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【フォーラムレポート】2024年JCCは自治体・地域DXを積極的にサポートします!

2024年がスタートしましたが、とても不安な日々を過ごされている方も多くいらっしゃると思います。まずは被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

2023年10月26日のフォーラムをもって「Japan CDO Community(JCC)」は、様々な背景を持ったデジタル人材が、そのポテンシャルを発揮できるように、地域を超えた相互交流・助け合いの仕組みとして発足しました。

サステナブルな地域づくりや地方自治体の業務改革にDXは不可欠であり、デジタルによって繋がる共助の仕組みによって、JCCはデジタル人材をサポートします。JCCのミッションは以下の2点です。
 ・デジタル人材と自治体職員・地域住民のWIN-WINの関係を築くこと
 ・デジタル人材が幸せに働きキャリアアップする環境を作ること

※ミッション、活動方針の詳細はJCCのHPをご覧ください

このミッションに沿って、2024年にJCCは活動を本格化いたします。
具体的な企画は現在鋭意検討中で、詳細が決まりましたら、こちらにてご紹介させていただきます。

発足フォーラムでも、2024年の活動のヒントがたくさんありました。
まずは、2023年10月26日に開催されましたフォーラムの模様をご覧いただき、2024年のJCC活動にご期待いただけますと幸いです!

『Japan CDO Community発足! ~CDO/CIOが語る地域DX、自治体DX推進のこれから~』

■開催日:2023年10月26日(木)
■会場:幕張メッセ (Japan IT Week (秋)のプログラムとして実施)


■パネル1 異なる組織⽂化の融合と自治体DX の未来

【モデレーター】:前 三重県 CDO 田中 淳一
【登壇者】
・北九州市 財政局長(前 デジタル政策監)上田 紘嗣
・群馬県 DX 推進監 岡田 亜衣子
・福島県 西会津町 CDO 藤井 靖史
・東京都 副知事 宮坂 学

テーマ1:⽂化融合の経験と教訓

田中モデレーター)
パネラーの皆さんは、国、大手デジタル企業、スタートアップ等、多様なバックグラウンドを持って自治体に入られたと思いますが、異なる組織⽂化に融合する際のエピソードやコツをお聞きかせください。

モデレーター:田中 淳一さん(前 三重県 CDO)

藤井さん)
スタートアップから自治体へ入ることは、まるで異世界に転生するようでしたが、最新の技術で地域を変えられるところに魅力を感じていまして、デジタルを導入するのが楽しいのではなく、スタートアップではネット上で世界中の人と一緒にモノを作っていたように、自治体の方と溶けていくことに面白さを感じています。
私がスタートアップで事業を作る際にも意識したことですが、温度差、対流、構造化の順で進める「お味噌汁理論」というものがありまして、自治体に入ったときも温度差をとても感じましたが、今ではこの温度差、摩擦からモノが生まれてくることを実感しています。たまにはやけどをすることもありますが、スタートアップの世界に通じる面白さがあると感じています。

パネリスト:藤井 靖史さん(福島県 西会津町 CDO)

田中モデレーター)
「お味噌汁理論」は温度差があるから、ぐるぐると回って、融合しているということですよね。

岡田さん)
私は異次元の世界に入るという認識で覚悟して自治体に入ったので、ご指摘頂いたほどには違和感は感じませんでした。違いよりも驚きと発見と学びの連続の日々です。
自治体は外からはわかりにくく、接点が限られると思います。中に入ってみると自治体の仕事の幅の広さ、奥深さ、自治体職員の個性的なところを知り、様々な人と接することで知的好奇心が刺激され、成長を感じられる毎日です。
自治体職員は社会を変える当事者で、この当事者になれることには、とてもやりがいを感じます。

パネリスト:岡田 亜衣子さん(群馬県 DX 推進監)

田中モデレーター)
ダイバーシティ&インクルージョンと同じで、お互いの違いを知るというところから入っていくと、好奇心になって、楽しんでいけるということですね。

上田さん)
私は総務省出身で、他省庁のほか滋賀県、徳島市、沖縄市など多数の出向経験があり、各組織の違いを感じてきました。ただこれは、初めて就職するときに誰もが感じるものと同様のものだと思っています。
新しいところで働く際に私が心がけているのは、まわりをよく観察し、どういうルールが明示的・暗黙にあるか、自分にはどのような権限があるか確認することです。周囲の流れを理解し、自分がどのように付加価値を付けられるかを考えて動くこととしています。

