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PTAは必要か?「日本PTA全国協議会」の報道を受けてPTAのメリット・デメリットを検討

本日、「日本PTA全国協議会」に関する報道がありました。PTA会長としての経験から、今回の状況をまとめ、自分なりの見解を述べたいと思います。

まず、今回の報道によると、以下のような状況になっていると思われます。

PTAへの賛否と議論の分断

私はPTAの運営に携わってきた立場ですが、報道を見ていると、PTAに対してネガティブな意見を持つ人が多いと感じます。ポジティブに捉える人とネガティブに捉える人の間で意見の分断が大きく、議論が極端になりがちです。

PTA会長などの経験者が課題や問題点を指摘することが少ない現状を踏まえ、建設的な解決策を模索するために、なるべく論理的にPTAの役割や問題点について解説したいと思います。

PTAの役割とその意義

まず、PTAは「Parent-Teacher Association(保護者と教師の協会)」の略称です。アメリカで1897年に「National Congress of Mothers」として設立され、子どもの福祉を促進するために母親たちが集まったのが始まりです。20世紀に入り、父親や教師も参加するようになり、1924年には「National PTA」と改名されました。教育環境の改善や家庭と学校の連携強化を目的とし、教育政策にも影響を与える重要な団体となりました。

以下、参照

日本では、このPTAが展開される際に様々な思惑があったようですが、ここでは法的な側面に焦点を当てます。該当の法律は、PTA・青少年教育団体共済法(平成二十二年法律第四十れ号)です。

当該の法律中に以下のようなことが書かれています。

「PTA」とは、学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に在籍する幼児、児童、生徒若しくは学生(以下「児童生徒等」という。)の保護者をいい(同条に規定する保護者のない場合における里親、及び当該学校の教職員で構成される団体又はその連合体をいう。

ただ、この法律は共済法とあるように、イベントなどの共済に関する法律です。これ以外にPTAに関して触れている法律はなさそうです。

なお、多くのPTAは法人格を持たない「権利能力なき社団」であり、法的には曖昧な状態です。しかし、実態としては、保護者と教職員が協力して児童・生徒の学びや学校生活をより良いものにすることに意義があります。具体的には、学校や児童生徒における課題やトラブルが起きたときに、保護者と学校が一丸となって対応できる点が大きな利点です。

コロナ禍でのPTAの役割

経験的には、私がコロナ禍にPTA会長を務めていた際、児童の自宅待機期間中のサポートや授業参観の実施方法など、多くの課題がありました。学校と協力し、Zoomなどのオンラインツールを活用してこれらの問題を解決することができました。このような取り組みは、PTAの存在があったからこそ可能だったと感じています。

PTAがない場合の影響

一方で、PTAがない公立学校にも子どもを通わせている経験から、PTAがないことによるデメリットも感じています。具体的には、学校運営が学校や地域の意向に依存し、保護者のニーズが反映されにくい状況です。

このブログで初めての登場となる“地域”ですが、公立学校における“地域”は非常に強い存在です。たとえば、運動会で校長先生が座っているテントには、議員や地域の町内会長が同席することが多いです。学校の主要な会議にも地域の関係者が参加します。

確かに、地域のために尽力している町内会は重要ですが、長く住んでいる方や子どもの教育に関わってきた方でないと、学校の現状を理解するのが難しい場合もあります。逆の視点では、町内会長など地域の関係者が学校運営に関わることで、負担が増す場合もあります。

私はPTA会長に加えて地域の自治会長も務めた経験があるため、町内会の運営についても意見がありますが、今回は主題ではないのでこの辺にしておきます。

前提が長くなりましたが、PTAがない場合、保護者のニーズを学校がキャッチしにくくなり、学校運営が保護者や児童生徒の課題や問題解決に動かない可能性があります。

経験的には、PTAのない学校は他の学校と比べると保守的な運営になりがちです。たとえば、部活や学校生活の活動において、児童生徒のニーズが軽視され、他校よりも活動が制限される場合がありました。学校としてリスクを回避したい意向が強いため、このような意思決定になるのかもしれません。

PTA活動の負担とその課題

一方で、PTA活動にはデメリットも存在します。共働き世帯が増える中、忙しい時間を割いてPTA活動に参加することは、多くの保護者にとって負担です。また、「PTA役員を務めなければならない」というプレッシャーから、参加に抵抗感を抱く保護者も少なくありません。

毎年4月に行われる役員決めでは、「決まるまで帰れない」「欠席した方が役員にならずに済む」といった不満や、「一度役員を経験した人からは、やらないのは不公平だ」という声も上がり、トラブルの元となっています。

このような状況下で、PTAのメリットとデメリットを見える化し、保護者間で議論することが重要です。

ベルマーク活動の見直し

経験的には、ベルマークを廃止したことがあるのですが、メリットとデメリットに焦点を当てて議論しました。
まず、メリットですが、「点数に応じて、品物がもらえる」というものです。あと、議論して気づいたことですが、「ベルマークを集めてものがもらえる」というゲーム性が楽しいという方が一定数いました。ポイ活みたいなものですね。

