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ミッション・ビジョン・バリュー|リニューアルのプロセス

本記事は、Japan Digital Design Advent Calendar 2023 の25日目の記事になります。

🎅メリークリスマス!🎄


三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)の戦略子会社であるJapan Digital Design(以下JDD)のExperience Design Div.(以下XDD)でSenior Experience Designerとして所属している戸塚です。普段はデジタルプロダクトを中心に、体験設計やUIデザインを担当しています。

JDDのアドベントカレンダーではJDDのバリューに基づいた様々なアウトプットを共有してきました。本日はそのテーマに絡めて、JDDのミッション・ビジョン・バリューのリニューアルプロセスについてお話ししたいと思います。

JDDがミッション・ビジョン・バリューをリニューアルした理由

JDDには会社設立2年目ごろから使われている、ミッション・ビジョン・バリューが存在していました。JDDは設立6年目という比較的若い会社ですが、2022年ごろに一つ大きな決断をしております。それは独自事業創出からMUFGのソリューション解決提供にピボットしたことです。
金融を軸にした、AI・CX(※1)・Tech3つの専門領域を駆使している会社であることに変わりはないのですが、事業の創出とソリューション提供というのは大きな変化です。それに伴い、ミッション・ビジョン・バリュー、すなわち我々が目指すもの・なりたい姿が変化していきました。

(※1)CXとは、Customer Experienceの略語で、「顧客体験」という意味。サービスや商品の購入時、また購入後に顧客が体験する全ての事柄を指す。CXを向上させることで、リピーターの獲得に結び付くなどの効果が期待できる。

本プロジェクトで大事にしたこと

前章の理由から、「ミッション・ビジョン・バリューを見直したい。必要に応じて変更したい。」というプロジェクトが始まりました。最終決定は社長をはじめとしたマネジメントメンバーで行いますが、私と数名のXDDメンバーで決定までのプロセス設計と諸々サポートという形で関わることになりました。

決定までの期間も決して十分にあるという状況ではなく、数ヶ月で決める必要がありました。そんな中でも我々はミッション・ビジョン・バリューを全社員が納得し、理解している状態にしたいと考えました。JDDは80名程度のまだまだ小さな会社であり、一人一人が会社のことを深く考えやすい規模感です。会社にとって大事なことを全員で考えることができたら素晴らしいですが、現実問題本当に80名全員で議論して、何かを決定することは不可能でしょう。

何らかの形で今の会社の状況や、ミッション・ビジョン・バリューについて社員がどう思っているのか調査をし、新しいものに反映していけるようなプランを考え始めました。

ミッション・ビジョン・バリューとはなんなのか

私たちはこのプロジェクトに関わるにあたって、「ミッション・ビジョン・バリューとはなんなのか」を改めて考えました。多くの会社が掲げているものであり、私も一人の社員として意識したことはありますが、今まで位置付けなどを深く考えたことはありませんでした。創業のタイミングの会社に関わらない限り、作る側になることがないため受け身に考えがちでした。さまざまな会社調べていく中で、会社によって組み合わせや呼び方が違うこともわかってきました。

マネジメントから全社員の意見をスムーズにまとめていくには、この認識をJDDとして揃える必要があると考えました。XDDメンバーで議論を重ね、JDDのミッション・ビジョン・バリューの定義を定めました。

ミッションという使命を胸に、バリューを元に行動を起こし、ビジョンの実現を目指す。というのが最も簡単にミッション・ビジョン・バリューを説明した一文です。

全社員が関わる方法

本件ではマネジメントメンバーでの半日ワークショップを計画しました。時間的な制約もあり、ワークショップ自体は収束のために使いたいと考えました。そして全社員に何らかの形で今回の決定に関わってほしいということから、事前に社員向けアンケートを実施することにしました。その結果を抽出しワークショップでの議論のベースに使うことで、効率よく多く意見をまとめ上げていこうという形です。

アンケートの設計はXDDメンバーで議論を重ね、現在のミッション・ビジョン・バリューに違和感を感じるのか、それぞれの意見や思いを聞き、バリューの整理を踏まえてJDDらしい行動とは何なのかといった設問を組み立てていきました。

結果は定量的にわかるものはグラフ化し、定性的なものはグルーピングして傾向を炙り出す形で資料化し、マネジメントとのワークショップの材料としました。同時に分析結果は先に全社員ミーティングで共有するなど、全社員で一緒にやっている感覚はなるべく意識していました。

