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敬遠していたシステム手帳を手に入れた話〜ヨシタケシンスケ展にて〜

システム手帳をあえて手に入れないことにしていた。

システム手帳とのかかわり

人生で初めての自分の手帳は、ミスドでポイントを貯めてもらえる景品だったと思う。
小学生の時、カバーに写真が挟めるシステム手帳タイプのものだった。
水族館のイルカショーの写真を入れて、わくわくと眺めていた記憶があるものの、スケジュール帳として使った記憶はとんとない。
以降、システム手帳は人生の中でぽつぽつと縁が出来かけてはどこかにいってしまっていた。
そんなわたしがこのたび、システム手帳を手に入れたので、ちょっと聞いてほしい。

学生時代から何度もルーズリーフを使っては挫折しているわたしには、差し替え式の手帳というのはハードルが高い。

まず真ん中にあるリングが嫌だ。
ベタッと手の横を紙面についてしか字がかけないため、リングがあるとだいぶ書きにくい。
しかもリングの金具が重くて、幅を取る。
前回の記事で、現在手帳としてロルバーンを使っていることを書いたが、リングノートを自分が使っていることですら奇跡のように感じるのに、システム手帳なんて、ありえないと思っていた。

そして、差し替え式という、多くの人にとって利点であるはずのものが、完璧主義のわりに不器用なわたしにはうまく使いこなせなかった。
どうしてもこの一枚のルーズリーフがうまく書けた気がしなくて、何度もやり直したくなってしまう。
失敗したページは外して捨ててしまえばいいのだから、どこまでも些細なミスが許せず完璧を追求したくなる。
とても実用的な状態で使えず、失敗したら諦めるしかない綴じノートを使うことが多かった。

学生時代に差し替え式ノートとの相性の悪さを自覚していたが、社会人になってからも二回、システム手帳と縁が出来たことがある。

まずは就職が決まったとき、叔父がお祝いとしてくれたのだ。
バイブルサイズの、たしかレイメイ藤井の赤い立派なシステム手帳。
あまりに立派すぎて、嵩張るし重たいし、怖気づいて結局一度も使わなかった。
気持ちはありがたかったけど、ちょっとわたしには向いていなかったのだ。
それから、手帳術に凝って調べていただき、あな吉手帳を知って道具を揃えた。
ところが主婦でもないし、マメでもないわたしは始める前に挫折した。
この経験を持って、いよいよシステム手帳に向いていないと悟ったので、今後の人生で一生システム手帳には近づかないでおこうと決意した。

ヨシタケシンスケ展かもしれない

ところで、先日横浜に知人に会いに行った。
知人とは夕方から会って夕飯をご一緒する予定だったが、せっかく横浜に行くのにそれだけですませるのはもったいない。
わたしは横浜で覗きたい店を片っ端からリスト化して横浜駅周辺をお昼からうろうろと歩き回った。
そしてあらかたの買い物を終えて、待ち合わせまで1時間ほどになった時、ここも行きたいと思っていたそごう美術館に足を運んでみた。

わたしはてっきりプラネタリウムクリエイターで写真家のKAGAYAさんの展示をしていると思っていたのだ。
ところが、現地で調べてみるともう終了していて、今週から絵本作家のヨシタケシンスケ氏の展示になっているという。
ヨシタケシンスケ氏を知らないわけではないが、ちゃんと著作を読んだことはなかった。
でもせっかくだし、面白そうだから見てみることにした。

結果としては、とってもよかった。
ぜひ知人にも見て欲しくて、合流後もう一度入り直すくらいめちゃめちゃよかった。
絵本の構想メモもなるほどとなってよかったし、ちょっとした体験みたいなものもあって楽しいし、立体には好きな作品があった。

しかしなにより圧巻されたのは、壁一面のスケッチメモの展示だった。

ヨシタケシンスケ氏のイラストがかわいらしいのはもちろん知っていたが、好きとか嫌いとか考えたこともなかった。
たまに本屋で絵本や挿絵を描いた本が目に入って、あ、りんごかもしれないの人だ!と思うくらい。
でもスケッチを見ていて、この方の世界を捉える眼と、その眼で切り取られてペンで再現されたイラストに魂を掴まれたような気がした。
とても展示として見切れるものではないので、全てのスケッチを何日掛けてでも読ませて欲しいと強く思った。
いくつか好きなメモは写真に撮ってきたので、見返してはじんわりと良さに浸っている。
ああ、良いものを見たなぁと言う満足感でグッズコーナーに差し掛かった時、それはあった。

ヨシタケシンスケ氏のスケッチ用の手帳のレプリカが売っていたのだ。

ヌメ革の感じも素敵で、真ん中にヨシタケシンスケ氏の焼印がこじんまりと押された、シンプルで機能的なM6サイズのシステム手帳…!

欲しかった。ものすごく持って帰りたかった。

でも一度は我慢したのだ。
即決していいようなお値段でもないし、そもそもシステム手帳はあんなに挫折してきてるし、手帳はロルバーンで満足してるし、どう使うつもり?
革の表紙の手帳なら、トラベラーズノートも持ってるけど活用できていないだろう?

頭の中で言い聞かせて、売り場を離れた。
一度は。
そして知人を連れてもう一度見て回って、今度は買ってしまった…。
だってすごく魅力的だったんだもの。
絵も字もちっとも上手じゃないけど、わたしもヨシタケシンスケさんごっこがしたい!!

そんなこんなでいまわたしの手元には、ヨシタケシンスケ展のグッズとして売られていた本革製のシステム手帳がやってきた。
この手帳をどのようにセットアップするかは、また次の記事で。

M6穴サイズの手帳
ヨシタケシンスケモデル

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