パネリスト:上田 紘嗣さん(北九州市 財政局長(前 デジタル政策監))

田中モデレーター)
新たな組織に入ったら、よく観察して、慣習やルールの経緯を知ることからスタートすることが重要だということですね。

宮坂さん)
民間で25 年、公務員として5 年目なのですが、行政の仕事は民間と似ている点が2つあって、1つはM&A。M&A は異なる企業カルチャーの人が一緒になって、PMI (Post Merger Integration:M&A 成立後の統合プロセス)で統合していきますが、M&A は上手く行かないケースも多い。民と民でも難しい⽂化融合を官民でやろうとしているので、より難易度が高い人の動き方になるだろうと感じています。
もう1 点はDX の仕事は営業に似ているという点です。営業はお客様が何に困っていて、どういうモチベーションで仕事をしているのかを考えながら活動をしますので、都庁のDX 化で一番役に立っているスキルはデジタルのスキルよりも営業のスキルだと感じています。

パネリスト:宮坂 学さん(東京都 副知事)

田中モデレーター)
心と心のつながりを作ることは営業として重要で、必ずしも技術一辺倒の方ばかりではなくて、営業マインドや変革マインドが強い方がDX を進めていくことも有効かもしれませんね。

宮坂さん)
そう思います。営業のお客様の行動変容するところと、デジタルを好きでは無い方に、好きになってもらえるようにするプロセスは似ていますよね。営業マインドがある方がチームにいるとスムーズに物事が運びやすくなると思います。

田中モデレーター)
色々なスキルを複合的に組み合わせて、楽しくなるように進めていかないと変革は長続きしないですよね。

宮坂さん)
行政のデジタル化は50 年、100 年やるわけですから、現場にいる人がデジタルで仕事を進めることは楽しいと思わなければ続かないですよね。
行政のデジタル化を進める上で、小売り、物流、旅行、飲食等でDX をやっている方は心理学的なことを大事にしているので、とても参考になりますね。


テーマ2:行政と民間の垣根を超えた円滑な労働移動の実現を目指して


田中モデレーター)
2040 年問題、すなわち2040 年に向けて労働力がどんどん減っていき、労働力を地域全体で分かち合っていかなければならない時代が間もなくやってきます。
地域全体での円滑な労働移動が地域の持続可能性に直結していくことなども踏まえて、皆様にご意見をいただきたいと思います。

上田さん)
私は北九州市で、自ら率いる組織の「事務執行指針」を作成しており、特に禁止事項の明⽂化により、モチベーション低下につながる「梯子を外す」ことを回避することとしています。
例えば、責任者である私に相談することなくしては、組織内部からコンテンツや情報を発出することを禁じています。粗くても良い、2 割の完成度でも良いので私まで相談いただいたうえで、内容については組織内外の知見のある方も巻き込みながら作ることにしています。
このように、ひとつのチームを作るために、あらかじめロードマップや禁止事項などを明らかにすることとしており、こうしたプロセスにより組織のメンバーの予見可能性を高めることは、行政と民間で労働移動を進める上でも役立つと考えています。

藤井さん)
私は4 自治体を担当していますが、プロジェクトはslack で管理をしており、そこに企業の方も参加してもらっています。
自治体の方はプロジェクト管理の経験があまりない場合がありますが、民間の方と一緒のslack でログを確認しながら業務を進めることで、民間の仕事の進め方が見えてくると思います。これが見えてくると、他部署への展開も広がってきます。
行政職員は孤独です。小さい自治体になるほど情報系はひとりで業務を回しています。相談する相手が誰もいないのが実情なので、コミュニティで仲間がいる状況にすることで、色々なことが円滑に進むと感じています。

田中モデレーター)
新しいツールを使って、仕事の進め方を可視化して、体験もらうことは重要ですね。

岡田さん)
群馬県では3 年前から、今いる行政職員には無い専門性やスキルが必要なこともあり、ICT職の採用をはじめています。ただ、このICT 職員の業績評価は他の職員と変わらないことに疑問を感じており、また、評価する人もICT 職員を必ずしも適切に評価はできていません。
これでは正しい人材の評価やキャリアップにつながらず、また、強い組織になるためにはICT 職に限らず多様な人材を適材適所で配置しなくてはならないので、外部人材活用の意味でも評価・人事制度を柔軟に変えていくことが円滑な労働移動に繋がると考えています。

