FRCOphth Part1合格しました
イギリスで眼科専門医を取得しようとすると
(1) OST (ophthalmic specialist training)を終了
(2) portfolio pathway (CESR)でOSTを終了した人と同等であることを示す
の2通りになります。(1)のOSTは専門研修プログラムで、研修医終了後に全英でマッチングが行われます。しかしOSTは7年間のプログラムであることと、30ヶ月以上眼科の経験がある場合はOSTに入れないため、日本で眼科専門医を取得した場合には(2)のportfolio pathwayで目指すことになります。
portfolio pathwayはその名の通り、イギリスで眼科専門医を名乗るのに相応しいという"portfolio"をイギリス眼科学会に提出して審査される方式です。まだ私もリサーチ中ですが、どうやら800-1000枚のレポートになるようです・・・
OSTの必須事項にFRCOphthという眼科専門医試験の合格が含まれています。portfolio pathwayであっても知識を十分備えていることを示すために受験が推奨されています。そしてFRCOphthには、Part1, Refractive Certificate, Part2 (written), Part2 (oral)の4つの試験があります。OSTの場合、専門研修7年のうち2年以内にPart1の合格が求められます。尤も近年はOSTの人気に伴い(2024年は14倍らしい・・・)、少しでもOSTに入れる確率を上げるため、研修医のうちからPart1に取り組む先生もいるようです。Part1とPart2 (written)が筆記試験(オンラインで受験する4択)で、Refractive CertificateとPart2 (oral)が実技(OSCE)です。受験資格は特にないようですが、GMC registrationしておくと話が早かったです。取得する順番ですが、Part1→Refractive CertificateまたはPart2 (written)→Part2 (oral)なので、まずはPart1に受からなければいけません。
そんなPart1ですが、合格率は30-40%と低いです!上記の理由で眼科を本格的に回っていない/勉強したことのない先生も受験していることも一因だと思いますが、試験問題も基礎医学が多いため難しいです・・・一応全て眼科に関連した基礎的な事項に関する問題で、anatomy, biochemistry, cell biology, embryology, epidemiology, genetics, immunology, investigations, microbiology, optics, pathology, pharmacology, physiology, statisticsから出題されます。イメージとしては、USMLE Step1と日本の眼科専門医試験の一般問題をちょっとミックスした感じですが、日本の専門医試験とは全く別の試験だと思った方がいいです。
Eyedocの合格者体験記を読むと、参考書を読んで・・・とかあったのですが、そんな時間はなかったのと、読んだところで忘れていくだけなので、私はefrcophthという問題集をやりました。わからなかったことをgoogle先生、ChatGPT、YouTube (インドの先生が動画をたくさんあげている)で調べ、ankiに入れて、隙間時間に復習するというやり方です。efrcophthには1700問あり、試験を100%カバーするには不十分ですが、蓋を開けてみたらこれをやりきれば本番でも十分戦えました。
問題数が多いのはoptics (眼光学)です。乱視軸の±の変換、近視性乱視/遠視性乱視/混合乱視など日本の専門医試験でも勉強する内容に加えて、高校の物理で習う凸レンズ/凹レンズの性質、さらにレチノスコピーや顕微鏡を模したレンズの組み合わせによる作図や、mirrorの問題など、聞いたことのない話も出ます。
immunologyやmicrobiologyは、例えばこのウイルスはDNA? RNA?の一本鎖?二本鎖?でしょう?とか、Th→Th1を活性化させるサイトカインは?、など純粋な基礎医学&暗記なので大変でした。
investigationに関してもFAGやハンフリー視野検査の細かい事項まで聞かれます(励起光の波長や指標の明るさ、30-2, 10-2, 24-2の指標の数など)。Bagoliniの見え方も出ます(ぐちょぽい先生が専門医試験のときに解説してくださっていたので助かった)。
6月に日本の専門医試験で、10月にPart1だったのであまり時間がなかったのと、その間に就活や学会発表、直前に退局宣言したことによるパワハラもあり大変でしたが、なんとか合格することができました。でも一番の心配はrefractive certificateで、これはレチノスコピーの実技です・・・(イギリスの眼科医ってみんなレチノスコピーできるのか??)。
consultantへの道はまだまだですが、来年中にPart2とRefractive certificate、2026年にPart2 (oral)を突破して、2026/2027年にはconsultantになれるように頑張ろうと思います。
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