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風水フェスのベアルクティ研究

 遊戯王マスターデュエルにて「WATER&WIND」フェスが開催されている。名前の通り風と水属性しか使えない縛りなのだが、私はベアルクティが使えそうなフェスではベアルクティを使うことにしている(例:シンクロ限定フェス)。

 理由としてはベアルクティが「ランクマで使えないレベルのパワーでありながら、やることが先行での完全制圧しかないので、カジュアルなフレンド戦に持っていくと不快すぎて縁を切られる」というどうしようもない性質をもっているため。
 今まで細々回して培ってきた知見を活かす舞台がフェスしかないのだ。
 MDでは「顔の見えない相手はいくらでも不快にして良い」となってるからね。しょうがないね。

 今回のフェスではベアルクティへの追い風となるポイントが2つある。

①主要な手札誘発不在
 特にGとニビルの不在が大きい。ベアルクティは特殊召喚しかせず、ゴールであるセプテントリオンまでに多量の特殊召喚を強いられ、途中で止まるという選択肢がないので誘発受けが極めて悪い。
 通常のデュエルでは仮に先行取れてもG弾けなかった時点で投了なので、このフェスは非常に快適。

②水風縛りがデメリットではない
 ベアルクティはセプテントリオンを出すことに全力を出し切って他に何もできなくなるようなテーマであり、属性縛りは余剰ギミックの選択肢が減るだけ。
 むしろ周りがパワーダウンするメリットのほうが大きい。

 というわけで一般ランクマだと苦行でしかないベアルクティを使う舞台が整っているらしい。
 さっそくデッキ紹介!と行きたいところだが、現行デュエリストであっても今のベアルクティの展開を理解している人は僅かだと思うので、先に軽く概要をさらっておく。

なお以下
レベル7のベアルクティを7クマ
レベル8チューナーのベアルクティを8クマ
レベル1シンクロベアルクティを1クマ
と呼称する


 

◯ベアルクティの基礎

 ベアルクティとはセプテントリオンを出すテーマである。
こいつはいるだけでエクシーズ、リンクへの封殺効果を発揮するぞ!
なお耐性は全く無く、ライストでも反逆の罪宝でも心変わりでも速攻死ぬが、ベアルクティ使いは全幅の信頼をもってこいつを叩きつけるほかない。

 ごちゃごちゃと召喚条件が書かれているが、最近強化された際、この条件を維持して強くするのは不可能だと悟ったらしく、諸々すっ飛ばして出せるようになった。次のカードを見てくれ。

 このカードと手札の8クマをリリースしてセプテントリオンを出せるらしい。
これだけでは消費が大して変わっていないように見えるが、母艦と合わせることで突然バグり始める。

 ①のリリース肩代わりをポーラスターの効果に適応すると、なんと墓地コストのみでセプテントリオンが立つ!そんなことしていいの??
 さらにポーラスターから出てきたセプテントリオンは融合、シンクロへの発動無効を課すため、ほぼ相手のEXを封じることができる!
ここまできたらようやく強いかも……。

 つまり今のべアルクティは「母艦に触ったあとポーラスターを出す」ことに全力を賭すテーマになっている。

 ビックディッパーは初代1クマのポラリィか、ポーラスターと一緒に出たベアトロンαからアクセスできる。

 差が1になるマイナスチューニングを2回するか、ベアトロンαの効果によって他の魔法罠をサーチしなくていい状況で1回マイナスチューニングするか、どちらかを目指すというわけ。

 やることがわかったところでようやくデッキ紹介。

 

◯デッキ概要

 ベアルクティは過去にラー型、ガイア型、幻魔型、ディーヴァネプト型などあり、今回のイベントでもディーヴァネプトは使えるのだが、最近異常強化された氷結界を合わせることにした。