田中モデレーター)
人口が減り、職員も減っていく中で、ピラミッド型からフラット型へ大きな組織変革をやっていく必要があるように感じています。

宮坂さん)
組織が強くなるためには、優秀な人材を採用する、やる気にさせる、あとは辞めさせないことの3 点が必要だと思っています。
デジタル人材が不⾜する中、行政×デジタルを行う人材はものすごく希少種であり、公共の領域の中でデジタルの仕事をする面白さや醍醐味を言語化して伝えることをGovTech 業界全体で行っていく必要があり、これをJCC と一緒にやっていきたいと思っています。
行政の内側でデジタルを実行する人、民間企業の中で行政の仕事をする人など、トータルでGovTech 業界に入ってくる才能の量を増やすことが重要であり、そのためには公共デジタル領域の仕事の面白さを掻き立てることが大切です。
やりがいだけでは優秀な人材を確保できませんので、待遇や給与面等も改善する必要があると考えています。官も民もトータルで、GovTech 業界全体でデジタル人材の総量を増やし、それぞれのキャリアアップにつながる取り組みを作った後に、官民の労働移動がはじまると思います。

田中モデレーター)
行政×デジタルの領域で、楽しんでいる姿を可視化していく、まさにJCC がやっていくべき活動だと思っています。

藤井さん)
中央ではない小さな自治体で実行する面白さを発信していく必要があると思っています。国を変えるのは大変ですが、小さな自治体はものすごいチャンスがあるので、それを形にして、発信できればと思っています。

宮坂さん)
企業にいる時も経営企画より現場で顧客対応する営業が強くあるべきと教えられてきました。GovTech 業界の営業とは住民と最前線で向き合う区市町村だと思います。
現場である区市町村の面白さを言語化し、伝えることがGovTech 業界に応募する人を増やす鍵になると思います。

田中モデレーター)
民間、国などから自治体に入ってきてデジタルを進めてきた人たちが集まって話をする場は、今まで無かったように思いますので、JCC で少しずつ挑戦して行きたいですね。

テーマ3:JCC への期待


田中モデレーター)
新しくはじまったJCC の期待について皆様からお話をいただきたいと思います。

岡田さん)
自治体をキャリアパスとして考えてもらうためには、外から見る自治体と中で知る自治体のギャップを縮めることが必要です。そのためにそれぞれの自治体の特徴を指標化して皆様に知っていただく活動があるといいと思っています。

上田さん)
日本の行政や社会は、他の先進国と比較しても高い水準にあると思いますが、支える力が弱ってきている、日本の持つ力が上手に合わさっていないと思います。JCCを通じて官民での越境体験がある方の知見を紡いでいくことで、官民の労働移動など人材リソースの社会的な適正配分が進み、みんなの力でよりよい社会になっていくことを期待しています。

藤井さん)
東京都の副知事の宮坂さんと、6,000 人の人口の自治体CDO である私が並ぶことこそ、JCCがあることで小さい自治体がこのような場で発表できるように引き上げてもらっていることだと感じています。他にも同様の自治体があるので発信できるとありがたい。

宮坂さん)
GovTech 業界の魅力や面白さ、醍醐味をみんなで言語化して、業界全体でアピールすることで、職業の選択肢のひとつとして入れてもらうようにすることは、業界として大きな挑戦です。
それを行政だけでなくて、民間企業でGovTech を実行している人も一緒になって、官と民をぐるぐるとまわる世界を作っていくことは大事だと感じています。
民間企業から行政に思い切って行ってみようという意欲がある方がルールの違いで苦労することは避けたいです。勇み⾜はあるかもしれませんが、意欲ある方が新しいルールに馴染めるような取組をやった方がいいと思います。たとえば地方自治法を学ぶ会を、JCC でカリキュラムを作ってやってみてはどうでしょうか。

田中モデレーター)
ぜひJCC でやってみたいと思います。JCC としては情報発信も強化して、GovTech 業界に興味を持つ方を増やして行きたいと思います。



■パネル2 自治体DX から地域DX へ 急速に革新するデジタル技術とどう向き合うか

【モデレーター】:神奈川県 CIO 兼 CDO 江口 清貴
【登壇者】
・兵庫県 情報戦略監 赤澤 茂
・岡山県 西粟倉村 CIO、三重県 デジタル推進フェロー 関 治之
・大阪府 CIO 兼 スマートシティ戦略部長 坪田 知巳
・石川県 副知事 / CDO / CGO 西垣 淳子

