ここが変だよ!?日本の学校(③部活編PART6)
現職の学校の先生と元教師で、現在の学校教育についてディスカッションしながら、新たな教育の可能性を提案していきます。
このプロジェクトを、悩んでいる学校の先生と、将来教員になりたい学生に捧げます。
企画への思い・詳細はこちらをご覧ください。
<メンバー紹介>
*Mさん
中高一貫の私立学校で働かれています。
民間企業や起業も経験されている経験豊富な先生です。
*テキトー教師さん
https://twitter.com/tekitoo_T_cher
若くして、ある都道府県の中学校で「教務主任」を務められている優秀な先生です。
*ながめ
https://twitter.com/mgnjapan
元高校教師で、現在は予備校講師以外にも、速読教室やアイドル活動、大喜利イベント、などたくさんのプロジェクトを運営しています。
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「ここが変だよ?!日本の学校」部活編6
M:そもそも教員の長時間労働の問題や部活動の専門性の観点から部活動を外部講師に委託するって言う流れだと思うんですが、現実的には厳しい気がするんですよね。とりあえず、付け焼き刃かもしれないけど最終下校を短くするとか仕組みを変えるしかないと思いますね。
な:例えば、テキトー教師さんみたいに教務主任とかある程度、学校内で発言力あるポジションだと、下校時刻を早くしたり、部活動の終了時刻のルールを厳しくしたりすることはできるの?
テ:プレゼンの仕方次第な部分もあるとは思う。部活動の時間を短くするメリット・デメリットの検証すら、なかなか出来ていないのが現状だからね。ただ正直まだ部活動を毎日長時間やりたい人が多いから負ける気がするな〜。
な:下校時刻のルールを決めたとして、守らなかったら罰則とか設定できないのかなあ?
テ:現状は「注意」くらいで終わってるね。罰則を設けるのも難しいかもなあ。
M:僕がこれまで働いてきた私立学校では最終下校になると、校舎がしまったり門が閉まったりするから強制的に部活が終了せざるを得ない状況なんですよ。そういう風にしたらいいのにね。
な:僕のいた学校は「強化部」っていう全国を目指す特別な部活動がありました。「強化部」ではない一般の部活動はきっちり下校時刻を守ってやってるんだけど、強化部は練習時間は上限がなくて無限にやってよかったんですよ。だから強化部の顧問をしているときは毎晩早くて21時くらいに部活が終わって、21時から授業の予習をしたり、担任しているクラスの雑務をしたりして、毎晩夜中の0時とか1時に学校の鍵を閉めて帰ってましたね。
一同:ええ〜!やばいな…
M:そういう点では僕が前にいた学校は職員室も20時になったら強制的に閉まるので、いったん仕事を終わらざる終えない状況なってました。それはそれで良いことだったんだなあ。
な:そっちの方が良いですよね。お尻が決まっていると、そこまでに仕事を仕上げようと集中してやるもんね。無限にいられるってなると、だらだらやっちゃうのよね。前職の塾でも社員の残業が問題になってたので、21時に教室の電気が消えているかどうか役員の人がチェックしに来ていた時期があったな。その時は業務効率がめっちゃ上がって良かったのを思い出したわ!部活を強制的に終了させるのありかもしれませんね。
テ:そうだね〜!
な:こうやって聞けば聞くほど、部活動と仕事ってめっちゃ似ているなって思う。大発見だ!なんで部活ってこんなに理不尽で厳しくなったんだろう。政治を牛耳ってるわるい大人がわるいこと考えてこうしたとしか考えられない(笑)
M:練習中水飲んだらあかん!みたいなゴリゴリな時代もありましたからね。その世代がまだ根強く教員として権力ふるってますからね。栄養ドリンクのCMで「24時間戦えますか?」みたいなキャッチコピーが平気で流れてた時代だもんね〜。
な:2人はお子さんがいると思うんですけど、お子さんが中学生になったとして、部活動はやらせますか?どうさせたいとかありますか?この学校の現状を知ってる上で我が子に部活をやらせようと思えるのか素朴に疑問に思っています。
M:僕は子どもがどうしたいかに委ねますね。今はこう言う状況だけど、その時には状況が変わっているかもしれないので、どうしたいかどうかは子どもに任せますね。
な:なるほどなあ。テキトー教師さんは?
