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ここが変だよ!?日本の学校(②授業編PART2)

現職の学校の先生と元教師で、現在の学校教育についてディスカッションしながら、新たな教育の可能性を提案していきます。

このプロジェクトを、悩んでいる学校の先生と、将来教員になりたい学生に捧げます。

企画への思い・詳細はこちらをご覧ください。

<メンバー紹介>
*Mさん
中高一貫の私立学校で働かれています。
民間企業や起業も経験されている経験豊富な先生です。

*テキトー教師さん
https://twitter.com/tekitoo_T_cher
若くして、ある都道府県の中学校で「教務主任」を務められている優秀な先生です。

*ながめ
https://twitter.com/mgnjapan
元高校教師で、現在は予備校講師以外にも、速読教室やアイドル活動、大喜利イベント、などたくさんのプロジェクトを運営しています。

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「ここが変だよ?!日本の学校」授業編2

な:「カリキュラム・マネジメント」もう少し具体的に分かる人は教えてもらえると嬉しいです。

テ:例えば、中学校の事例でいくと数学も理科も扱う単元が学年ごとに決まっています。数学の「関数」に関わる学習で言うと、1年生で「比例」をやって、2年生で「1次関数」をやって、3年生で「2次間数」をやるみたいなイメージですね。

な:うんうん。

テ:理科で「斜面を落下する物体の運動」について中学3年生で勉強するんですけど、その勉強をする際に数学の「2次関数」のグラフ(放物線のグラフ)の内容を知っているとより理解が深まるんですよ。



な:あ〜確かに!あれ両方とも中3でやるんだ!



テ:そのあたり、ちゃんと教科間で連携して、やれたらいいんだけど若干違う時期に今は勉強することになっているんです。それを、同じ時期にやるとか、上手に接続するタイミングで取り扱うことで「理科でやってる実験を理論的に数学で考えたらこうだよ」みたいな説明できると思うんですよね。生徒って、ちょっと間空いただけで、学習した内容を忘れてしまうから、なるべく近い時期にやりたいよね。理科の時間に数学の復習から入らなくていいから学習効率もいいと思うし。これに似たようなことを様々な教科同士でも、できると思うんですよね~

な:なるほど!めっちゃ面白いね〜!ただ、他教科のことがわからないから現場ではなかなか難しいかもね。

テ:小学校でかなり力を入れている学校は、全教科の教えるべき内容をエクセルのシートに入力して、教科間の連携がうまくいくように、学習内容を入れ替えたりしているところもあるらしいよ。

な:確かに小学校はやりやすそう!ちなみに「カリキュラム・マネジメント」って現場でやろうとしたらどれくらいの労力がいるのかな?かなり仕組化しないとマンパワーではキツそうだし。コミュニケーションの密度も高くないと難しそう。

M:本気で実現させようと思って動くとしたら、まず各学年で教えるべき内容を整理するのに3〜4ヶ月。各教科の主任の先生方が集まって会議をして、それを他の先生におろしていくと考えていくと最低1年はかかりそうですね。

な:大変そうやね。後から間違いや不具合が見つかったりするだろうし、修正したりとかしてたら気が遠くなりそう。

テ:ただ今まで話したことはかなり理想論で、実情としては、自分なりの教える順番とかこだわりがある人も多いし統率するのはだいぶ難しいかも。本当にカリキュラムの調整をしようと思ったら、学校をあげて大々的にやらないと無理かもしれないね。

な:確かに!仮に学校をあげてやる流れになって、管理職が指揮をとって巻き込んだとしても、こだわる人はこだわりそうだから、なんかうまくいくビジョンが湧かないな。

テ:確かになあ〜

な:実現したらめっちゃ面白いのにね。例えば古典と日本史とか関連深そうだし、繋がりがわかった瞬間に勉強って急に面白くなったりするからなあ。

M:そうですね!個人的には高校で現代文教えていると「倫理」をやってほしいんですよね!倫理では、時代や地域ごとの人々の考え方の違いなどを勉強するから背景知識として持っておくと、現代文の読解の時により理解が深まると思うんですよね。いろんな時代の文章や哲学を題材にした文章なども多いので。ただ、受験で倫理を選択する生徒って少ないから、蔑ろにされがちで厳しいかもしれませんけど。

な:あ〜確かに。受験の時って、日本史・世界史・政治経済あたりが人気ありますもんね。

M:受験のこともそうですけど、10年ごとに学習指導要領と呼ばれるカリキュラムの、大きな見直しがありますよね。さらにその10年の間で3〜4年おきに微調整が入るじゃないですか。これまで選択制でやってなかった単元を急にやるようになったりとか、逆に無くなったりとか。あれがある上で「カリキュラム・マネジメント」って言われた時だいぶきついよなあ。

な:学習指導要の微調整イベントはヤバイですよね!なんか特に説明もなく、急に薄いテキストが送られてきて「これやれ~」って感じですもんね~!あの丸投げ感、半端ないですよね。

テ:指導要領改定あるあるで、あの薄いテキスト配るん忘れがち(笑)

な:ここまでの話をまとめると「カリキュラム・マネジメント」として、文部科学省が提示している各教科の指導内容を精査して順番を入れ替えるなど効率的に学習できるようにすること自体は皆さん賛成ってことでいいんですかね。

M:うん。できるんだったらそうしたいな。

テ:カリキュラムマネジメントが反映された教科書があったらいいなっておもいますね。例えば、理科の教科書の欄外に「この内容は社会の教科書の何ページに載っている内容と関わってます!」みたいになってたら便利じゃない?!

な:そうだよね〜!ていうかさあ。今現場レベルでできることを話し会ってたんだけどさあ。今の教科書の話も含めて全部、文部科学省の仕事じゃね!?

テ:ほんまやな!

M:あ、でもうまくやってるところはうまくやっていて、歌手の星野源さんが通っていた「自由の森学園」はその辺り上手にやってるって聞いたことありますけどね。正規の授業もあると思うんですが、何人かのチームで学ぶ「総合学習」みたいなものもあるみたいです。それが各教科を横断した学習内容になってると思います。

https://ure.pia.co.jp/articles/-/172269

な:自由の森学園最強だな・・・

M:大阪にある「千里国際高校」とかも、文科省の影響力をあまり受けてないみたいでプレゼンやディスカッションが中心の授業だって聞いたことありますよ。大学受験だけにフォーカスしてない感じで「学び」に重点を置いてるのがすごくいいですよね。

な:そうやって学校をあげて、自由な教育をやってる学校もある一方で、多くの学校では理想はあるけど、忙しくて追いつかないとか、管理職や周りの教員から理解が得られないみたいなのが現状だろうなあ。ちゃんとやれたら面白いんだけど「カリキュラム・マネジメント」ってやっぱり難しいですよね〜



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