決してラッキーガールじゃない、真のフィギュア世界女王・坂本花織選手
坂本選手、樋口選手、吉田選手、千葉選手、松生選手、そして紅一点ならぬ米一点のアンバー・グレン選手、ファイナル進出おめでとうございます。
だいぶ前から、ずーーーっとしつこくしつこく「ロシアがいないから本当の世界一じゃない」とか、「トリプルアクセルも4回転も跳ばないのに世界女王になれるってwww」と、世界選手権3連覇中の現・世界女王、坂本花織選手をネチネチと貶す人たちがいる。
彼らは理解してるのだろうか?
坂本選手を貶せば貶すほど、その坂本選手に勝っていない他の選手を貶める結果になってるのを。
トリプルアクセルや4回転という高難度ジャンプ絶対主義者たちは理解しているのだろうか?
トリプルアクセルや4回転(今シニア女子で安定して4回転を成功させてる選手はいませんが)を成功させてもなお、坂本選手の得点を上回れない選手をバカにする結果になっている事を。
ロシア女子は確かに素晴らしかったし、強かった。
でも、どこまでがクリーンでどこからがお薬の力だったのか、ワリエワ選手以外にもドーピング違反の選手がいたのかいなかったのか。
国ぐるみのドーピングの疑いが拭えないロシア選手の実績を、そのまま評価していいのかどうか。
その辺が有耶無耶になってる状況では、(頭から疑ってかかるのも違うけど)手放しで認めていいのかわからない。
それが、いちフィギュアファンとしての今の私の正直な気持ち。
いずれにしても、その時その時に出場資格のある選手の中で競うのが当たり前なので、タラレバは意味がない。どの競技でも、そんな事言い出したらキリがない。
フィギュアスケートは番狂わせが起きやすい競技。
その時のメンタルやコンディション次第で大きく結果が変わる。
やってみなければわからない、だから面白い。
そんなフィギュアで「勝つべき時に勝てる」「下馬評通りの結果が出せる」選手はそうそういない。
かつては坂本選手も、成績が不安定な時期があった。
全日本選手権で初優勝した後、変に自意識が出てしまったのか、直後の四大陸選手権でまさかの4位、優勝どころか表彰台も逃した。
次のシーズンは全体的に不調だった。らしくないミスを連発した。
その後復調したが、それでも波があった。
五輪で銅メダルに輝き、その後の世界選手権(ここからロシア不在)で初優勝、世界女王となったが、翌シーズンのグランプリファイナルでは、優勝確実と見られながらまさかの5位(6人中)。
何度も挫折を味わい、そこから這い上がって来た。その地道な努力と経験が今の強い坂本選手を作っている。
決して、「ロシアも紀平もいなくてラッキー」とアンチの人たちが皮肉で言うような選手じゃない。
第一、フィギュアはジャンプだけの競技ではない。
フィギュア「スケート」なのだから。
フィギュアスケートの全ての要素の土台となっているスケーティング。
その技術で、坂本選手は群を抜いている。
普通、ジャンプを跳ぶ前には助走の勢いを付けるために加速する。
でも、跳ぶ直前に大抵の選手は減速する。
スピードをコントロールする、と言った方が正確かもしれない。
坂本選手はほとんど減速しない。助走のスピードを維持したままジャンプを跳ぶ。
助走のスピードを活かして跳べるから、無駄な力が入ってない。
これは他の選手がなかなか真似できない所。スピードを維持したままジャンプを跳ぶには、それだけの技術やボディコントロール能力が要る。
素人なんで詳しくはわからないけど、多分力に頼って跳ばないからだろう、空中で軸が傾いたジャンプをあまり見たことがない。空中で軸が傾いてて「あ!これコケる!」とハッキリわかった坂本選手のジャンプは、4回転トゥループという大技にチャレンジした時くらいしか印象にない。
他では、強いて言えばになるけど、ジャンプの着氷が危なかったのに、強引にセカンドやサードジャンプに繋げようとしたコンビネーションの時くらいかな?
いや、あれは軸と言うより、勢いがなくて回転が足りなくての転倒だったかも。
とにかく、最近の坂本選手は頼もしい。多少ミスが出たとしても、バタバタっと崩れない。
抜けたジャンプ(抜けるとは、例えば3回転のつもりが1回転や2回転になること)に3トゥループをしっかり付けてリカバリーするなんて、誰でも出来ることじゃない。
外野からはそう見える坂本選手、揺るぎなき世界女王になった今でさえ、試合前に緊張でメイクが出来なくなるほど手が震えたと言う。
グランプリシリーズ2戦目のNHK杯の時だったかな?
フィギュアに限らずだろうけど、それくらいトップの座を維持する事、追われる立場というのは大変なプレッシャーがかかるんだと思う。
更に、坂本選手は大きな怪我がない。それもアスリートにとっては才能の一つ。
あれだけ毎シーズン多くの試合に出場し、アイスショーにも出演し、それでも毎シーズン、コンディションを維持している。
持って生まれたものやチームのサポートのおかげもあるのかもしれないけど、本人の努力もあるんだと思う。(怪我の多い選手を下げる意図はありません、体質や体格とかの個人差やいろんな条件があると思うし)
とにかく、今のポジションは坂本選手がコーチ始めチームのサポートを得ながら、自分の力と努力で手に入れたもの。
挫折を乗り越え、良い事も悪い事も全ての経験を糧にして自分の手で掴み取ったもの。
決してラッキーガールじゃない。
アンチの人たちがどんなに貶めようとしても、その事実は揺るがない。
それに、最初に言ったように、坂本選手を貶める事は、イコール他の全ての現役選手を貶める事。
その事にそろそろ気づいて欲しい。