見出し画像

AMD 2024 Q3決算分析&決算説明全文翻訳

AMD第3四半期決算概要

AMDの2024年第3四半期決算は、売上高、利益ともに増収増益であるが、アナリスト予想を下回った。時間外で株価は下落。
取引開始後、株価はおそらくマイナスに作用する

決算資料はこちら

売上高

  • 売上高68億1900万ドルと過去最高を記録し、前年同期比で18%増加、直前期比でも17%増加。

  • 要因

    • 特にデータセンター部門の売上高は35億ドルで、前年同期比で122%増加と大幅な伸び。
      AI向けのAMD Instinct GPUの出荷増加とAMD EPYC CPUの売上増加によるもの。

    • クライアント部門の売上高も前年同期比で29%増加し、約19億ドルに達しました。 Zen 5アーキテクチャを採用した最新のRyzenノートブックおよびデスクトッププロセッサの需要が堅調だったことが要因。

    • ゲーミング部門の売上高は前年同期比で69%減少し、4億6200万ドルと予想を大きく下回った。これは、MicrosoftとSonyがゲーム機の販売台数を減らしたため

  • セグメント別の売上高は、データセンターが35億4900万ドル、クライアントが18億8100万ドル、ゲーミングが4億6200万ドル、組み込みが9億2700万ドル。

利益

  • 純利益は7億7100万ドルで、前年同期比で158%増加。

  • 1株あたり利益は0.47ドルで、前年同期比で161%増加。

  • 売上総利益率は50%、営業利益率は11%。

今後の見通し(株価への影響)

  • 2024年度通期の売上高は過去最高を更新する見込みだが、第4四半期の売上高は約75億ドルを見込んでおり、前年同期比で約22%増加する見通しです。これはアナリスト予想平均の75.5億ドルを僅かに下回る

  • AIアクセラレータ(Instinct GPU)の今年の売上高見通しを、従来の45億ドルから50億ドル超に上方修正したが、投資家らの期待よりやや低い

  • データセンターとクライアント部門の大幅な成長が、この売上増加を牽引し、ゲーミングセクターはビジネスの伸びにほぼ貢献はない

  • Non-GAAPの粗利益率は約54%とアナリスト予想通り


Nvidiaと比較した現況

  • AI関連製品の売上で年数十億ドルを稼いでおり伸び率は顕著で1年前と比較して急増しているが、エヌビディアが稼ぎ出している水準にはまだ遠く及んでおらず、引き離されている。

  • AI向けGPUである「MI300」シリーズは、エヌビディア製チップと競合しており、AMDの売上高の大きな牽引役の一つとなってきたが、TSMCによる供給がボトルネックとなり、供給原因により売上の増加が抑えられる。
    AMDがGPUの生産を全量TSMCに委託製造しており、TSMCに現在多数の半導体メーカーから供給依頼が来ていることによる。


最近のAMDの動向と戦略

  • AI市場での成長に重点を置いており、データセンター、クライアント、組み込みの各事業部門でAI機能を強化。

  • AIアクセラレータであるInstinct MI300XがMicrosoftやMetaなどの主要顧客に採用されており、Microsoftは複数のCopilotサービスに、Metaは大規模な推論インフラストラクチャにMI300Xを使用。

  • AMDは、AIソフトウェアエコシステムの拡大にも取り組んでおり、オープンソースソフトウェアプラットフォームであるROCm(NvidiaのCUDAの対抗製品)の開発を推進。

  • データセンター向けのサーバー製造を手掛けるZT Systemsの買収を先日発表。
    これにより、AMDのデータセンターAI製品供給能力を拡大し、クラウドおよびエンタープライズ顧客へのAMD AIラック スケールシステムの展開を加速する。

  • また、北欧最大のAI研究企業であるSilo AIの買収(6億6000万ドル)を完了し、AI顧客基盤とLLM開発能力を拡大した。

  • Google CloudとOracle Cloud Infrastructureは、2025年初頭に第5世代のEPYCプロセッサを搭載したインスタンスを発売する予定。


総評

ここから先は

9,472字

ゆな先生日記 基本プラン

¥500 / 月
初月無料
このメンバーシップの詳細

頂いたサポートのお金は、取材や海外の文献の調査などに使わせていただきます。サポート頂けるのは大変うれしいので、これからも応援いただけるとうれしいです! ゆな先生より