【あまり知られてない出来高の秘密】テクニカル分析の完全総合まとめ⑥
前回は出来高を使った分析方法とその応用の解説でした。
前回の記事はこちら↓
今日は、移動平均線を使った分析方法です。
ここからはやや複雑になっていくので、ゆっくり、余裕が出てきたら徐々に取り入れて欲しいと思います。^^
個人的には、”これまで紹介してきたテクニカル分析に慣れてきたので、もっと利益を大きくしていきたい”と思ったら実用し、それまではまず知識として読んでもらいたい、と言ったところです!
今回参考にした動画はこちら↓
移動平均線の性質
1,移動平均線とは
そもそも移動平均線とは、ある一定時間の終値の平均を繋げた線の事。イメージとしては、これまで紹介してきたトレンドラインの曲線バージョン。
役割として、値動きに潜在的に進行するトレンドを判別出来ます。テクニカル分析の中でも最も万能で、幅広く活用されています。
2,移動平均線を使う時の注意点
移動平均線を活用するにはいくつか注意点があります。
①ほかのトレーダーとの優位性が無い
多くの市場参加者がこの移動平均線を活用しているので、移動平均線だけで分析して売買するのは、継続的に買っていくのは難しいのです。
ですので、以前紹介した、出来高や支持線、抵抗線を利用して市場参加者の心理を読み解くことが大事になってきます。
②横ばいトレンドではあまり機能しない
移動平均線を使う分析は、トレンドフォロー型の分析になります。ですので、自分が見ている銘柄が、現在トレンドがある、もしくはトレンド転換期が始まるときにこの移動平均線が有効になるという事を理解して使うようにしましょう。
③市場の動きから送れる
移動平均線は、過去のある一定期間の終値を結んだもの。ですので、短期間でトレンドが大きく動くときには、市場の値動きから遅れてしまうという事を覚えておきましょう。
移動平均線の使い分け
1、価格の重みづけ
ここでは、3つの移動平均について例を用いて説明します。
今、5日間で、株価が、
1900→1905→1840→1940→1900
と推移したとします。
①単純移動平均
単純移動平均は、その名の通り、単純に、平均値を求めるだけ。式にするとこうなります。
(1900+1905+1840+1940+1900)÷5=1915
②加重移動平均
取引日が近いほど重みが大きくなるように計算します。
ですので、平均値は、直近の値の比重を多くして計算します。
(1990x5+1905x4+1840x3+1940x2+1900x1)÷(5+4+3+2+1)=1925
③指数平滑移動平均
直近の取引日だけの重みを大きくします。
(1990x2+1905+1840+1940)÷5=1933
ここで、株価とこれら①~③をグラフに表すと下の図のようになります。
ここから分かるのは、①の単純移動平均では、市場の値動きからやや遅れてしまうという事。ですので、短期売買をする時は、直近の値動きを重視した②の加重移動平均や、③の指数平滑移動平均を使って分析をする工夫が大切になってきます。
2,時間軸
移動平均線とは、一定期間の終値を表すもの。ここでは、その一定期間をどのくらいに設定すればよいかを説明します。
選ぶべき時間は、多くの市場参加者が意識する期間を選びます。なぜなら、移動平均線がより有効に働くからです。
以下は、見る期間によって使うべき移動平均線の種類です。
①日足を使う場合(短期トレード)
短期線:5日
中期線:13週
長期線:12カ月
なぜこのようになるかというと、一週間を最小単位と考えるからです。一週間とはいえ、土日以外の5日間。ですので、日足の5日の移動平均線は一週間分。
25日移動平均線は1ヶ月分、75日移動平均線は1四半期分となるからです。
また、週足、月足ならこんな感じ。
②週足を使う場合(中期トレード)
短期線:13週
中期線:26週
長期線:24カ月
③月足を使う場合(長期トレード)
短期線:12カ月
中期線:24カ月
長期線:60カ月
では、短期線と長期線のメリット、デメリットを説明します。
①短期線
メリット:値動きに素早く反応できる
図のように、5日移動平均線で下落が始まった日よりも、25日移動平均線で下落が始まったほうが後になります。
デメリット:だましが頻発する
図のように、75日移動平均線は常に上昇していますが、下落したポイントで、5日移動平均線と25日移動平均線を株価が割っています。
このように、短期線だけを見ていると、株価が下落したからと言って売ってしまい、長期にわたる上昇を逃してしまう事があります。
②長期線
こちらは短期戦の逆で以下の通り。
メリット:信頼性の高いトレンドが分かる(だましに引っかかりにくい)
デメリット:値動きに出遅れる
この点を踏まえて、移動平均線は、自分の投資スタイルに合わせて使い分けていく事が大事となってきます。
移動平均線の活用方法
1,三十交差メソッド
これは割と有名な手法なので知っている方も多いかと思います。
5日移動平均線が25日移動平均線を下抜けし、25日移動平均線が75日移動平均線を下抜けしたところ、この3重クロスの部分をデッドクロスと言い、下落転換のシグナルとなります。
またそれとは逆に、5日移動平均線が、25日移動平均線を上抜けし、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜けしたところをゴールデンクロスといい、これは上昇への転換シグナルとなります。
この様に、三十交差メソッドは、トレンド転換の確認に有効です。
2,移動平均エンベロープ
これは、乖離率を基にトレンドの質を確認する方法です。
移動平均エンベロープとは、基準となる移動平均線に対し、ある一定の乖離率を示した線です。
この図の一番外側は乖離率+7.5%とー7.5%の線を表しています。
乖離率+7.5%の線を株価が上抜けしたところは、上昇トレンドの過熱感を表しています。
一方で、-7.5%の線を下に割った場合は、下落トレンドの過熱感を表しています。
この過熱感があるところでは、値動きが反発している事が分かります。
この様に、移動平均エンベロープでは、短期的なトレンドの過熱感の判定に有効です。
3、ポリンジャーバンド
これは、確率的に、押し目、天井の株価を推定する事に有効です。
ポリンジャーバンドの説明の前に、まず標準偏差について説明します。
下の図は、横軸に株価、縦軸に一カ月でその株価を付けた回数を表したグラフがあります。
標準偏差はσ(シグマ)という文字で表され、平均値に対して±1σの範囲には68.3%が分布しています。
学生時代の偏差値の様な感じです。
これを株価で表すと、-1σである800円から、+1σである840円の、この範囲の中に株価が68.3%の確率で収まるという事を表しています。
また、±2σでは、95.4%、±3σでは、99.7%がこの範囲に株価が収まるという事になります。
この1σが、ボラティリティによって変化するので、チャートで表すと下の様になります。
これを繋げていったものが、ボリンジャーバンドです。
また、この図の①の部分では、+3σから、株価が上抜けている事が分かります。これは、99.7%の範囲から外れた、という事になり、おそらく株価はココが天井だと推定することが出来ます。
一方、②では、ー2σの部分まで株価が下がっています。ここを押し目と考えて買いを入れれば、大きく利益を獲得できます。
このように、移動平均線だけでなく、それを応用した方法で様々な分析方法が出来るので、目的に応じて活用して見るのが良いでしょう。
では今回はここまで!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。★
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