webアンケートの作成と調査の実施~spssによる統計解析までの手順③ Googleフォーム→Excel→SPSS

Googleフォームを使えば簡単にWebアンケートを実施できますが、
そのデータは適切に処理しなければ、正確な知見が得られません。
本テーマ第3回の今回は、Googleフォームで収集したデータをExcelに変換し、SPSSに取り込むまでの具体的な手順を解説します。

データを集めたはいいものの、「どうやってSPSSに取り込めばいいの?」「Googleフォームのデータをそのまま使えないの?」と困っている方はぜひ!「Googleフォームの回答画面の見方」から、「Excelでのデータ整理」、「数値変換の方法」、そして「SPSSへのデータ読み込み」まで、実際の操作画面を交えて詳しく説明します。データ処理のコツや注意点も紹介します。
量的調査をスムーズに進めたい方にとって必読の内容です。

本記事を読んで、Googleフォーム → Excel → SPSS の流れをしっかり理解し、データをスムーズに分析へとつなげる力を身につけましょう!


1.Googleフォームの回答画面の見方

確認したいGoogleフォームを開き、画面上部の【回答】をクリックします。【回答】の横には、届いた回答数が表示されます。

回答の確認方法は、①【概要】②【質問】③【個別】の3種類があります。目的に応じて、それぞれのタブをクリックすると、回答内容を確認できます。なお、回答者が1人もいない状態(回答数0)の場合は、【概要】【質問】【個別】のタブは表示されません。

2.Googleフォーム→スプレッドシート→Excel

1)フォームとスプレッドシートの連携

①Googleフォームを開き、画面上部の【回答】をクリックします。
②【スプレッドシートで表示】をクリックします。

2)スプレッドシートの確認とExcelへのダウンロード

③自動的に開かれるスプレッドシートで、フォームの回答が記録されていることを確認します。
④スプレッドシートが開いている状態で、画面上部の【ファイル】をクリックします。
⑤【ダウンロード】を選択し、一覧から【Microsoft Excel (.xlsx)】をクリックします。

⑥Google Chromeの場合、画面右上のダウンロードアイコンをクリックします。
⑦「最近のダウンロード履歴」内に表示された該当のExcelファイルの右横にある【開く】をクリックすると、Excelデータが自動的に開かれます。

3.Excelでの下処理(文字データの数値化)

1)SPSS読込用データセットの基本ルール

SPSSに読み込ませるExcelシートは、SPSSで処理しやすい形式に整える必要があります。最低限、以下の3点を守ってください。
①Excelの1行目に変数名を入力する(リレーショナルデータベース(RDB)形式で入力)。
②データ内の余計な文字列や装飾を削除する。
③Excelファイルの保存形式を「.xlsx」「.xls」「.csv」のいずれかにする。

2)文字データの数値変換

SPSSで統計処理を行う場合、文字データを数値に変換する必要があります。数値変換の方法には、以下の3通りがあります。
直接入力:変換数が少ない場合に適しています。
置換機能を利用する:単純な変換の場合に便利です(例:「男性」→「1」)。
IF関数を利用する:複雑な条件で変換する場合(例:空欄の欠損値入力など)に適しています。
※ ②と③の手順については、以下で詳しく説明します。

2-1)Excelシートのコピー方法≪重要≫

数値変換を行う際は、必ず元のシートを残したうえで、新規に数値変換用のシートを作成してください。

①コピーしたいシートのタブ(画面下部のシート名)を右クリックします。
②表示されたメニューから「移動またはコピー」を選択します。
③「コピーを作成する」にチェックを入れる。
④コピーを作成する場所を選択し、【OK】をクリックすると、シートが複製されます。

2-2)置換機能を用いた数値変換の方法

(1)「検索と置換」ウィンドウを開く
①Excelを開いたら、画面上部の【ホーム】タブをクリックします。
②『編集』グループ内の【検索と選択】をクリックし、【置換】をクリックします。「検索と置換」のウィンドウが表示されます。
※ ショートカットキーも利用可能です。(Windows:Ctrl + H、Mac:Command + H)

(2)置換する内容を入力
④【検索する文字列】に、変換したい文字(例:「男性」)を入力します。
⑤【置換後の文字列】に、変更後の数値(例:「1」)を入力します。
⑥置換の実行
 置換内容を確認したうえで、以下のいずれかを選択します。
 「すべて置換」:検索結果を一括で置き換える。
 「置換」:一つずつ確認しながら置き換える。

2-3)IF関数を用いた数値変換の方法

IF関数の基本構文
=IF(条件, 真の場合の値, 偽の場合の値)
※ 複雑な条件分岐を設定する場合、偽の場合の値にさらにIF関数を追加することが可能です。

例:文字データを数値に変換する場合
 
以下のように「性別」の文字列を数値に変換できます。

① 列の挿入(必要に応じて)
「性別」の文字列がA列に入力されている場合、B列に新たに空白の列を作成し、変換後の数値を入力します。(手順:①B列の上で右クリック → ②【挿入】を選択)

② IF関数を入力
B1セルに変数名を入力した後、以下の関数を入力します。

パターン1:「男性」を「1」、「それ以外(空欄・女性・その他)」を「0」に変換
=IF(A2=”男性”,1,0)

パターン2:「男性」を「1」、「女性」を「2」、「その他」を「3」に変換
=IF(A2="男性", 1, IF(A2="女性", 2, 3))

パターン3:「空欄」を「8888」、「男性」を「1」、「女性」を「2」、「その他」を「3」に変換
=IF(A2="", 8888, IF(A2="男性", 1, IF(A2="女性", 2, 3)))

