2024年都知事選、都議補選総括と今後の衆院選戦略について
都知事選・都議補選は都民ファの大勝利
都知事選結果は小池氏が3選し、都議補選は都民3勝、自民2勝、立憲1勝、無所属3勝(都民系1勝、立憲系1勝、自由を守る会1勝)の結果となりました。投票率は60%を超え、平成以降で2番目に高い数字です。
全体的に見ると都民ファーストの会は都知事選で勝利、都議補選で3勝1敗と数字的には1人勝ち状態となりました。自民は裏金の逆風で2勝6敗、野党共闘系は善戦したものの、他の無所属候補が得票率を伸ばしている傾向で多くの支持が集まったとは言えずです。
都知事選候補者について、小池氏は40代以上から最も支持を集め、高齢層ほど高い傾向です。女性からの支持が高いです。地域ではどこの地域からも最も支持を集めましたが、多摩西部や都心部城東で支持が高い傾向です。支持政党については自民と公明が中心ですが、得票率を見ると立憲票も小池氏へ、流れたと推測しています。
2位になった石丸氏は10~30代から最も支持を集め、40~50代で小池氏と拮抗し、おそらく男性なら50代まではトップでしょう。60代になると蓮舫氏へ抜かされますが、ネットの影響が低くなる70代以降になるとその差は開きます。性別では男性が高めで、地域では都心部や城南地区で高い支持を得ている傾向です。無党派層からの支持が最も厚く、比例で維新か国民(教育も)へ投票した有権者を吸収した傾向です。
3位になった蓮舫氏は男性からの支持が高く、高齢層の支持が高めで若年層から中年層からの支持は同じくらいです。地域では中央線沿い、武蔵野、世田谷で高い傾向ですが、都心部ほど石丸氏との差は開かれています。共産、れいわ、社民票は固めました。
4位の田母神氏は日本保守党投票層から支持を受けている傾向で、移民が多い地域で高く得票率が出ている傾向です。5位のAIエンジニアである安野氏は情報産業従事者が多い地域からの支持が高い傾向、内海聡氏は参政投票層、暇空氏は薄く幅広く支持されている傾向です。
政党別選挙結果と今後の戦略
与党系(小池・都民ファ・自民)
都知事選では小池氏が3選し、今後は自公都の議会運営が続くでしょう。一方で都議補選は明暗が分かれ、小池氏の1人勝ちと呼ばれています。
衆院選に向けては国政選挙に弱い都民は参戦せず、国民民主党候補を支援するでしょうか。自民は裏金による逆風が続き、岸田首相の看板を変えても厳しいことには変わりありません。衆院選東京では自民がかつてないほど惨敗する可能性があります。
都民
一番の勝者となった都民ファーストの会。小池都政は3期を迎え、百合子チルドレンたちも3期目に入ることで地盤を固めてきています。2023年統一地方選で議席を増やしているため、2025年都議選では第1党を奪還する可能性があります。
しかし、国政選挙となると弱く、2017年衆院選で希望の党は惨敗、2022年参院選東京選挙区では小池氏の側近荒木氏が立憲2人目の候補者や維新などに敗れて敗北。2023年東京15区補選では知名度の高い乙武氏を擁立しましたが、立憲候補が当選し、須藤元気氏や飯山陽氏、維新候補にも得票率で敗れました。乙武氏が五股不倫した影響はありますが、高い知名度でも大敗ということは国政は無理でしょう。
今後は都議会では第一党奪還、国政では国民民主党を支援することが濃厚だと考えられます。
自民
自民は都知事選で勝利しましたが、都議補選で敗北。ただ、自民上層部は4勝4敗で御の字で全敗もあり得るという見方であり、結果は「最悪の事態は避けられたが、予想通り逆風が強かった」ということでしょうか。
都議補選の数字は酷く、普段なら40〜50%の得票率は取れますが、今回は30〜40%が多めです。衆院選情勢でも最悪3勝26敗という数字が出ており、民主党への政権交代選挙レベルに厳しいです。もちろん野党乱立で相対的に自民が有利になったりすることはありますが、候補者乱立した5選挙区中3選挙区は落としているので、どちらにしろ厳しいでしょう。
2025年都議選でも逆風が予想されます。都民ファーストの会に敗れて第1党の座を明け渡すことが予想されます。
野党共闘勢力(蓮舫・立憲・共産)
野党共闘勢力は岸田政権や自民党の高支持率、維新や国民の台頭などで1人区と比例で苦戦しました。自公維改選2/3阻止できず、結果的には敗北です。
今回の参院選では前回より一本化が進んでおらず、維新や国民が乱立しました。そのため、引き続き野党共闘戦略をとらないと衆院選では自公大勝して維新はさらに力を伸ばすでしょう。
まずは2023年の統一地方選挙で勢力を拡大することです。地盤を固めている野党候補は与党に有利に戦っていますし、でなければ与党に勝てません。
蓮舫
当初は蓮舫氏が小池氏との女性一騎打ちとなり、テレビでも報じられましたが、蓮舫氏からボロが出始め、最終的には女性スキャンダルを起こした鳥越俊太郎氏よりも得票数、得票率を下回りました。
