日本のドラマより海外ドラマの方が圧倒的に優れているという幻想

総体的に見て、日本のドラマより海外ドラマの方がレベルが高いというのはあると思う。
まあ、海外ドラマにもいろいろあるけど。

海外ドラマが優れているというより、日本のドラマの劣化が著しいというのが正確かもしれない。


でも、ちょっと頑張れば現在の日本のドラマも海外ドラマに追いつけるとは思うんですよね。

つまり、圧倒的というほどの差はない。
(今のところはまだ)


日本に限らないかもしれないけど、自国のドラマは過小評価、海外ドラマは過大評価しがちな傾向があると思う。

ドラマは作りもの、フィクションだけど、それを観る時、人はある程度のリアリティを求める。人物の描き方とか話の展開とか。
所詮ドラマだからと言いながら、あまりに不自然でご都合主義な展開だと冷めてしまう。

自国のドラマにはより厳しくリアリティを求める。だって、そのドラマの舞台は日本で登場人物は日本人というものがほとんどだから。
日本のどこかの街が舞台で登場人物が日本人ばかりなのに、なんの前提もなく街中で銃撃戦が起こったり、ごく普通という設定のカップルがいきなり人前でキス&ハグしたりしたら、視聴者は「何見せられてるの?何コレ?」という気持ちになる。「アメリカのドラマにかぶれ過ぎ」とネットで袋叩きに遭うのが容易に想像できる。

ここまで極端な例でなくても、登場人物が設定に合わない言動を突如始めたりすると、一気に冷める。違和感を覚えてセリフが入ってこない、物語に没入できないという状態になる。


海外ドラマにもそういう事例は、実は結構あるんだと思う。海外の掲示板を見てると、日本の視聴者が日本のドラマを批判する時と同じようなコメントが多々ある。無理矢理な展開、ご都合主義etc。

分かりやすい例で言うと「CSI:マイアミ」。
主人公であるホレイショ・ケインの濃すぎるキャラ、芝居がかったセリフ回し、キメ台詞を言う時のナナメ45度。ホレイショ・ケインの物真似がコメディアン一般人問わずそこそこ流行ってた事もあるらしい。
そう言えば「スーパーナチュラル」でも、主人公の兄弟にネタにされてましたね。

キャラだけでなくストーリーも無茶苦茶。
法の番人たるべき刑事が、他国まで追いかけて妻の仇討ち=殺人をしちゃうんだもの。
で、それをチクられてキューバに送還されて、でも釈放されて、復讐しに来たマフィア?に待ち伏せされたのを返り討ちにして無事アメリカに帰国、と・・・。
もうやりたい放題じゃん。
ぶっ飛びすぎですよ。

そう言えば、誘拐された赤ちゃん救出エピソードも無茶苦茶だった。
赤ちゃんを乗せたまま、車ごと川だか池だかに突っ込む。
いやいや、まだ首のすわってなさそうな乳児、あの勢いで水に突っ込んだら無事では済まないって。
しかも水没した車中から赤ちゃん救出、人工呼吸で無事生き還え・・・らないって、そんな簡単に。
どんだけ生命力強すぎなのよ、その赤ちゃん。
欧米か!じゃなくて不死身か!と某芸人にツッこんで欲しいくらい。

スーパー主人公が幼いけな赤ちゃんを救えなかったら、ドラマとして成り立たないってのはわかるけど。
ここまでご都合主義な展開、日本のドラマでもさすがにやらないと思うよ。

日本のドラマでここまで無茶苦茶な展開やったら、SNSで笑い者にされる事請け合い。

でも、アメリカのドラマだと何となく受け入れられてしまう。

映画「ミステリートレイン」で、アメリカのモーテルに泊まった日本人カップルがバン!て銃声を聞いて固まって顔を見合わせて、でも一瞬後には「まあ、アメリカだからね」でアッサリ受け流す、ああいう感覚に近いのかも。

まあ、外国だったらあり得るのかもねって。

外国に住んだことのない日本人にとっては、外国はある意味ファンタジーの世界ですからね。

日本人的にはあり得ない事も、外国ならあり得るのかな?でなんとなく納得してしまう。
違和感を覚えても、外国が舞台だからカルチャーギャップという事でなんとなく納得してしまう。

その「なんとなく納得してしまう」がある分、海外ドラマのご都合主義には甘くなる。

それが、海外ドラマへの過大評価に繋がるのかな?


海外ドラマが好きで、特にCSIとかの警察ドラマ、ミステリーやサスペンスものは何度も繰り返し観てます。
で、何度も観てるうちに、最初の頃は気づかなかった粗が色々見えてくる。ツッコミどころが実はいっぱいある事に気がついてくる。

で、画面に向かってツッこみながら観るという、海外ドラマの別の楽しみ方を発見する。

最初のうちは「日本のドラマと違って物語のスケールが大きいなあ」などと感心し、しばらくすると最初に観た時には気づかなかった細かい所に気づいて「ああ、このセリフは実はこういう意味だったのか」と新たな発見があり、更に何度も観てるうちに「いやいや、いくらなんでもこの展開には無理あるやろ!」とツッこみ始める。

一粒で2度も3度も美味しい海外ドラマ。

よくよく見ると、日本ドラマに負けないくらいご都合主義があちらこちらにいっぱい散りばめられてるんだけど。

それも含めて海外ドラマを観るのが好き。

出来の悪い子ほど可愛い、というのにちょっと似た感覚なのかな?


そういうわけで、海外ドラマと日本ドラマの差は実は日本人が思ってるほどないんじゃないかな?と思っています。

日本のドラマも海外ドラマも頑張れ!

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