 威圧的な皆既日蝕3積みは後手取られたら終わるという精神の現れなので気にしないでください。

 最初は鏡魔師から出るトークンとレベル2になった霜精で簡単に1クマ組めるじゃ〜んという安直な考えから始まり、よく見るとベアルクティシンクロは素材を墓地に送って行う必要があるためトークンは使えず速攻プランが崩壊した。バカがよ。

 にも関わらずそのまま使っている。何故か?
今の氷結界は霜精、鏡魔師、ゲオルギアスの最低限の出張から3素材アーケティスが簡単に組める。つまり手札1枚消費で3枚ドローでき、2枚増える。

 ベアルクティとは「先行とって手札7枚あったら最強なんだけどな〜」とほざく温室育ちのぼっちゃんみたいなテーマなのだが、この初動なら達成できる。召喚権も別にいらないし、水シンクロ縛りも関係ないため都合が良い。
 でも、ここから先ベアルクティで動けるかは引けるかどうかの運じゃん。と仰る人もいるだろう。

 ただ、今まで最良に近い構成だったディーヴァネプトで動くパターンと比べてみると……
こちらでは深海のディーヴァ+ネプトアビスでポラリィを作る過程で2枚のポセイドラをサーチし、コストを確保できる。
 だがここから先動けるかは結局初手でベアルクティを引いてるかどうかで決まる。つまり運じゃねぇか!
 増えた手札の量も変わらないため、+3枚分ベアルクティ関連カードを試行できる氷結界のほうが良い気がしてくる。

 さらにディーヴァネプトの問題点としてデッキ内にゴミがものすごく多くなる。
完全素引き不可の竜騎隊に、NSからで動けはするもののポラリィ不成立になるネプトアビス、展開上でサーチしてこないとロスになるポセイドラ2枚と非常にストレスの溜まるデッキ構成を強いられる。早く新規来てくれ。

 氷結界式だとそもそも構成枚数が少ない上にゲオルギアス素引きOKなためかなり快適。
 鏡魔師素引きだとレベル7ベアルクティを引いていないと動けなくなくなるが(フェスのレギュでアルミラージが禁止のため)、それでも引き状況による詰みが格段に起こりにくい。
 また盤面に残っているアーケティス、レベル5鏡魔師も結構都合がいい。そのへんは追って展開解説で説明していく。

 なおゴール地点を明示しておくと、景気よくぶん回った場合以下のような盤面になる。

 セプテントリオンによるEX封殺+ビックディッパーによるコントロール奪取までは確定、その他引き次第でエジルギュミルやドラガイトが立てれたり、手札のベアルクティが妨害になったりする。
 このフェスにおいてはかなり重い先行盤面を築けるテーマなんじゃなかろうか。というかこれで弱いとなるといよいよベアルクティの存在価値が無いので、“これが最強”ということにして話を進める。

 

◯展開例

基本の氷結界初動

まずは先程の盤面に到達するための霜精からの動き

①霜精NS、効果で鏡魔師を墓地へ
鏡魔師の効果でゲオルギアスをサーチ(紋章を噛ませるとデッキ圧縮できるがドロバで死ぬ)

②ゲオルギアスを自身の効果でSS、鏡魔師を蘇生

③鏡魔師の効果で霜精をリリースし、自身のレベルを5にしてトークンを3体生成

④ゲオルギアス+トークン×3→アーケティスS召喚。効果で3枚ドロー

 もしディーヴァから入った場合、モンスターを減らすために若干もったいないがディーヴァ+霜精でエリアをL召喚したあとリリースする。

 そしてここから手持ち次第でどういうルートを通るか選択していくわけだが、最低限動けた場合として
①ミクポーラ+コストを引いていた場合
②8クマ+ベアトロンα+コストを引いていた場合
の2パターンにおいて、完全体セプテントリオンを出すまでの流れを記す。

