旅行記 逃避行ハワイへ #18
Hi, this is Japanese AKI.
さようなら、息子の子供時代
ハワイ最終日の夜です。私は最後はやはり、一番お気に入りのインターナショナルマーケットプレイスで過ごしたいと思い、ぶらついていました。タトゥーを彫ってもらっている若い日本人男性がいたので(ハワイに来たノリでいれたら、一生後悔するのに...。)と思いながら、どうやってタトゥーをいれるのか息子と見ていました。
病気で会社は辞めていたので買わなければいけないおみやげもなく、のんびりぶらぶらしていると不意に女の人に名前を呼ばれました。(え?ハワイに知り合いなんていないけど???)そう思ってきょろきょろすると、昨日行った『野生のイルカと泳ぐ』というツアーの綺麗な女性スタッフでした。
「こんばんは、ここで何してるんですか?」
「船だけじゃ食べていけないので、夜は屋台をやっているのよ。」
「へー、そうなんですね。」
「それより、一日惜しかったですね!」
「何が?」
「今日、くじらが出たんですよ!」
「えええええ!それって聞きたくなかったなぁ。」
私は苦笑いしただけでした。あとになって後悔したのですが、あのとき彼女からアクセサリーを買ってあげるべきでした。我ながら、ほんっとうに気が利きません。
つぎの朝、空港へ向かいました。バスの中はしーんと静まり返っています。私はどうしても JTB のオリオリ・トロリーの意味が知りたくて、送迎の人に小声でたずねました。
"Excuse me, sir. What does OLIOLI mean?"
すみませんが、オリオリってどんな意味ですか?
送迎の人は突然、大きな声を出しました。
"OLIOLI means fun!!"
「オリオリの意味は楽しいだよ!」
"Yeah!! Fun!!"
「そうさ!楽しいだよ!」
運転手さんも叫んで、賑やかなおしゃべりがはじまりました。どうやら私が彼らの感じていた重苦しい沈黙を破ったようです。
"I see!! Fun!!"
わかりました!楽しいですね!
3人でおしゃべりしながらバスは進んで行きましたが、空港ぎりぎりに聞いたのであっという間に着いてしまいました。
"Thank you, you guys!!"
ふたりとも、ありがとう!
私はくだけて言ってバスを降りましたが、そのあと降りてくる沈黙の日本人の団体はちょっと異様でした。
日本に帰って来て診察を受けたあと、帰ろうとする私に先生が思い出したようにたずねました。「そういえば、旅行は行ってきたんですか?」「はい、行ってきました。」「そうですか。どちらへ?」「ハワイです。」
先生は驚いて「ハ、ハ、ハワイ???」と声がひっくり返りました。
「なに考えてるんですか!時差だけで発病する人もいるんですよ!」
私はがっつり叱られて『旅行禁止令』を出されてしまいました。先生はどこかその辺の温泉にでも行くと思ったのでしょうね。
こうして私の逃避行、息子との弾丸ツアーは終わりを告げました。そして旅の終わりと一緒に、もうそろそろ息子も思春期を迎える頃です。みなさんにひとつお伝えするなら、どうか素敵な思い出をつくってください。子どものためではありません。それはいつか、自分のための、宝物になるはずです。
Thank you for listening. I hope you like it and follow me.
音声でもどうぞ→Face Book, Aki Chiba
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