さあゴルフをはじめよう(序)
色々な意見はあることと思いますが、ゴルフというスポーツは、始めることに敷居が高いというのは概ね同意いただけるのではないでしょうか。
まず、個人スポーツであるがゆえに、自分が動き出さないと始めることが出来ないね。また、道具やら練習やら準備が必要で、すぐには出来そうもないと思ってしまい諦めてしまうこともある。しかも、プレーするにはゴルフ場にいかなければならないし、電話して予約するのも心理的に敷居がたかい。なぜかというと、「ゴルフ場の常識」を知らないから。アウトスタート?インスタート?スループレー?なんだか難しそうと感じるのも無理はない。ルールもよくわからない、しかもルールブックに書かれていないようなマナーとやらを守れと言われても自信がない。さらにクルマまであった方がいい、だと?
繰り返すが、これら全てを自分でやろうと思うと、とてつもなく億劫だ。
友達から突然、「今週日曜日フットサルやろうぜ!」と言われて、運動できる格好をして行けばそれなりに楽しめるという手軽さに比べると、ゴルフを始める面倒くささというのは並大抵ではない。
しかし、一度始めてしまえば、その面白さの虜になってしまう人が多いのもゴルフの魅力のなせるところ。例えばこんな風に空想してみよう。
プロ野球の超一流外野手。左様、イチロー選手にゴルフ場へきてもらい、あなたはティーグラウンドでにっこり微笑みかけながらゴルフボールを手渡す。そして「さあ、今から440m先にある108mmの穴、つまり2Lペットボトルの径くらいのカップに向かってボールを投げてください。ボールの止まった地点から続けて投げて、カップにボールが入るまで何回かかるか私と競争です」
イチロー選手といえども、おそらくグリーンに届くまで4回は投げなければならないだろう。
ましてや自分がそれをやると、グリーンまで何回投げれば届くのか、何回でボールを入れられるのか想像するのも難しい。
ところが、ただの一般人であるところの自分が、ゴルフクラブを握ってプレーすれば、うまくいけば3回でグリーンまで届いてしまう。おそらくイチロー選手に対してでも、十中八九は勝てる気がする。
この、自分本来のパワーを遥にこえる大きな力を制御し使いこなすのは、人間にとって本能的な快楽のようである。例えば自動車や船、馬などの操縦などと同じで、ゴルフもまたクラブによって増幅されたパワーで、数百メートル先にあるちっぽけな穴に、わずか数打でボールを転がし入れることができるのは、奇跡的な偉業としか言いようがない。それゆえ達成感や征服感といった快楽も強烈である。
その奇跡を司るゴルフの神はまた、超絶的なバランス感覚をもってして、ゴルファーが大叩きしてゴルフを辞めてしまおうかと思ったまさにその瞬間、奇跡的なロングパットや天才的なドライブを恵んだりして、信者を決して手放そうとしない。いや、もしかしたら神ではなく魅力的な悪魔が、ゴルファーの肩にはとまっているのかもしれない。悪魔はこうもささやく。「新しいドライバーに買い換えたらもっと飛びますよ」「そのパターを手に入れたら、難しいラインだって入るかも知れない」ゴルファーはこうして魔力に酔っていく。
そんなゴルフの始め方で、もっとも良い方法はまずゴルフレッスンを受けること。グループレッスンや体験レッスンではない。マンツーマンの個人レッスンだ。そうしたレッスンを受けることで、冒頭にあげた面倒くささの大半は、なくなること請け合いである。なぜなら、グループレッスンでは、ゴルフスイングしか教えてもらえないが、マンツーマンなら時間内に好きなだけ質問ができるし、プロがそれにきちんと答えてくれるはずである。同じレッスンプロの生徒同士で、コースデビューをすることだって簡単だ。
そうはいっても、いきなりティーチングプロに教えてもらうのは二の足を踏む、という方がいるかもしれないので、そうした方向けに次回以降、「ゴルフのはじめかた」について、筆者の思うところを書いて行きたい。ただし、私の結論はもう出ていて「ティーチングプロにマンツーマンで教わるのがベスト」これは変わらない。あくまでも、サプリメントとして読んでいただければ幸いである。