テーマ1:自治体DX から地域DX へ急速に革新するデジタル技術とどう向き合うか


江口モデレーター)
パネル開始に先立ちまして、今日は皆様から本音でご発言いただきたいと思いますので、所属する組織としてではなくて、個人としてのご発言いただきますようお願いいたします。
それでは、生成AI、メタバースなど、どんどん出てくる技術に行政はどのように向き合えば良いのかをディスカッションしていきたいと思います。

モデレーター:江口 清貴さん(神奈川県 CIO 兼 CDO)

赤澤さん)
デジタル技術を使わないと、これからの人口減少に対して公共サービスを維持することが不可能ですが、実行してみると失敗体験が多いことがわかってきました。
生成AI は便利なことがわかってきましたが、DX までやろうとすると、回答が出る仕掛けを作る必要があるので、ハードルが上がります。自動運転やライドシェアについても技術はあっても、法律面等で導入できないという課題が全国で散見されています。
他がやったことはやらない等、トライ&エラーの情報共有をしながらやっていくのが必要だと思います。自治体が広域でやるべきテーマはあると思うので、情報共有しながら進めて行けるといいかなと思っています。
デジタル田園都市国家構想交付金も使って、データ連携基盤等で基礎自治体と連携しながら実施していますが、やってみるとお金があるからといって出来るものでも無いということがわかりました。課題ファーストで取り組まないと手段が先行することになってしまうので、コミュニティを作って連携をしながらやらなければならないですね。

パネリスト:赤澤 茂さん(兵庫県 情報戦略監)

関さん)
探索をして技術を理解することと、現場に適応して使えるものにしていくことを同じ評価軸で見ることはできません。探索モードなのか、進化モードなのか分けて考えて、実行する体制も分けて作って行く必要があります。
探索モードは技術を理解することとして、仮説を立てて実証していきます。そのために、やる気がある人によるチーム作りや、リスクを考慮した予算を確保する等の環境が必要になります。行政だけでは限界があるので、GovTech 企業や他自治体の事例を取り入れる、評価するパートナーシップも重要です。
進化モードは、新しい技術を取り入れることで効果が得られそうな業務を繋いでいくことが重要なので、原課で仕事の意味、理想像を持っていることが求められます。その上で、横ぐしを刺す推進チームを作り、新しい技術を取り入れた業務フローの作成や模擬業務を行いながら、BPR も含めて推進しています。

パネリスト:関 治之さん (岡山県 西粟倉村 CIO、三重県 デジタル推進フェロー)

坪田さん)
大阪府では、一人暮らしの高齢者向けに「大ちゃんとはなす」というサービスがあります。これはChatGPT を活用して大阪弁で大ちゃんという犬のキャラクターが雑談に応じてくれるものですが、面白いと感じてくれた企業と一緒に取り組みを進めました。ChatGPT 以上の機能を持っているものではありませんが、大阪弁を話す犬のキャラクターが親しみやすく、利用登録もしやすくなっています。
ただ、ChatGPT なので時々間違いはあります。行政は批判をされると折角のチャレンジをやめてしまう場合もあり、また、その批判をされないために新たなチャレンジをしないという場面も民間からすると見受けられ、デジタル化が進まない要因のひとつになっているように思われます。
日本のデジタルは過剰な平等主義で「誰ひとり取り残さないデジタル」がややもすると「 ひとりで先に進ませないデジタル化」になりがち。遅れている人に合わせるデジタル化が先進国から遅れていっている原因ではないでしょうか。

パネリスト:坪田 知巳さん (大阪府 CIO 兼 スマートシティ戦略部長)

西垣さん)
2つ話したい。1 つ目、石川県はデジタル田園都市国家構想交付金に採択された市町の割合が全国トップ(17/19 市町)でした。これは課題から始めた結果です。技術ありきではなく課題に対して何ができるかを県と市町が一緒になってリエゾン会議を行い、課題に対して行うべきデジタル実装について議論をしながら内容を組み立てています。自治体のtech はデジタルツールからではなく、地域課題から入り、そこにデジタルがわかる人が支援しながら
地域のデジタル化を進めることが大事だと思っています。
ひとつの例として高齢化率が50%で後期高齢者が3 割もいる過疎高齢化最先端の市で、技術的には最先端のステーブルコインの地域通貨導入を行っています。高齢化が進むと助ける側も高齢化がどんどん進んでしまうため、やりとりも含めてデジタルのポイントにし、共助の持続可能性をバックアップするために、普通の通貨との交換性もある地域通貨を入れました。
2 つ目は、生成AIの活用について、石川県ではAIの県知事「デジヒロシ」を導入しました。行政の新たな取り組みなので、安全運転でスタートしています。発信をすることでフィードバックが取れること、そして発信を変えていくことが重要です。炎上させないような安全運転のなかで色々なトライをして、良い反応が出るとうれしいので、こういうやり方が新しい技術との向き合い方ではないと思っています。

