演奏所感#001 アレスのゴルトベルク
ゴルトベルク変奏曲は、大バッハにより作曲されたチェンバロのための低音主題による変奏曲集です。
昨今ではゴルトベルクと書いてグールドと読むのではないか?と思わせる程グールドによるモダンピアノでの演奏が有名ですが、今回ご紹介するのはスペインが生んだ名チェンバリストであるディエゴ アレスによる演奏です。
本アルバムにはゴルトベルク変奏曲32曲と、それらへの導入としてのアダージョの全33曲が収められていますが、私が個人的に特に気に入っている曲とその聴き処について、簡単にご紹介したいと思います。
第10変奏
バスにより提示された4小節の旋律が、2分弱という短い時間のなかでテノール、ソプラノ、アルトと模倣されて連鎖していく4声フーガ風の変奏です。
アレスという若いチェンバリストが奏する4声の掛け合いが、聴く者の眼前にドラマティックな世界観を見せてくれるとても好きな演奏です。
第13変奏
左手の通奏低音の上で朗々と歌い上げられる右手の旋律が美しい変奏です。
フレンチ・チェンバロの特徴である力感ある豊かな低音と透明感ある高音や演奏の臨場感までもがリアルに収められた素晴らしい録音だと思います。
チェンバロならではの冴え冴えとした爽快な響きと透明さ。やはりチェンバロでのゴルトベルクも心地よいです♪