オンライン配達サービスにおける休日手当(THR)に関する労働省の声明に関する留意事項
インドネシアでは、断食明け大祭の前に宗教大祭手当(いわゆるレバラン手当)を支給する必要があります。
2024年3月15日、インドネシア労働省は2024年の宗教大祭手当(tunjangan hari raya(以下「THR」といいます。))の実施に関する通達(No. M/2/HK.04/III/2024)を発行しました。
この通達には、企業の労働者に対する宗教大祭手当に関する労働大臣規則2018年第6号やその他の関連法令とは異なる内容は記載されていません。
それにもかかわらず、2024年3月18日(月)、労働大臣はこの通達に関する記者会見を行い、オンライン配達サービスを行うドライバーは、労働省が宗教大祭手当の支払いを推奨しているドライバーに含まれると言明しました。仮に契約が労働契約ではなく他の契約であったとしても、彼らは有期雇用契約(perjanjian kerja waktu tertentu(「PKWT」))に分類され、本通達の対象となるとのことです。
同声明はニュースで広く報道され、世論の反響を呼びましたが、法的な側面から言えば、業務委託契約(パートナーシップ)に基づく配達事業者に対して、依頼企業が宗教休暇手当(THR)を提供する義務はございません。
例えば、ある判例では、業務委託契約によるパートナーシップ関係は有期雇用契約とはみなされないと判断している。これは、運転手の収入が歩合の手数料に基づいているためであり、賃金としての要素がないからであると説明されています。
別の判決でも、運転手には出勤の義務がないこと、勤務時間や休日の設定もないことから、同様の判断が下されています。
これらの判決では、労働契約の本質的要素である指揮命令(perintah)の要素が存在しないため、雇用契約とはみなされなかったものであり、その意味では日本における労働法と同様の基準により判断がなされたと言えます。