ワークショップの進め方

いよいよアンケートの結果をもとに、ミッション・ビジョン・バリューを再考するワークショップの設計を始めました。

ワークショップを設計してください、と言われた時なんとなく世の中に存在する進め方を参考にする人も多いかと思います。私もその一人です、しかしワークショップの絶対的なテンプレートは存在しないと改めて思います。私が設計の際に意識するのは、そのワークショップが「発散」のためなのか、「収束」のためなのかを明確にすることです。デザイン思考やデザインスプリントなど有名な考え方、ワークはいくつかありますが、いずれも「発散」「収束」を繰り返すことが多いのではないでしょうか。一つのワークショップで両方を行うこともあれば、どちらかに目的を絞ることも可能かと思います。

今回はあまり時間がなかったこともあり、アンケートの結果を参加者にインプットし、予習をしてもらった状態で「収束」のためにワークショップの時間を使うことにしました。

この段階ですでに、ミッション自体はこのままで良いのではないか、ということがアンケート結果やマネジメントの意見からも見えており、議論の対象を絞っていました。

今回の裏話をすると、実は2回ワークショップを開催しております。いずれも半日で実施しているのですが、3つの要素を一気に扱うには、圧倒的に時間不足でした。

ミッション・ビジョンを確定させたのち、バリューに関しては後日検討という形です。既存のバリューの言葉自体は一定以上社員に愛着を持たれていることがアンケート結果からわかっていました。ですが言葉の認識の幅が広く、人によってブレがある可能性があったため、改めて各言葉の意味を定める会を後ほど行いました。しかしかなり日が空いてしまったり、バリューを見直すべきか意見が割れたりと、うまくいかない面もありました。

そして何度も議論を重ね、約半年間活動を続けていきました。

決定

今回のリニューアルで、既存のものからの変更はビジョンとバリューの解釈の2つになります。

ミッションに違和感を感じる人が少なかったことは、ミッションが使命である以上、事業が少しピボットしたところで変わらないということがわかり、納得感があります。またバリュー自体は社員に一定の愛着があったことが伺えたことから、大きな変更はせず、より解釈しやすい状態を作り、日頃の行動から評価などに繋げやすくすることができました。

新しいJDDのミッション・ビジョン・バリュー

MISSION
金融の新しいあたりまえを創造し人々の成長に貢献する

VISION
顧客&データ起点で金融体験をアップデートする

VALUE
常に学び早く実践する
オープンマインドである
プロフェッショナルである

普及活動

こうして無事ミッション・ビジョン・バリューをリニューアルすることができました。これからは社員により親しみや意識を持ってもらう浸透のフェーズに入っていきます。

まだ若い会社であるJDDでミッション・ビジョン・バリューを浸透させていくというのは、リニューアル以上に重要なことかもしれません。

あれもこれもとアイデアは浮かびます。しかし急激に押し付けていくようなものは違うという肌感覚がありました。私は過去にカルチャーが確立していた企業にいたこともあり、日常的にミッション・ビジョン・バリューを意識した経験もあるのですが、大企業のようにある程度トップダウンでカルチャー浸透を進めていくのもJDDらしいとは思えません。

とはいえバリューの言葉自体はすでに一定の意識が持たれていそうだし、金融で何かを世の中を変えたいと思っているメンバーがすでに集まっていると思います。自然に今よりも、いつの間にか社員の身近な存在になっていくようなイメージを持ちました。

そこでXDDメンバーで工数の大きなものから、すぐにテストできそうなものまでミッション・ビジョン・バリュー浸透施策のアイデア出しを行い、CC室(※2)にまずはかんたんに1つ普及活動ができないか、と相談しました。

(※2)Corporate Culture室の略。コーポレートカルチャー醸成を担当する組織で、 会社の文化や雰囲気づくりであったり、働きやすさなどの観点からエンゲージメント向上に焦点を当てた活動を行っている。一般的なバックオフィス部門とは別の機能を担っている。


そして自然に社員の日常に入り込めそうかつ、割と気軽でスピーディーにできそうな「バリューのSlackスタンプ制作」を選択し、早速実践してみることになりました。

内容はシンプルで、3つのバリューのスタンプを制作し、気軽に社員に押してもらう、ただそれだけです。

まだ導入したばかりですが、Slackの集計部屋では実務でのバリューの実践から、ちょっとした小ネタ的にもスタンプが利用されていることが伺えております。

これも「常に学び早く実践する」の一つと言えるかもしれません。

今後もJDDらしさをベースに、カルチャー推進の一環として新しいミッション・ビジョン・バリューを育てて行けたらと思っています。
最後までご覧いただきありがとうございました。

最後に

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Mayuko Totsuka