パネリスト:西垣 淳子さん (石川県 副知事 / CDO / CGO)

江口モデレーター)
ChatGPT、Web3、NFT を使って何かやりたいと言われがちですが、CDO はテクノロジーからは入りません。政策の課題を解決するためのツールとしてデジタル技術を使っていくことがCDO の役割のひとつです。JCC もそのようなマインドの方々に集まってもらうことを期待します。


テーマ2:目指すべき地域DX と行政が出来ることとは?


江口モデレーター)
少し広めのテーマですが、目指すべき地域DXと行政ができることをお聞きしたいと思います。

赤澤さん)
本来は行政DXで効率化して、窓口業務等を効率化して地域DX へリソースをシフトしていくことが理想のあり方だと思っています。
スマートシティは大きく投資してインフラを整備する大⽂字のスマートシティと、自治会や福祉効率化のような小⽂字のスマートシティがあって、小⽂字のスマートシティは自治体の得意な分野なので、小さな投資で小さな成功をすることを繰り返していくことを進めて、大きな投資は東京や大阪に推進してもらうように、行政の中でも役割分担が必要と考えています。

江口モデレーター)
自治体はイノベーションと安定稼働のバランスをこれから考えていかないとならないですね。

関さん)
マーケットのあり方を変えていかなければならず、データ連携基盤でも行政の仕様に沿って、業者が作って儲かるという図式はおかしいと考えています。安く作って、オープンソースにする、共同利用することが望ましいです。少なくとも相互運用ができて、共通の基盤の上で事業者がサービスを提供することで儲けられる仕組みであるべきで、開発費を人月で換算するのではなく、サービスの利用に応じて対価が得られる仕組みや手数料で儲ける仕組みにしていかないとならないと考えています。
そのためにはマーケットサイズが大きくなくてはならず、ひとつの自治体ではなく、多くの自治体で相互利用できるデータ連携基盤でユーザーを増やす必要があると考えています。

江口モデレーター)
官だけではやれることは限られているので、行政、自治体DX に民間活用は不可欠ですが、民間を巻き込む場合、マーケットサイズは絶対に必要ですね。そのためには自治体でも調達の仕方を変えなければならないのですが、とても重要な論点だと思います。

坪田さん)
大阪広域データ連携基盤ORDEN は、大阪府はスーパーシティ特区制度に選んでいただき、特区制度下で手間と費用をかけたデータ連携基盤です。経済団体から、「大阪府だけで素晴らしいものを作っても、自治体内だけのデータ連携では民間からすると価値がない」と指摘をされました。そこで、ORDEN のソースコードを他自治体に無償で公開していくことにしました。
まずは関西全体で共有することを目指していましたが、全国の自治体から参加したいという声が多数ありました。共同化することで民間にとっては参入メリットが大きくなり、自治体にとっては、コストの割り勘効果が得られます。
自治体ごとの行政デジタル化の推進、住民サービスは限界です。アナログ時代の行政サービスは人対人なので、一定の面積で括ってサービスを提供することが合理的だったと思いますが、デジタルサービスになると、自治体を越えたサービス提供が可能ですので、インバウンド観光客や海外留学生もユーザーになると考えています。
自治体ごとのバラバラの行政デジタル化は限界に来ています。デジタル時代の行政サービスは広域化に向かっていく必要があると考えています。

西垣さん)
データ連携基盤を共有していくことはまったなしの状況で、個別に行ってきたスマートシティを見直すチャンスだと思います。
地方自治法の世界観はアナログ時代からきているものなので、見直さなければならない時代にあると感じています。

江口モデレーター)
パネラーの皆様ありがとうございました。他にもディスカッションしたいテーマがありましたが、残念ながら時間となりましたので、今回のセッションを終わりたいと思います。


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