大学卒業後、就職せずにフランスへ
私は一度も就活をしたことがない。
一応、お嬢様大学と呼ばれるところに在学していたが、性に合わず、そして馴染めずに4年が過ぎ去ろうとしていた。
ずっと教員になろうと小学校時代から思い続け、教員採用試験も一応受けた。
自信はあった。それなりに勉強したから。
そしたらあっさり落ちた。
回答欄を一つずらして記入していた。もう一方の試験は9割ほど取れていた。回答欄をずらしたもう一方は3割程度だった気がする。
情けない自分に笑えてきた4回生の7月。周りはほとんど就活も終えて落ち着いていたころ。
10月1日、確か周りは入社式でにぎわっている中、一人でフランスへ行った。
パリで高校時代の男友人と待ち合わせ。その友人は世界一周中だった。
二人でノートルダムへ。そのあと、高速鉄道のRERに乗ってベルサイユ宮殿を一緒に見てきた。
帰りのRERの車窓から長閑なパリ近郊の風景を眺めながら私は
「いつかフランスに住みたいな。」
とつぶやいた。何気ない一言。
そしたら男友人
「住めばいいじゃん。」
なんて、軽く言うもんだから笑っちゃったけど、当時の私からしたら
「それっていいかも。」
って本気で考え始めちゃった。
「ねぇ、どうやって住めばいいの?」
「調べればいいじゃん。」
あぁ、そっか。調べればいいやって、ちょっとずつ男友人に聞きながら住む方法を調べた。
就職しない生き方。
周りは進路が決まる中、私は違う生き方を探していた。
人とは違う生き方。
レールから外れてみた。自ら。
不安だったか?
いや、フランスに住む自分を想像していたら、楽しくてしょうがなかった。
よし。住んでやろうじゃないか。
人生一度きりなんだから、やってみたいことやろう。
大学卒業後にフランスへ1年ほど住んだ。
楽しかった。本当に楽しかった。
後悔は一度もない。
むしろ、一年自由に過ごしてたくさん遊んで勉強して、就職した皆さんには
「なんだかごめんなさいねぇ~。」
っていう気分。
フランスに住もうと思ってから約4年が経った今、
またフランスへ移住しようと考えている。
26歳、夏。片道切符を持って行ってきます。