「withコロナ」の企業理念②
企業理念、クレドの歴史的変遷を辿り、withコロナ時代の企業理念の在り方を考えて行きます。今回は理念の変遷を全5期に分解したうちの第2期にスポットを当てます。
第1期(基礎期)である経営者からのトップダウン型ガバナンスが社是社訓に代表される企業理念として上手く機能していたことは疑いの余地はありません。
ところが2000年あたりのCI、ブランディング戦略を打ち出し始めたころから、「理念が浸透しなくなった」という意見を経営者から聞く機会が増えてきました。
2000年は、日経平均が2万円をつけた後、相場全体が下落。いわゆる「ITバブル崩壊」が起き、その後15年続く不況が始まろうとしていました。また食品メーカー雪印に端を発した全国的な事件も発生しました。
これまでのトップダウンによるマネジメント手法に疑問が投げかけられ、お題目だけの理念やお客様第一主義に多くのビジネスマンが疑問を持ち始めた時期でもあったのです。
その時期にまさに脚光を浴びて登場した概念が「クレド(Credo)」でした。リッツカールトン日本支社長だった高野登氏が著した『サービスを超える瞬間』が多くの読者を獲得し、本当のお客様第一主義の考え方やそれを体現するためのツールとして「クレド」という言葉が、あたかも”魔法の杖”であるかの如く広まった時期とも重なりました。
それが理念の歴史変遷の第2期に当たります。
本当のお客様第一を考える。企業理念は人材育成ツール。マニュアル主義からの脱却。自ら考えて動ける社員を創る…など次々と新しいマネジメントの概念が脚光を浴びました。
最も大きなメッセージは、カリスマ的な経営トップが作るものと考えられていた企業理念を、全従業員の参加型で作り育てていく、という画期的な転換が広く受け入れられたことです。
この時代の閉そく感を打ち破る”爽やかさ”をこの外資系ホテルチェーンが運んで来たとも言えます。
その概念は20年後の今日の企業理念やクレドをベースにしたマネジメントに脈々と引き継がれ、第3期へと進化していくことになります。
それでは第3期の変遷を次号に。
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