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結婚25年目を迎えて思うこと。

サセックス州にあるマナーハウス

2023年10月, 銀婚式の日を迎えた。

ここ何年か結婚記念日はレストランでランチをする事が恒例になっているのだが、25年の節目に、いつもよりワンランク上のマナーハウスでのランチとなった。

このマナーは1598年、地元の名士が結婚をする際に建てた建物。
その後所有者も何度か変わり、1958年からカントリーハウスとしての経営が始まり、その後経営者は代わり現在のマナーに。

マナーの周りは広大な素晴らしい景色に囲まれている。
敷地以外に全く周りに建物などない。 
この隠れ家的なホテル、レストランは半数が常連客なのだと言う。

出迎え、バー、レストラン、その他すべてのスタッフが丁寧且つ笑顔。


素晴らしい景色と食事が堪能できる、ザ、イギリス のマナーハウスだった。

こんな素敵な時間をふたりで楽しくできるようになった事に感謝しながら。。

辛かった夫との生活

少し前まで夫との関係は平穏な生活とは程遠いものだった。

私は単純で明朗活発、情で動くタイプ。に対し夫は備えあれば患いなし。
全ての事に計画し実行する、軽い潔癖症、情より理のタイプ。
真逆な2人。

長年夫の考え方が理解できず、気に入らず、文句を言ってはコトバの逆襲に合い、夫は普通の夫婦喧嘩を超えた言動を発してきた。

彼の怒鳴る声や日本語には無いSwearing(強い罵る言葉)、エスカレートすると、物を投げたり壊す行為もあった。

1、2ヵ月話しかけても無視をされたり、部屋を別にした家庭内別居も経験した。

英語では「Narcisit」、「モラハラ」と言うコトバも知った。

「ママ、日本に帰っても良いよ」と娘にも気を使われ、家族、友人にも心配された。

年に数回あったこの事件を娘はずっと見て来たのだ。 
いつも私を守ろうとしてくれていたひとり娘。そんな気遣いをされ、頼っていた情けない母親だった。

だがその娘も大学入学を機に、数年前に家を出た。

夫婦の転換期

母親として過ごす毎日が終わった。

アラカン突入の年齢だったが、幸い母は健在で日本に帰れば実家はある。
日本は年齢の雇用差別があるものの、仕事が無いわけではない。
家族や友人がいる日本で生きて行くことはできる。

そう考えた時、気持ちに余裕がうまれ、夫がどう思っているのか、私たちの将来をどうすべきなのかを今話すべきだと思った。

その頃はまだ家庭内別居中。 食事も時間を決めて別々に作っていた。
ただの同居人状態だった。

夫の部屋へ行き、これからの人生、平穏でしあわせに暮らしていきたい。ただの同居人で居るなら、私は日本へ帰ると切り出した。

夫もまたストレスいっぱいの今の状況に疲労困憊だった。 彼も実は一人暮らしをするフラットを密かに調べていた。そして彼も、平穏で穏やかに暮らしていきたいと考えていたのだ。

ふたりの希望は一致している。しかし長年あったお互いへの不満、怒り、ストレスがある私たちは、これからも一緒に暮らしてしあわせになれるのだろうか?

将来の大きな決断の為に、毎週土曜日に話し合いの機会を持つことにした。

冷静に、お互い何が不満なのか、何が許せないのか、どうすればお互いが譲歩できてしあわせになれるのか。 
そして話し合いで2人が納得出来なければ別々の人生を歩むと決めた。

毎週土曜日の話し合いは夕食後、永遠と何時間も続き、朝方になる時もあった。

夫も私も、長年一緒にいながらお互いの事をきちんと理解できていなかった。
思い込みや理解不足が多々あったことが、冷静な話し合いの中で分かってきたのだ。

モラハラがあった事は事実だし、その時の夫を絶対に許す事はできない。

ただ、私も自分の考えの方が正しいと押しつけようとした事や、我慢して怒りを抑えていた夫を察することや、夫が辛い時期に寄り添う事をしなかった事も言われて気づいたのだ。

夫は自分の言動について謝罪し、これからは2度と同じような怖い思いはさせないと誓ってくれた。

何度も話し合った。
そして私たちの出した結論は『ふたりで平穏、しあわせに暮らしていく』だった。
これが最後のトライアル。 もう次のトライアルはない。

転換期から今

まずは夕食を共にすることから始まった。
それまで感じていた重い空気が、少しづつ軽くなっていった。

しばらくして家庭内別居生活も終了。

家事仕事もほぼ半分づつの分担。・・と言うより夫が出来る事を率先してやってくれている。
夫はほぼ自宅勤務。 私が出勤の日は夕食担当、また洗濯、週末のスーパーへの買い物も夫。
自宅勤務の日の夕食、毎日のキッチンの後片付け、掃除全般が私の担当だ。

今はお互いへの感謝の言葉が多くなった。

そしてトライアルから2年以上経った。

こうして今、夫と楽しくしあわせに過ごしている事が本当に不思議だ。


過去の事件の数々を決して忘れる事はないが、過去を今に引きずっていても何も良い事はない。
今を生きる、今のひとつひとつに感謝して生きるほうがしあわせだとこの年齢になり改めて感じる。

もちろん喧嘩みたいになる事も時にはある。 
しかしその日の内に終わらせることが出来るようになった。

国も、育った環境も、家族の在り方も全く違うふたりが、一緒に生活しているのだから意見が違って当たり前。

小さな事でも感謝の気持ちをきちんと伝える事で、相手も自分もしあわせな気持ちになれる。

やっと気づき、実感していることだ。

結婚して25年。やっと本当の人生のパートナーにお互いがなりつつあるような気がしている。
















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