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マーケティングから、若者が選挙に行くべき理由を考える。

巷で衆議院選挙が盛り上がっている。
選挙が近づくとメディアでは決まって「若者の投票率が低い。選挙に行かない」という話題を取り上げる。

「学業、恋愛、遊び、仕事、飲み会…若者はイベント満載で忙しいんだ。50-60代と同じように選挙に行ける訳ないだろう。」
そんな愚痴を自分も延々と吐いてきた一方、それでもなぜ若者が選挙に行く必要があるのか、マーケティング業務に少しながら携わってきた身として、改めて考えてみた。

一番に言えることは、「政治もマーケット(顧客)のために動く」ということだろう。

おもちゃメーカーが売上を伸ばしたかったら、いかに子供に刺さる玩具を作るかに注力する。
バイクメーカーならいかに二輪免許を持っている人に刺さるバイクを作るかだし、旅行代理店なら普段から旅行をする人向けの優れたプランを考えるだろう。

当たり前だが、ビジネス継続・拡大への行動原理として、マーケットの中にいる顧客に刺さる商品/サービスを作るのだ。

これは政治家も同じ。
当選し続けたい政治家は、いかにマーケットに刺さる政策を打つかに注力する。
よって重要なことは、マーケットの中に若者がいること(増えていること)を政治家に認知してもらうこと。

もし若者が投票に行かないとなると、どうなるか。
先の例で言えば、おもちゃメーカーは老人の補助器具作りはしないし、バイクメーカーは二輪免許を持っていない人向けのバイクを作らないだろう。
つまり、マーケットの外の人向けには、商品/サービス提供を考えない。

政治家も行動原理は同じく、自分達のマーケット外の人に対しては、政策は作らない。
「いやいや、利益追求のビジネスと違って政治家は日本全体を考えている。」という反論もあるかもしれない。それは一理あるが、少なくとも政策の優先順位は大きく下がるだろう。
なぜなら、マーケット外の人向けに政策を作っても得票数は増えないので、もし次の選挙で落ちたらそれ以降は政策も何もできないのだから。

つまり、若者は自分達のマーケットでの存在感を高めるために、選挙に行くべきなのだ。
「〇〇党のために」とか「〇〇さんを応援したいから」という理由があれば良いが、仮にそんな主義主張が無かったとしても、「有権者というマーケット」に若者がいることを政治家に認識させることが重要ではないか。

また、こんな諦めの声も聞く。
「日本は少子高齢化社会だから、いくら若者が選挙に行っても高齢者の数には勝てない。」
これに対して、全然そんなことないと思う。
その理由として、若者の一票と高齢者の一票では、政治家から見た時の「顧客価値」が違うからだ。

確かに今で言えば高齢者の数が多い。若者は数で負ける。
けれども数年後〜数十年後にはどうなるだろう。
かつての高齢者はいなくなり、今の若者がメイン層になってくる。
社会的な富や活躍度もどんどん上がってくるだろう。

政治家が政治家であり続けるためには、こうした有権者のメイン層に支持され続ける必要がある。
よって、今のうちに若者の支持を得ることができれば、そこで得た実績や信頼が固定客化を築き、政治の継続・拡大になるのではないか。
つまり、政治から見たときの将来的価値は「若者>高齢者」であり、必ずしも現在の数で負けているからといって諦める必要はないと思う。

冗長になってきたので、最後に年代別得票率だけ載せて終わりにしたい。
既に選挙の意義や必要性を感じている読者には実のない話だっただろうが、これを読んだ後にたった一人でも選挙の意義を考え直し、選挙日や投票場所などをググってみてくれる人がいれば、こんな無為な文章でも十分な価値があったと思う。

出所:総務省 選挙関連資料「国政選挙の年代別投票率の推移について」(https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/)



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