美少女の躾け方
ミリオン歌手の作詞作曲を手掛ける地位も名誉もある小室鏡花には秘密があった。全てが欲しいままの彼女が未だに独り身の理由の一つとして同性が恋愛対象という事。そして、さらに女性のお尻…丸く豊かなその双丘を真っ赤になるまで叩くのが好きという事だった。
SMのように独善的に叩くのはあまり好みではない。その昔、母親にされていた躾としてのお仕置きを女性にするのが好きなのだ。
その手のお店に通い欲望を満たしてはいたが、思いがけず自分の日常にお仕置きが組み込まれるようになったのは数カ月ほど前の事。
タワーマンションの隣の部屋に高校生の少女がたった一人で引っ越してきたのだ。
「西園寺美琴と申します。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」
艶やかな烏色の髪、スッと通った鼻筋、薄く紅い唇、細い顎から首筋までが新雪のように白い。
一番特徴的だったのはそのアーモンド型の愛らしい猫のような黒瞳だ。
鏡花はアイドル、タレントなどいくらも見てきたが、これほどただ愛らしく美しい少女を見た事がなかった。
その娘は超有名お嬢様学校に通う清楚で礼儀正しい少女だった。送り迎えはあるようだったが、たった一人で学校と家とを行き来する彼女が、一日中完全防音にしたスタジオ兼自室に篭る鏡花の元へ何かと理由をつけては遊びに来るようになるのにそれほど時間はかからなかった。
そうなるようになったきっかけは引っ越しの挨拶に来た少女と世間話をしている内に彼女が遠距離に住む親戚を覗いては近親者を全て亡くしてしまったと知った事だった。
「じゃあ美琴さんは一人で住む事にしたの?」
「はい。遠縁の親戚はいますが東京近郊にはいません。私は今の学校を変わる気はありませんし、皆お恥ずかしい話ですが両親の遺産の事ばかりで……」
「ああ……」
よくあるわよね、とは口には出せなかった。鏡花も高額納税者の番付けの上位に名を連ねるほどの売れっ子だが、美琴の家はここ数代の新興の家柄ながら莫大な資産を持つ家だった。
いつの世もそうだが、そういう家はその資産を運用するものが早世するとその近親者たちで揉めに揉める。美琴はそれを嫌って絶対に信頼のおける弁護士に資産管理の全てを任せてたった一人で生きていく事に決めた。
「一人では少し大き過ぎる家でしたけど、ここはセキュリティが一番だったので」
「なるほどね。私もそうだわ。一戸建てでも良かったんだけど、コンシェルジュがいて、セキュリティが万全。ジムもあるし気に入ってるの」
両親を亡くし孤独に耐える美しい少女に鏡花は同情しつつも、その美しさに惹かれていた。出来るだけ優しくして上げたい。そう思いながらも隠せぬ欲望が心の内に湧き出てきているのを感じた。
(ああ、こんな子を躾けたい。心ゆくまで甘やかして、厳しくお仕置きしたい)
鏡花は自分のごく普通の優しい心と邪な心の欲望との間で思い悩んだ。
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