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さまざまな通訳の仕事を通して

今回は私が経験してきた通訳の仕事について、いろんな種類や体験談を交えながらお話ししようと思います。通訳と言っても、実はその種類は多岐にわたります。工場通訳、会議通訳、通訳ガイドなど、それぞれに特徴があって、必要とされるスキルや仕事内容も全然違うんです。


工場通訳ってどんな仕事?

まずは工場通訳。名前の通り、工場での仕事や技術、企業の考え方などを外国から来るゲストに伝えるのが主な役割です。ただ、工場に来る外国人の多くは、よほどの新人でない限り経験豊富なプロフェッショナル。つまり、通訳者が専門知識に詳しくなくても「通訳さえできれば」大きな問題にはなりません

例えば、機械やパーツの名前がわからなくても、雰囲気や話の流れでなんとかなることも多いです。そのせいか、工場通訳の仕事は他の通訳業務に比べて言語能力がそこまで高くなくても務まることがあります。ただ、その分お給料も低めで、時給は大体1200円から2500円程度。正直なところ、やる気が出ないと感じたのが本音です。

会議通訳の難しさ

次に会議通訳。ここから一気にレベルが上がります。会議には会社の役員や外国のお偉いさんが参加することが多く、言葉のチョイスやタイミングが非常に重要になります。ただの日常会話を訳すわけではないので、高い語彙力と専門知識が求められます。

さらに、日本企業の習慣外国企業とのプロトコルをきちんと理解していないと、すぐに信用を失いかねません。「会議通訳ってカッコいい!」と思う人も多いかもしれませんが、実際はかなりプレッシャーが大きい仕事です。

会議とは少しズレますが、とある国の大臣の記者会見の通訳をしたことがあります。通常は30分ほど前に、話す内容のスクリプト(セリフ)をもらうものなのですが、この時はそういう準備がなく(発展途上国だったからかな?)、いきなりの声明、いきなりの質疑応答で非常に困ってしまいました。結果的にうまくできず、強制帰国となってしまった思い出したくない思い出があります(笑)。往路はANAのビジネスクラス、帰りはエコノミーにされました(泣)。ANAのビジネスクラスを、CLUB ANAと呼んでいた時代なので、相当昔ですけどね。

通訳ガイドという仕事

そして通訳ガイド。これもまた全く違う世界です。通訳ガイドとして働くには、基本的に国家資格である全国通訳案内士資格が必要になります。たとえ現在の法体制で無資格でもOKとなったとしても、この資格がないと、ガイドの仕事を見つけるのは難しいです。

ガイドには日本の地理や歴史外国人の文化や宗教国家体制など幅広い知識が求められます。それだけでなく、外国人のお客様がどんな質問をするかは予測できないので、常に頭をフル回転させる必要があります。例えば、「このお寺の歴史は?」とか「日本の税金制度はどうなってるの?」「少子化対策は?」なんて質問が飛んでくることも。

「分からないからスマホで調べます」は基本的にNG。だって、そんなの彼ら自身でもできることですよね。お客様の疑問にその場で答えられるスキルがなければ信頼されません。そのため、毎日勉強し続けることが必要です。

いろんな経験から見えてきたこと

工場通訳、会議通訳、通訳ガイドといろいろな仕事を経験してきましたが、それぞれに良さと難しさがあります。例えば工場通訳では、時給が低いというデメリットはあるものの、工場の日本人スタッフがとても親切で、働きやすい環境でした。ただ、やはり時給2500円程度ではモチベーションを維持するのが難しく、もっと高みに行きたいと思いました。

一方で、通訳ガイドの仕事はやりがいが大きい反面、非常にシビアな世界です。同じ場所へ何度も行ったとしても、お客様からは毎回新しい質問が飛んできます。それに対して、スラスラと答えられる引き出しを常に持っている必要があります。

でも、その分お客様から「また会いたい!」と言ってもらえたときの喜びはひとしおです。通訳ガイド(まだノンライセンスですけど…)の仕事を通じて、「自分が本当にやりたいと思える仕事に辿り着けたんだな」と感じています。

通訳として働きたいみなさんへ

通訳の仕事にはいろいろな種類があり、それぞれに魅力と課題があります。どんな仕事にも学びがあり、経験を積むことで自分の成長を感じられるのが楽しいところです。

これからも通訳として、より高いレベルを目指して頑張りたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございます。

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