テ:ほぼ一緒ですね。やりたいことをやったら良いと思ってる。ただスポーツをやりたかったらいろんな選択肢を言うかな。部活動だけでなく、地域のクラブチームなんかも紹介すると思う。部活動をやるって選択した時に、今回紹介したような理不尽な目にあっていたり、思考や視野が狭くなっていったりしたら「大丈夫?」って声かけるかな。
な:なるほどね。テキトー教師さんは、部活動の闇を知っているからまだアンテナが立ちやすいと思うんだけど、生徒が置かれている部活動の理不尽な状況とかを知らずに、ただ預けっぱなしになってるだけだったりしたら、生徒は大変だよね。
テ:保護者からしたら楽やと思うんですよ。実際オフを増やした時に「なんでもっと部活をやってくれないんですか?」ってクレームが来たことあるんよ。土日に子どもがいないのは保護者からしたらめちゃくちゃ楽なんですよ。
M:いわゆる託児所代わりなんですよね。
な:そういう観点もあるのかあ。
テ:緊急事態宣言が出て自粛してた時も、保護者の人にとっては子どもが学校にいることの方が大事なんだと思った。
な:そうか。つまり保護者のニーズが「とにかく預かってほしい」っていう部分だから、そこに答えざるを得ない部分もあるのか。そこが部活動の長時間労働の問題のボトルネックの1つかもしれないな。
M:中学受験の専門塾も同じようなニーズがあるのかもしれませんね。保護者が帰ってくるのが遅いのでそれまで預かっておいてくれって言うニーズが一定数あるんです。
な:なるほど。預かってもらうついでに勉強になったらラッキーみたいな。
テ:結構根が深いね〜。保護者は部活動を熱心にやってきた世代だからバリバリやって当たり前だと思ってて、しかも預かってほしいから毎日長時間やってほしい。その一方で子どもは休ませて欲しいから、それぞれの思いがなかなか同じ方向を向かないのよね。
な:うわー全員のちょうど良いところを探れないのかな〜。それ逆に発明したらすごいことだよね。
テ:そういう意味で結果を出すのが一番だと思うんですよね。休みをたくさん取ることでこれだけ結果出ましたとか、休むことでこれだけのメリットがありますとか。
M:でもね僕の肌感覚ですけど結構上の世代の方でも「部活ってそんなって長いことやる必要があります?」とか言う方いますね。なんかそういう保護者の人って大事なことが何かちゃんとわかってるなあって印象を受けるし、そういうことをいう保護者の子どもも賢いなあと感じますね。
な:感性が高い人は気付いてるのかな〜!ここまで赤裸々に部活動について語ってきましたけど結局これからの部活動って、どうしていったら良いんですかね?保護者としては「預けたい」っていう思いがあるのは理解できたし、生徒も勝ちたいけど休みたいし、勉強もしたいし、問題が複雑すぎて難しいな〜って思っちゃいましたね。だからなかなか変われないんだろうな。
テ:Mさんが言っていた休み方の指導を学校でしていたら良いんじゃないですかね?「預けたい」っていうニーズは、例えば友達の家で一緒にあそんでいたりしても満たせるわけですし。生徒はとにかく休みの日は好きなことをするべきだと思います。読書でも良いし、映画でも良いし、スポーツでも良いし。好きなことをしながら、たまに手伝いをしたりして、自分の家族を大事にするみたいな流れができれば教師も生徒も保護者もみんな幸せかも。
M:スポーツゴリゴリやりたい人もスポーツにおいて「休憩」を取ることがどれだけ大事か効果があるのかって言う研究を示してあげることも大事ですね。一流のスポーツ選手は休暇の取り方を考えて要るんだなとか教えてあげる必要があるかもしれませんね。
な:確かにな〜。プロ野球選手とかでも、練習しない日とか軽い練習だけの日もあるって聞いたことあるわ〜!
M:実業団の選手とかも1日多くて3時間くらいしか練習しないですもんね。
な:あとは「休み方の指導」においては、先生側もなんかいろいろ興味持って飛び込んで行ったり、遊び方を知っていたりしないと成り立たないですよね。
M:僕が大事だと思うのは学校だけを子どもが所属するコミュニティにしたらダメだと思っていますね。自分が依存というか、所属感のあるコミュニティが学校意外にあることって結構大事だと思うんですよね。学校でしんどくなって、どこにも行くところがないっていう生徒は本当にしんどいですからね。
な:いわゆる「不登校の問題」とかはそう言うところにつながってきますよね。
M:教師側の主張として部活動がその子のコミュニティだって言うんですけど、結局、部活動も学校内のコミュニティだから一緒なんですよね。学校の外にもコミュニティをもたないとって思います。
な:だからクラブチーム行ったりとか、習い事したりとか、塾行くとかもいいですよね。コミュニティーはどうやって増やしていったらいいんですかね?
M:習い事良いですね!
な:確かに、そうやってコミュニティを増やしながら、自分のやりたいことやるってなったら、部活動を週6〜7とかやってる場合じゃないですね。部活動の指導のなかでもやっぱり休むことのメリットを理解させることが大事。さらに適切な「休みの日の過ごし方」を提案してあげるとか「人生の楽しみ方」とかも指導してあげれたらベストってことですね。教師も部活動に依存するんじゃなくて、広くいろんなものやコミュニティと関わり合っていくことで、より部活動の意義ができて、生徒も教師も人生が豊かになるって感じですかね〜!
テ:素晴らしい!そういう風になっていったらいいなあ。ただ今日一番の発見は公立学校の部活動の手当が私立より高かったってことかな。これは明日職場でみんなに言いふらそうと思いましたね!「俺たち意外と恵まれてるんだぞ!」って(笑)
な:それはぜひ言いまくろう!先生たちのモチベが上がるしね!今日もすごくいいディスカッションが出来ましたね。本当にありがとうございました。お疲れ様でした!!