ただ、実際に作業をされて方やその状況を見た先生の意見としては、あまりにも大変すぎるといった”デメリット”への賛同が多かったです。

何が正解かは、状況によると思いますが、「無批判に今まで続けていたから」とか、「変だと思うけど、変えるの面倒だし、1年我慢すればいい」といった考えでなく、正しい方にしていくのが大事だと思います。

なお、ベルマーク廃止に関しては、以前ブログにしています。


上記で上げたように、PTAのメリットとデメリットを比較して、費用対効果でPTAをどのように運営すべきかが大事で、できるだけシンプルに運営していくことが必要だと思います。

上位PTA組織のメリットと課題

さて、私が会長を務めていた学校は、近隣校を束ねたPTAグループや、江東区全体のPTAグループに属していました。江東区には小学校が50弱校ありましたが、このような上位組織参加のメリットは、他校の取り組みや情報を共有できることにあります。
例えば、コロナ渦のPTAの運営や、防災訓練の実施方法などついて、他校の成功事例を参考にすることができます。しかし、学校数が多いため、会議開催自体が負担となり、広いエリアでの移動も課題です。また、上位組織の運営には資金が必要で、各PTA(単P)から資金拠出が求められる点も負担となります。

東京都小学校PTA協議会と日本PTA全国協議会

江東区の上には「東京都小学校PTA協議会」がありますが、東京都内の学校の多くはこの協議会に加入していないのが現状です。以下、Wikipediaからの抜粋です。


東京都全体の小学校PTAを総括している団体ではない。昭和34年(1959年)時点では東京23区および多摩地区と大島で構成されていたが、平成2年(1990年)では20区および島嶼部・一市一村で構成。平成17年(2005年)度は、区部の参加は7区になっている[2]。平成17年度の時点で新宿区・中野区・練馬区・板橋区の4区の各小学校PTA連合会は、都小Pの会計の不明瞭さ、役員との意見の食い違いや役員人事への不信感などを理由に、都小Pから脱退している

Wikipedia

実は、経験的に私はこの組織からの脱会を経験しているのですが、Wikipediaの内容はさておき、当時の東京都小学校PTA協議会の会議会場が世田谷だったため、行くのも大変だし、イベントも児童のためにはなっていないと感じました。

また、東京都の代表を装っている点で、政治的な動きを感じる部分もありました。

まとめると、東京都小学校PTA協議会は、費用対効果に見合わないということですね。そもそも、児童のためになっていないというところに尽きるかと思います。

さて、やっと登場するのが、「日本PTA全国協議会」は全国のPTAの頂点に立つ組織です。東京都は先のような状況ですが、他の都道府県を傘下に持ち、日本のPTAの頂点に位置する組織体です。

東京都のPTAですら費用対効果に疑問がある中、日P(日本PTA全国協議会)に関してはさらにその意義を見出しにくいのが私の見解です。

翻って、江東区のPTAグループは、江東区の行政に意見を伝えたり対応を求めたりすることができ、区立の学校であるため児童のための組織体として機能していると解釈していました。

PTA上位組織の課題

PTA上位組織の課題を改めて整理すると以下になるのではないかなと思っています。

  1. 傘下の学校が多いので、きめ細かなメリットを単Pに提供できない(単Pに近いPTA上位組織のほうがメリットを提供できる。)

  2. それに反して、資金力と政治力が大きい。

  3. にも拘わらず、ボランティア組織の延長線上なので、運営が杜撰だったり、場合によっては意図的な活動をしている。

また、あくまでも個人的な疑いなのですが、毎年PTA保険の案内が東京都小学校PTA協議会から届くことについて、協議会にキックバックがあるのではないかと勘ぐったこともありました。

組織が大きくなると、ビジネスや政治的な視点でのアプローチが求められ、それに見合う組織機能が必要です。今回の事件は、その点に欠けていたのかもしれません。

児童生徒のために保護者がすべきこと

結局、学校に通う子どもたちのためにメリットがある活動に対して、その対価に見合うコストを払うのが基本だと思います。

そこからはずれて、「今までの伝統を崩さないように嫌だけど続けなきゃならないのよ」みたいな、よくわからないOBからの圧力があったり、違う目的をPTAに見出してしまったりすることが、よくないのだと思います。

さらに、今回の報道のような出来事があると、”PTAは全部悪”という論調になるのは、有意義な議論にならないなと思うし、況や個人的に意義が低い日PのようなPTA上位組織からそのような世論が出るのは、忸怩たる思いです。

必要なのは、自分たちの子どものために保護者として何をすべきかを改めて考え、意味のある活動を行うことが重要です。PTAの廃止やスリム化も、検討すべき選択肢だと考えます。

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