読解力1

文章理解ができないのは読解力不足が原因

「読解力が危ない」こう題して特集記事を上げていたのは、読売新聞だ。連日に渡り子供の読解力が低下しているという指摘を、1面の隅を使って展開している。

「読解力」とは読んで字の如く、文章などを読んでその内容を理解することである。この能力が低下している場合、国語の文章問題を解くことも難しく、算数の文章問題を理解して、式を組み立てることさえも難しい。勉強は大人になって役に立つものと、立たないものがあるが、読解力を身につけることは、大人の必須条件である。

読解力は教えられない?

筆者である私も実は一児の父親である。子供の勉強をほぼ毎日チェックしているが、やはり読解力が無いな、と思う場面にたくさん遭遇する。随所にそれが表れるのは、算数の文章問題である。例えば買い物の問題で、みかんの値段は1つ30円。そのみかんを5つ買う。合計金額はいくらですか?という類の問題だ。答えは30×5=150円なのだが、答えどころか、この掛け算の式さえもわからなかったりする。

思わず「嘘だろ!?」と思うが、子供は本気でわからないらしい。(うちの子供の勉強不足かも知れないが、多くの親は同じ悩みを持っているはず)

また、国語の文章を読んで、答えを導きなさいという問題がある。これに至っては問題の文章さえも読むのが面倒らしい。ひどい時は問題の意味さえも理解できていない。勉強を教えるのは本当に大変な作業だと、日々実感させられる。

コミュニケーション能力の欠如

この原因はどこにあるのだろうか。読売新聞の特集記事ではSNSにその原因があると主張している。特に若い世代に爆発的人気を獲得し、もはや若者のステータスであるTwitterやLINEなど、SNSへの依存が読解力低下につながるらしい。Twitterでは140文字以内という制約があり、文章の組み立てをするうえでどうしても削らなければならないことがある。これを繰り返す結果、しっかりとした文章を組み立てるクセを忘れてしまって、それが日常生活に影響されるらしい。また、LINEでは瞬時にメッセージが送信されるため、短時間で思っていることを伝えようとしてしまう。それが文章をきちんと組み立てるということを忘れさせるらしい。

それは大人でも同じことが言える。これらが科学的に証明されて、真実であるならば社会問題になるような案件だが、限りなくSNSが原因だということは誰でも理解できる。LINEでコミュニケーションの幅が広がったと世間は言うが、肝心のコミュニケーション"能力"が奪われるという事態が起こっている。

テレビなどのメッセージ性に問題

さらに疑問なのは、小学生低学年の子供達の読解力低下である。SNSはスマホの普及によって拡散されたが、小学生低学年でスマホを持つ子供は少ないだろう。SNSについてもLINEは家族との連絡手段に便利だと思うが、Twitterをする必要性は皆無である。SNSに触れる機会が少ない小学生低学年の子供たちまで、なぜ読解力が低いのだろうか。それは、テレビやユーチューブなど、メッセージ性が強い映像などが世に溢れた結果、結論のみを重視する世の中の雰囲気に問題があると考える。

わかりやすく言えば、「おもしろいもの」を作ることに励んだ結果、言葉の誤りや不適切な言葉の使い方を多用することで、それを見る子供達の読解力が低下したというメカニズムだ。アニメを見るときにセリフは聞かず、アニメーションだけを見て楽しむ、マンガを見るときにセリフを飛ばして絵だけを見る。お笑い番組でもギャグの部分だけを期待して、前フリを聞かない。それらはなんともないことに聞こえるが、それを日々繰り返すことで、子供たちの考える力を低下させているではないだろうか。

大人が変わらなければ子供は変わらない

責任は絶対に大人にある。社会人でもまとも会話できない人や、読解力が無い人もいる。それがテレビなどに出るのだからおかしな世の中である。娯楽番組のテロップもやめたほうがいいだろう。ただ読んでいるだけ、それが文章問題を理解できないことにつながると思う。小さなことかも知れないが、"ちりも積もれば山となる"。日本社会には悪いチリが積もりすぎているのではないだろうか。

私は子供に文章を読ませることを勧めている。子供は親を見て育つので、私も子供の前で新聞を読んだり、ニュースを見させるようにして、日々訓練をしている。そうすると子供も変わってきて、読書をするようになる。読解力を身に着けるには間違いなく低学年の時の訓練が大事である。これが識字率の低下につながってくると考えたら非常に心配になる。全ての親に警鐘を鳴らしたい。

(大阪発・Mitsuteru.O)

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