と考えていく必要があることこそ、
自分がこの記事で一番、言いたかったことです。
章の最後に、これからの創作でヒントになりそうな
自分の考える直近のアプロプリエーション・アートを紹介しましょう。
こちら、世界中で一躍有名となったBillie Eilishさんの「bad guy」の
衝撃的なMVですね( ̄‐ ̄)
ただ!!
紹介したいのはBillie Eilishさんの方ではありません...!!!!
上のMVを視聴した上で下の動画を視聴してみてください\(o|o)
「俺から出る音だけで完全再現するチャレンジ」というタイトルで、
「bad guy」のMVを確信犯的に模倣してMVを作ってしまった
すしらーめんりくさんです。
この方の行った行為は「bad guy」をクレイジーにした
「crazy guy」などと揶揄されていますが、
やっている事は前述のピドロさんの行為そのものだと思います。
そこからして、一種の「盗用芸術」に近いと考えております(o!o )
なんでもかんでもマネることが正解とは思いませんが、
「オリジナリティ」が消失した現代だからこそ、
逆に広がった新しい創作の在り方だと思っています。
その一例として、すしらーめんりくさんのMVは非常に参考になると
思いました(o|o)/
記事の最後に、
この事を教えてくれた「シミュレーショニズム」という本に
感謝と悔しさを憶えて、再び前へと進みたいと思います...!!
オリジナリティなんてクソくらえ!!!
いつか、そんなことを言える未来がくるのでしょうか....??
「シミュレーショニズム」という本については、まだ理解が追い付いていないところがあるので、今後も再び読み返して考えていきたいです。
それでは、またお会いしましょう...!!
デアッ( o|o)/~