AI(CHATGPT/Dify等)を活用した業務設計・AI開発:本の出版を実例として③
1. 業務設計・AI開発の背景
前回の記事では、私が「就職氷河期」時代を生き抜きコンサル業界で経験を積み、その後出版した書籍「図解版・就職氷河期にコンサルティング業界へ入った父親が、娘に伝えたいこと」を背景に、AI(特にCHATGPT)を活用して書籍企画プロセスの業務設計・再構築に挑戦していることを紹介しました。
本記事は、その続編です。前回はAI活用による業務プロセス可視化の初期的なフレームワーク提示に留まりましたが、今回は「0-1 アイデア出しブレスト」という初期テーマ設定タスクに注目し、Difyを用いたアプリ開発、細分化されたタスクリスト、インプット・アウトプット定義、並行実行可否、UMLによる視覚化、各ペルソナのスキル・役割定義まで踏み込みます。
2.Dify開発に関しての紹介
今回の対象は、書籍企画プロジェクトにおける「0-1 アイデア出しブレスト」タスクについて
タスクリストで定義された要件・仕様
Difyを活用したアプリケーション開発プロセス
実行例による成果物の確認
を一元的に示し、読者が開発意図と実現方法、さらに出力結果について理解できることを目的としています。
「0-1 アイデア出しブレスト」タスクは、著者が執筆したいジャンルや領域を洗い出す初期段階のタスクです。Dify上で本タスクを実現することで、著者および企画担当者が効果的かつ効率的に書籍テーマのアイデアを得ることが可能になります。
3. 「0-1アイデア出しブレスト」業務確認
タスクID: 0-1
タスク名: アイデア出しブレスト
タスク内容: 著者が執筆したいジャンルや領域を洗い出す
タスク主体: 著者、企画担当者(編集者またはブレーン)
インプット: 著者の専門性・興味関心(頭出し情報)
アウトプット: テーマアイデア草案リスト(3~5案)
インプット概要:
著者が持つ専門領域、興味分野アウトプット概要:
複数の候補となる書籍テーマアイデア:分野名・トピック名
想定読者層
提供価値アイデア(読者が得られるメリットや独自性)
前後タスク連携:
このタスクは、書籍企画初期段階で最初に行われるタスクであり、後続タスク(0-2以降)へと繋がる基礎情報を提供します。
3. Dify開発でのアプローチ
Difyは、LLM(Large Language Model)を活用したアプリケーションを素早く構築・運用するためのプラットフォームです。
「0-1アイデア出しブレスト」タスクをDifyで実現するにあたり、以下の要点を踏まえて開発を行いました。
1.タスク要件の整理:
タスクリストの内容をもとに、著者(または企画担当者)から提示される専門性や興味関心をインプットとし、10件程度の書籍テーマアイデア出しを行うことを明確化しました。
2.LLMプロンプト設計:
インプットである「著者専門性」「興味関心」をタグ付けし、LLM(GPT-4)へ効果的に情報提供するプロンプトを構築しました。
例:
あなたは経験豊富な書籍編集者またはクリエイティブコンサルタントであり、著者が本のテーマのアイデアを考える際にブレーンストーミングを手伝う役割を担っています。あなたの目標は、著者の専門知識と関心に基づいて、本のテーマ候補を10個リストアップすることです。以下がその手順です。
まず、このタスクで採用する人物像を検討します。
<persona>
{{#1734498852009.output#}}
</persona>
次に、著者の専門知識と関心分野を確認します。
<author_expertise>
{{#1734498689743.specific#}}
</author_expertise>
<author_interests>
{{#1734498689743.first_thema#}}
</author_interests>
あなたのタスクは、潜在的な本のテーマを特定するためのブレーンストーミングセッションを実施することです。以下の手順に従ってください。
1. 著者の専門知識と関心事を分析し、関連性、独自の視点、または未開拓の観点を探します。
2. 著者の経歴に一致する現在のトレンド、市場の需要、潜在的なターゲット層を考慮します。
3. 著者の強みと情熱を活かした創造的で革新的なアイデアを生み出します。
4. さまざまなジャンル、トピック、アプローチをカバーし、提案に多様性を持たせます。
各テーマのアイデアについて、以下の情報を提供してください。
【テーマ/トピック】:本のアイデアの簡潔なタイトルまたは説明
【対象読者】:その本が主にアピールする読者
【価値提案】:その本が提供するユニークな洞察や利点
以下のフォーマットで成果物を提示してください。それぞれのアイデアには、1行開けてください。
<format>
<idea1>
【テーマ/トピック】: [テーマを挿入]
【ターゲットオーディエンス】: [ターゲットオーディエンスを挿入]
【価値提案: [価値提案を挿入]
</idea1>
<idea2>
【テーマ/トピック】: [テーマを挿入]
【ターゲットオーディエンス】: [ターゲットオーディエンスを挿入]
価値提案】: [価値提案を挿入]
</idea2>
[すべてのアイデアについて続ける。また、各アイデアごとに1行開ける。]
</format>
</theme_ideas>
著者の専門知識や関心事に合わせて提案を調整し、潜在的な市場での訴求力も考慮してください。創造性を発揮し、既成概念にとらわれない発想で、多様で魅力的な本のテーマのアイデアを生み出してください。
3.テンプレート・ワークフロー設定:
Dify上で、
4.構成要素:
インプット変数としてspecific(著者専門性)、first_thema(著者興味関心)を定義
出力形式を<idea>タグなどで整形し、可読性を担保
4. 実行例
入力・出力サンプル:
実際のアウトプット内容
5. まとめ
本記事では、「0-1アイデア出しブレスト」タスクをDifyで開発し、GPT-4を用いて実際に処理を実施した過程と結果を示しました。このタスクは、著者が持つ専門性と興味関心をもとに書籍テーマアイデアを生成するもので、Difyプラットフォームによってスムーズなワークフロー化が可能となりました。
開発結果として、アイデア提案機能は期待どおりに動作し、実行例でも明確な読者ターゲットと価値提案が付された複数のテーマが出力されました。今後は、案数や詳細度の微調整、ユーザー体験向上を進めることで、より洗練されたアイデア創出支援ツールへと発展させることが期待されます。