【1】ミクポーラパターン

①手札のレベル7以上を切ってミクポーラをSS
効果でベアトロンαをサーチ

②ベアトロンαをSS、効果でディパーチャーをサーチ

③ディパーチャーを発動、7クマと8クマをサーチ

④7クマを切って8クマをSS

⑤ミクポーラ+8クマでポラリィをマイナスチューニング。効果でビックディッパーを発動

⑥ポラリィ効果で場のベアトロンαと墓地の8クマを入れ替え

⑦8クマ+アーケティスでポーラスターをマイナスチューニング

⑧ポーラスターの効果をビックディッパーで肩代わりして、完全体セプテントリオンをSS

【2】8クマ+ベアトロンαパターン

①手札のレベル7以上を切って8クマをSS

②ベアトロンαをSS、効果でビックディッパーをサーチし発動

⑦8クマ+ベアトロンαでポーラスターをマイナスチューニング

⑧ポーラスターの効果をビックディッパーで肩代わりして、完全体セプテントリオンをSS

 弱小テーマ特有の2枚サーチであるディパーチャーを引いていた場合は【2】に合流する。

 また、ビックディッパーやディパーチャーの素引きでベアトロンαのサーチが浮いた場合はラディエーションをサーチすることで宇宙創造が始まる。

 昔のベアルクティと比較すると、ビックディッパーの素引きを許容できるようになったのがアツい。
 ポラリィしか居なかった頃は引いてたら単純に一枚損だったからね。

 じゃあ複数枚入れてもいいかとも思うのだが、そうするとアーケティスやラディエーションでドローしたときのハズレが増えるので最低枚数にしている。
 確実にアクセスしたいラディエーションを2枚にとどめているのも複数引きが弱いため。

 ところで【1】【2】のどちらでもレベル5の鏡魔師と1クマが余っているため、ドゥローレンを作ることでラディエーションを置き直せる。
 
 また、氷結界初動において紋章を重ね引きしていたり、ゲオルギアスを最初から引いていた場合は鏡魔師から晶壁をサーチしておくのだが、その時はドゥローレンを作った後晶壁を発動し、鏡魔師を蘇生する。
 すると晶壁も回収でき、さらに2+6でドラガイトを作ることができる。強い。

 

 なお、もし初手で霜精・7クマ・コストの3枚が揃っている場合は、アーケティスの成立より前に7クマをSSし、ゲオルギアスとミクポーラでポラリィを先に作ることで4素材アーケティスが成立する。

 お得感があるが、レベル5鏡魔師を使うのと、この先8クマが居ないとポーラスターが確定しないため、手札が揃ってない場合だとやや博打に近い。7クマがミクポーラであればベアトロンα経由で確定させれるのでヨシ。
 晶壁が手札にある場合は、この展開だとドラガイトが成立しなくなるので通常ルートの方が良い。

 

 フェスにいる他の水デッキの例に漏れずエジルラーンが3積みされているのだが、ベアルクティにおいてはギュミルを作る以外の用途もある。

 例えば氷結界初動からミクタナス+8クマを引き、一回目のマイナスチューニングはできそうだが他にベアルクティがいなくて止まってしまいそうな手の場合、ラーンを引いていると
ポラリィを作る→ラーンを出す→ラーンと8クマを入れ替える
と動くことでポーラスタールートに合流できる。
余ったレベル3トークンも鏡魔師とドラガイトになれるため無駄がない。

 

◯まとめ

 今回のデッキは特に何も参考にしていないが、簡単な構造なのでたぶん他にやってる人いるだろうし、記事もあるかもしれない。
ただ、今回久しぶりにベアルクティを触れて、構築を考える楽しさを味わえたので記念として記事を書くことにした。

 ベアルクティは手札次第でルートを考えていくパズル的な面白さがあり、慣れればとても楽しい。相手は楽しくないと思うが。

 先行封殺以外の使い道を思いつくか、ゴキブリ飛んできてもびくともしない最強の構築を思いつけたらまた何か書くかもしれない。

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