【日本学術会議 任命拒否問題】 各国アカデミーの機能と役割

助言機能
 欧米・アジアを問わず、ほぼすべてのアカデミーは、政府や議会に対して助言を行うことが期待されています。助言は報告、勧告、答申、談話の形で出され、報告書の内容のレベル、信頼性に、アカデミーの真価が問われます。
 報告書は、アカデミーが自発的に行うものと、政府や民間とのコントラクト(契約)によるものの2種類にわけられます。欧米諸国のアカデミーではコントラクトによる報告書の数が多く、『各国アカデミー等調査報告書』では「この違いが日本学術会議と欧米諸国のアカデミーの活力の差となって表れていると感じられる」と指摘しています。


栄誉・顕彰
 諸外国のほぼすべてのアカデミーは、各国学術界の最高組織として位置づけられ、学術上功績顕著な科学者に対して価値ある顕彰を行う機関としての機能をもっています。
 ※日本学術会議は栄誉・顕彰機能を持たず、その任を担うのは日本学士院。
 ※同じように栄誉・顕彰機能を持たないアカデミーとしては、ドイツ研究協会(Deutsche Forschungsgemeinshaft)、ドイツ学術アカデミー連合、カナダ人文・社会科学連盟(Humanities and Social Sciences Federation of Canada)、スイス科学アカデミー、ポーランド科学アカデミー、米国学術団体評議会、米国社会科学研究会議など。


助成機能
 欧米の半数以上のアカデミーは助成金制度を有しています。スウェーデン王立科学アカデミー、ポーランド科学アカデミー、イタリア学術研究会議などのアカデミーでは、自らの下に研究機関を保有しています。中国科学院は120あまりの研究所を保有しています。
 ※日本学術会議は研究助成の機能を持っていません。

普及活動
 科学の一般社会への普及活動は出版やシンポジウム開催などをとおして、各国アカデミーともに盛んに行っています。

国際活動
 ほぼすべてのアカデミーが、国際学術団体・海外アカデミーとの連携を行なっています。国際学術機関への参加、議論のための会合の開催などのほか、二国間協定・協力をおこなうアカデミーもいくつか存在します。また、ICSU(国際科学会議)、IAP/IAC(インターアカデミーパネル/インターアカデミーカウンシル)を共通して支援しています。


出典:『各国アカデミー等調査報告書』(日本学術会議)

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