都知事選で石丸氏に敗れて3位に終わったこと、神宮外苑開発についてメディアのスポンサーである企業が怒ってしまい、蓮舫大敗報道となっています。
今後の動きとしてはしばらく休養。都知事選で「小池氏に敗れたが善戦した」というシナリオで衆議院転身というシナリオはありましたが、あまりの大敗でそれが難しい状態になっています。立憲から離党した松原仁氏のいる東京26区が最有力と言われていましたが、苦戦が予想されるため東京24区へいくのか、衆議院断念して参議院比例へいくのか、どうなるかはわかりません。
立憲
立憲民主党は蓮舫氏が大敗し、都議補選では足立区で1勝しましたが、逆風の自民候補との一騎打ちで50.1vs49.9です。八王子では無所属候補というのがあり、60vs40で勝利しています。
東京都議会で蓮舫都政で与党、ということにはならなかったため、今後は都議選に向けての準備が必要となります。都議選で立憲がどれくらい巻き返すか。
衆院選では東京で立憲は大量当選出ることが予想されていますが、第三極層の台頭や自民候補が思わぬ善戦をするシナリオはあるため、油断はできません。都心の選挙区で裏金自民との一騎打ちで激戦というのは与野党一騎打ちで簡単に勝てるわけではないことを示しています。
共産
日本共産党は都議補選で1位だのの噂はありましたが、結果的には全敗です。1勝するだけでも御の字なので厳しい指摘はないですが、都議選の場合は立憲票を巡って都民と共産の候補者の実力次第だと推測しています。
衆院選では比例2議席取ることが考えられますが、れいわと国民も2議席目を狙う情勢であり、激戦が予想されます。
第三極(石丸伸二、維新)
石丸伸二
広島県安芸高田市長を勤め、人口数万の自治体で居眠り議員を恫喝して全国的知名度を得た石丸氏。都知事選では期日前から蓮舫氏より多くの支持を集め、最終的に2位となりました。都知事選で2位になったことでメディアの露出が増え、今後の選挙でも活かすことができるか。
今後は石丸新党の噂がありますが、性格的に見ておそらくないと見ています。岸田首相の選挙区である広島1区からの出馬の可能性はあり、仮に起きたら超激戦となるでしょう。
維新
維新は支持率が再び低迷し、石丸氏から推薦依頼がありましたが、結局は合意しませんでした。都議補選は全敗しましたが、予想よりは善戦した数字でまだ巻き返せる感じです。
都議選では3回連続で大田区でしか議席獲得せず敗北。支持率上昇と統一地方選での躍進があり、2025年都議選では今までより議席獲得拡大のチャンスはあります。しかし、都民や無所属の壁は厚く、苦戦すると予想されます。
国政では維新は東京で選挙区勝利できる地域があれば御の字。比例は3~4議席獲得できるかどうかです。
最後に〜東京都議選、衆院選議席獲得予想、参議院東京選挙区当選予想
東京都議会議員選挙
都民36
公明23
自民21
共産20
立憲16
維新4
自由2
ネット1
他4
2025年東京都議会議員選挙では都民ファーストの会は第一党の座を奪還か。都民と公明で過半数確保。自民は過去最悪の選挙結果となるか。共産、立憲は微増か。維新は議席増えるだろうが、無所属や石丸氏の動向次第では4回連続大田区のみに終わりそうか。
衆院選(東京ブロック)
選挙区 比例 合計
立憲 20 4 24
自民 8 4 12
維新 1 4 5
共産 0 2 2
国民 0 2 2
れいわ 0 2 2
公明 0 1 1
無所属 1
衆院選では与野党乱立が予想されるが、立憲が激戦を制するか。自民は東京4区、20区、25区は安泰だが、それ以外は激戦。裏金問題の人物である東京11区の下村氏、東京24区の萩生田氏は苦戦か。維新は比例中心に伸び、共産は現状維持。国民とれいわは比例2議席目射程圏内。公明は東京29区で敗北し、比例も1議席に終わるか。日本保守党は1議席獲得できるかは微妙だが、選挙区へ大量擁立なら議席獲得可能性も。
参院選東京選挙区(今のところは定数6+1(7人目の当選者は蓮舫の残り任期3年対応)だが、丸川と音喜多が2025年3月まで衆院選参戦するため、定数6で予測)
吉良(共産)◎
公明新人(公明)◯
塩村(立憲)◯
自民1人目(自民)◯
維新新人(維新)□
立憲2人目(立憲)□
自民2人目(自民)■
ファーストの会新人(ファ)■
れいわ新人(れいわ)■
共産の吉良氏当選は固い。自公支持率低下と日本保守党参戦により、自公苦戦が予想されるが、公明は先行し、自民1人目も通るか。立憲は塩村氏1人のみなら固く、おそらく2人目も擁立か。維新新人は接戦になるが、おそらく5番目か。残り一枠を自民と立憲の2人目で争い、さらにファーストの会やれいわも殴り込みか。れいわが須藤元気氏並みの有力候補者出せばれいわが通るか。