④関数を全データに適用
B2セルに関数を入力後、セルの右下にマウスを合わせ、「+」マークを下方向にドラッグ(オートフィル機能)すると、列Aのすべてのデータが数値に変換されます。


3)複数回答可とした場合の処理方法

Googleフォームで「複数選択可」の質問を設定した場合、Excelに出力されるデータは1つのセル内にカンマ区切りで記録されます。これを数値化するためには、選択肢ごとに列を分け、その後、数値に変換する必要があります。以下の手順で処理を行ってください。

①データの分割(区切り位置機能を使用)
分割したい選択肢の数 - 1 の列を新たに挿入する
例:選択肢が「運動系・文化系・音楽系・していない」の4択の場合、3列を追加します。

②分割したいデータの列を選択する(今回の場合はA列)
③【データ】タブをクリックする
④データタブ内の【区切り位置】をクリックする
⑤ポップアップ画面で「コンマやタブなどの区切り文字によってフィールドごとに区切られたデータ(D)」を選択する
⑥【次へ】をクリックする
⑦「区切り文字」内の【コンマ】と【スペース】にチェックを入れる
⑧データのプレビューで、適切に区切られているか確認する
⑨【完了】をクリックする

⑩ 分割されたデータを数値変換する
分割したデータの後ろの列に、選択肢の数と同じ数の列を追加し、0/1の数値データに変換します。
その際、IF関数とOR関数を組み合わせることで、作業効率を向上させることができます。
以下のIF関数を使用すると、セル A102, B102, C102, D102 のいずれかがセル G1 の値(文字)と一致している場合は「1」、一致していない場合は「0」を返す処理が可能です。

分割されたデータを数値変換する処理の流れ
① 分割後のデータの後ろに、選択肢の数と同じ数の列を追加する(0/1変換用)。
② 各選択肢の名称をG1, H1, I1…のように1行目に入力する。
③ G2セルに上記のIF関数を入力し、列のデータ範囲全体に適用する(オートフィルを使用)。
④ 変換結果が正しく出力されているかを確認する。
この方法を使用すると、複数選択されたデータを効率的に0/1データへ変換できるため、SPSSなどでの統計処理がスムーズになります。


4)SPSS読込用シートを作成する

SPSSにデータを読み込ませるためには、数値化した列のみを残し、文字列データを削除する必要があります。

⚠ 重要ポイント
SPSS読込用シートを作成する際は、必ず「元のシート」と「数値変換後のシート」を残したうえで、新規にSPSS読込用のシートを作成してください。

手順
①SPSS読込用の新規シートを作成する。
②文字データの含まれる列を削除する。
 例:データに【性別】【性別(数値変換後)】【年齢】の3列がある場合、【性別】(A列)は文字データのため削除する。
③数値データのみが残っていることを確認する。
この作業を行うことで、SPSSが適切にデータを認識し、スムーズに解析が可能になります。


3.SPSSへのデータ読込み

より詳細な説明は、公式の概要ガイドを参照してください。

1)SPSSにExcelを読み込む

①SPSSを起動し、「SPSSへようこそ」のページを閉じる。
②閉じた状態のSPSS読込用シートが含まれたExcelファイルを、SPSSのウィンドウにドラッグ&ドロップする。

2)Excelファイルの読み込み設定をする

ExcelファイルをSPSSに取り込む際に、「Excelファイルの読み込み」ダイアログで適切な設定を行います。以下の手順に従い、正確にデータを読み込みましょう。

① ワークシートの選択
ワークシート (K)」のリストから、分析に使用したいシートを選択します。
今回の場合は、「SPSS用」(②に示されている部分)を選択します。

② 変数名の設定
「データの最初の行から変数名を読み込む (V)(③に示されている部分)」に必ずチェックを入れる。
※このチェックがない場合、最初の行のデータが変数名として認識されず、正しく読み込まれない場合があるため注意してください。

③ その他のオプション設定
 以下の設定を適宜確認し、必要に応じてチェックを入れます。
 「非表示の行と列を無視 (I)」:チェックを入れることで、Excelの非表示部分をデータとして読み込まないように設定できます。
 「文字列値から先行スペースを削除 (M)」および「文字列値から後続スペースを削除 (G)」:余計なスペースを削除することで、データの整合性を向上させます。

④ プレビューでデータの確認
「プレビュー (W)」の下に表示される表を確認し、実際に読み込まれるデータをチェックします。
変数名やデータが正しく認識されているか確認し、問題がある場合は設定を修正してください。
特に、変数名に日本語を使用している場合は、プレビューで正しく認識されているか必ず確認しましょう。

⑤ データの読み込み
設定内容を最終確認し、問題がなければ 「OK」 をクリックしてデータをSPSSに読み込みます。

まとめ

・Googleフォームでの回答の確認方法
 
「概要」「質問」「個別」の3つのタブを活用し、目的に応じてデータをチェック
・Googleフォーム → Excelの変換方法
 スプレッドシートと連携し、Excel形式でデータをダウンロード
・Excelでのデータ整理(前処理)
 SPSSで扱いやすい形式にするためのルールを確認
 文字データを数値データへ変換(置換機能・IF関数の活用)
 複数回答項目の分割処理
SPSSへのデータ読み込み
 
SPSS読込用のシートを作成し、余計な文字データを削除
 ExcelデータをSPSSにインポートし、変数名やデータ形式を適切に設定

Googleフォームで集めたデータをExcelで適切に処理し、SPSSでスムーズに分析できるようになれば、量的調査の精度が大幅に向上します。
次の記事では、SPSSを使った統計解析の具体的な手法について解説していきますので、ぜひチェックしてください!

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