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【北海道標津町で漁師になる】v16-1 北浦優翔さんインタビュー

今回は、「北海道標津町で漁師になる」ことを目指し、北海道大学水産学部を休学し水産課題と向き合う、北浦優翔さん(22歳)にインタビューを行いました。

標津町の現役漁師によって運営される「波心会」に籍を置く北浦さんは、波心会の経営するゲストハウス「潮目」の管理人としても活躍しています。
なぜ水産に?なぜ漁師に?から始まり、実際に漁師として働いているからこそ感じる水産の課題を深堀りしました!

北浦さん

インタビュアー:本日はお時間をいただきありがとうございます。現在は大学を休学して漁師をされているそうですね。どのような経緯でこの道に進まれたのですか?

北浦優翔さん(以下、北浦):ありがとうございます。今はがっつり水産業に取り組んでいますが、大学に入るまでは全然そんなつもりはなかったんです。自然は好きでしたし、海も近くにありましたけど、水産業にのめり込むなんて思ってもみませんでした。

インタビュアー:大学入学が大きな転機になったんですね。そのきっかけは何だったのでしょうか?

北浦:大学に入る前は、ずっとサッカーばかりしていました。部活漬けの毎日で、とにかく熱中することが好きな性格なんです。でも高校3年生の時にコロナ禍で部活ができなくなってしまって、友達にも会えない状況になりました。その時、「自分が熱中できる新しい何かを見つけたい」と思ったんです。

インタビュアー:その時に勉強にシフトされたんですね。

北浦:はい。勉強なら一人でできるので、せっかくやるなら目標を高く持とうと思い、大学進学を決めました。特に、自然に関わる学問に興味があったので、実際に現場で学べるような分野を選びたかったんです。僕は単純なので、「自然といえば北海道だ!」と思い立ち、北海道大学を志望しました。

インタビュアー:なるほど。それで水産学部に?

北浦:正直、最初は水産学部にこだわりはなかったんです。総合入試理系で受験して、前期試験では不合格でしたが、後期試験で水産学部を志望して受かりました。本当に偶然のご縁で水産学部に進むことになりました。

インタビュアー:大学ではどのような勉強をされましたか?

北浦:1年生の頃は基礎的な授業が多くて、思っていた「自然に触れる学び」にはなかなかたどり着けませんでした。そこで、1年休学して現場を見て回ることにしたんです。漁師さんや加工会社、漁協を訪れて、インターンをさせてもらいました。

インタビュアー:その経験が現在の活動につながっているんですね。

北浦:そうですね。現場で出会った素敵な人たちの影響で、水産業に本気で取り組みたいと思うようになりました。それで「レディ魚ー」という活動を始めたんです。

インタビュアー:レディ魚ーの活動について教えていただけますか?

北浦:活動内容は大きく2つです。1つは漁村訪問や漁師さんへのインタビュー、漁業体験です。もう1つは魚の販売活動で、漁師さんから仕入れた魚を販売するというものです。1年間活動を続けましたが、振り返ると自己満足な部分が多かったと気づかされました。

インタビュアー:その気づきはどのようなきっかけで?

北浦:実際に漁師として働いてみて、自分の考えが現場では全く通用しないことを痛感しました。「現場のためだ」と思っていたことが全然役に立たなかったんです。日々の仕事の中で責任を持つことで、その現実を実感しました。

インタビュアー:現在の標津での活動についても教えてください。

北浦:今は北海道の標津町で漁師として仕事をしています。もう、本当にそ
れだけです。今はとにかく仕事を早く覚えたいっていう感じですよ。

波心会の方々


鮭の小定置網


丘仕事の光景


インタビュアー:現在取り組んでいる課題や、過去に直面した課題について教えていただけますか?

北浦:これまでの経験を振り返ると、現場と科学の間の距離をすごく感じてきました。科学の世界では「こうすれば正解」という考えが多いですが、漁業の現場ではそんな単純なものではありません。海や魚は毎日変わりますし、漁の方法も環境や状況次第で異なります。現場の複雑さを科学的なアプローチだけで解決するのは難しいんです。

この距離感を縮めるために必要なのは、「対話」だと思います。現場の人たちと科学者がもっとお互いの考えを共有し、本音で話し合える関係性を築くことが重要です。ただ、そのためには自分自身の課題も克服しないといけません。たとえば、自分をよく見せたいとか、失敗を恐れて本音で話せないことがまだあります。そうした弱さを乗り越えることが、今後の自分の成長に繋がると思っています。

インタビュアー:将来的な目標はありますか?

北浦:現場と科学の距離を縮めることが目標ですが、復学するまではとりあえず仕事を覚える、できる様になるでしょうか。大学に戻ったら、科学的な視点から現場を見直したいと思っています。さらに、卒業後は漁師として標津町に戻って来る予定です。

インタビュアー:どんな漁師になりたいですか?

北浦:どんな漁師...難しいですね笑 ただやっぱり「生きる力」ですよね、そこだなと。普通に生きている僕達には「生きる力」がなさすぎるんです。もっともっと漁師とは何か、考えないといけませんが、標津に帰ってきたら「生きる力」のある漁師として生きることが目標です。ここはもっと考えておきますね。

インタビュアー:最後に、水産業や自然に興味を持つ方へのメッセージをお願いします。

北浦:現場に足を運んでみてください。実際に見ることで得られるものは大きいです。そして、標津にもぜひ来てみてください!



本記事はJapanXCollegeのほいちゃんが執筆いたしました。

JXCは変動する社会の中で何が大切なのかを探し求めます。足掻きます。note記事をまとめた本を出版する予定です。ただ本を出版するだけではなく、手にとって共感した読者が執筆側にまわり、価値を広めることや、ネクストアクションに実際に貢献できるようなエコシステムにしていく計画です。

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