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政治の話はキッチンで

淹れたばかりのコーヒーの香りが漂うキッチンで、いつもの立ち話が始まる。私たちは滅多に座って話をしない。

起きたての体にコーヒーを流し込みながらルームメイトのAriちゃんの話に耳を傾ける。

仕事先で、同僚の年が一回り違う白人女性が同僚のアジア人男性二人を見分けられず、ずっと同じ名前で呼んでいたらしい。

以前、話した、白人は犬を見分けられるのに、アジア人や黒人を見分けられないというジョークを使い、二人でお腹を抱えて笑う。

そして話は唐突に変わる。


カナダに来てからというもの、政治の話をコーヒーや紅茶を飲みながら、仲間内でするのは日常茶飯事です。

ヨーロッパに在住していた時は“もし世界戦争をしたらどこの国が一番強いか”という話をよくしました。物騒な話ですが、みんな躊躇なく意見を交換します。

勿論、意見が食い違えば討論になります。殴り合いにはなりませんが、白熱します。

私のインド人の友人は中国人の同僚と政治のあり方について討論し、自分の意見を無理やり押し通した結果、次の日から口を聞いてもらえなくなったらしいです。

日本を出て、海外在住を続けていると、政治の話のハードルがガクッと下がりました。

それでも、最初は戸惑ったので私は漫才から入ってみました。

Hasan Responds: Does Patriot Act Use A Laugh Track? | Patriot Act with Hasan Minhaj | Netflix

Hasan Minhaj アメリカのコメディアンです。英語以外にも世界中で何が起こってるかを面白おかしく話してくれるのでとても勉強になります。

ここでAriちゃんとの会話に戻ります。

Ariちゃんは「フリースピーチをインターネットを使って乱用している人が多い」とよく言います。「公衆の面前で差別的な発言を公表してもいい訳ではない」というのが彼女の意見です。

誰にも監視されていないキッチンで私たちはいろんなことについて話します。

そして、毎回この一言で立ち話は終わりました。

「今は2019年よ!」

今年24歳になるAriちゃんは誇らしげそう叫び

私はちはそれぞれの部屋に戻りました。


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