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#025 大学入学共通テスト国語(現代文)傾向分析と対策

(情報は河合塾HP等を参照。適宜加除訂正していきます)

■大学入学共通テスト 〔80分〕

☆形式的には変化があるが、複数の文章や素材を組み合わせた出題が定着した。
 ・4題(論理的文章1題+文学的文章1題+古文1題+漢文1題)
 ・全てマーク式の出題。傍線部説明・知識問題〔語彙他〕など出題
【第1問 論理的文章】
◎出題傾向
第1問は、昨年と同様、基礎的な読解力を問う問題が出題された。問1(ⅱ)に漢字の意味を問う設問が出題されたことも昨年と同傾向である。また、問6は、昨年は生徒の【メモ】における空欄を補う設問であったが、今年は生徒の話し合いにおける空欄を補う設問であった。
 
問1の漢字の問題は、(ⅰ)と(ⅱ)に分かれ、(ⅰ)は従来通りの出題、(ⅱ)は傍線部の漢字の意味を問う、昨年と類似した設問であった。問2~問5は、傍線部の内容について本文に基づいた理解を問う設問である。問6は、二つの文章を読んだ生徒の話し合いにおける三つの空欄を補う設問。本文だけでなく、話し合いの文脈を踏まえて選択肢を吟味する必要がある。(ⅰ)は紛らわしい選択肢もあり、受験生は解答を確定するのにやや迷ったと思われる。
 
【第2問 文学的文章】
◎出題傾向
 第2問では、語句の意味を問う知識問題が例年出題されていたが、今回はそれが出題されなかった。また、小説中で用いられている単語に注目し、それを辞書の記述や俳句と結びつけるという出題があったが、これは従来見られなかったタイプの問題であり、戸惑った受験生も多かったのではないかと思われる。
 
 語句の意味を問う知識問題は、昨年に続き出題されなかった。主人公の心情をそのつど問う設問や、消去法を必要とする設問が多く、その点は「大学入試センター試験」から基本的に変わっていない。問7は、【構想メモ】や【文章】が付け加えられている理由を考え、出題の意図をくみ取ることが何より重要である。
 (河合塾HPより)
 
 ◆出典ジャンル一覧
 (センター試験)
 11本 「哲学論」(鷲田清一)・「老い・死」(加藤幸子)
 12本 「哲学論」(木村敏)・「人生」(井伏鱒二)
 13本 「文化論」(小林秀雄)・「家族・人生」(牧野信一)
 14本 「文化論」(斎藤希史)・「家族」(岡本かの子)
 15本 「文化論」(佐々木敦)・「人生」(小池昌代)
 16本 「文化論」(土井隆義)・「家族」(佐多稲子)
 17本 「学問論」(小林傳司)・「病気・家族」(野上弥生子)
 18本 「文化論」(有元典文・岡部大介)・「家族」(井上荒野)
 19本 「言語論」(沼野充義)・「病気・家族」(上林暁)
 20本 「哲学論」(河野哲也)・「病気・老い・死」(原民喜)
 (共通テスト)
 21本①「評論」(香川雅信)・「小説」(加納作次郎)
   本②「評論」(多木浩二)・「小説」(津村記久子)
 22本 「評論」(檜垣立哉・藤原辰史)・「小説」(黒井千次)
 23本 「評論」(柏木博・呉谷充利)・「小説」(梅崎春生)
 
【雑感】
・漢文、古文を先に済ませて、小説、評論は連続して解く方がよい。
・漢字問題と語彙(ボキャブラリー)問題と注釈は内容一致のキーワード付近に置かれがちのようである。
・傍線部A(最初の傍線)の解答の根拠がだいぶ先まで出てこない時がある。後回しにして構わない。
・傍線部分をつなぐと本文全体の要旨・要約となる。
・選択肢は「間違いと間違いの類似品」で作られ、正解を絞ることができる。
・選択肢を選ぶためのヒントは単数より複数が強い。迷ったときはヒント不足。
・複数ヒントでも解答が出せないときは後回しにして、分かったら戻ってくる。
・問題の連動は当たり前のように使われている。
・間違えた解釈をすると、次の問題にも連動して失敗するように選択肢が作られている。
・2つ正解のある内容一致問題は「⑴場合分け⑵反対の立場⑶一般と例」が答えだと考えてみる。
 
大学入学共通テスト(現代文分野)分析 
 22年の大学入学共通テストから、おそらく出題チームが変わったものと思われる。前年21年の第一回共通テストは、センター試験をほとんど踏襲したスタイルであったのに対して、22年の共通テストはいわば「本来のコンセプトどおりの問題」に近づいた。23年の大学入学共通テストでは、22年の形式を踏襲しながら、更に難易度・問題の質共に洗練された問題になった。
 24年は出題チームが変わる可能性があることと、25年からの新課程での試験を意識した出題があるのかはまだ読めないが、いずれにせよ求められる学力に大きな変化はないので、不安にならずに対策を進める必要がある。
 
 ◆23年設問分析
 大問一(論理的文章)
  問1(ⅰ)(ア)同字の選択(漢字)
         (エ)同字の選択(漢字)
         (オ)同字の選択(漢字)
    (ⅱ)(イ)同意語の選択(熟語)
         (ウ)同意語の選択(熟語)
  問2      傍線部の内容説明
  問3      傍線部の理由説明
  問4      傍線部の内容説明
  問5      傍線部の内容説明
  問6(ⅰ)   空欄補充
    (ⅱ)   空欄補充
    (ⅲ)   空欄補充
※問6は複数テクスト(生徒同士の対話)での出題
 大問二(文学的文章)
  問1   傍線部の内容説明
  問2   傍線部の理由説明(心情)
  問3   傍線部の内容説明(経緯)
  問4   傍線部の内容説明(心情)
  問5   傍線部の内容説明
  問6   傍線部の内容説明(心情)
  問7(ⅰ)空欄補充
    (ⅱ)空欄補充
    ※問7は複数テクスト(図・構想メモ・文章)での出題
 
【特徴ある問題】
◆大問一 論理的文章
17 プレテスト① 〈大問一 論理的文章①〉
           複数テクスト(資料3つ、先生と生徒の会話文)、
           記述3問(50字、25字、80~120字の条件
           付き作文))
           ※記述問題の導入は見送られたので、無視してよい
          〈大問二 論理的文章②〉
           複数テクスト(表2つ、図5つ)
18 プレテスト② 〈大問一 論理的文章①〉
           複数テクスト(文章2つ、資料)、
           記述3問(30字、40字、80~120字の条件
           付き作文))
           ※記述問題の導入は見送られたので、無視してよい
          〈大問二 論理的文章②〉
           複数テクスト(資料2つ、表3つ)
21 本試第一日程  複数テクスト(ノート3つ)、漢字問題が全て4択
21 本試第二日程  先生と生徒の会話文、漢字問題が全て4択
22 本試      複数テクスト(文章2つ・メモ)、同意語・異義語
           の選択
23 本試      複数テクスト、生徒同士の対話、同意語・異義語の
           選択
※23年の問題では、プレテスト①②の「複数テクスト」・「会話文」の問題が出題された。また、共通テストがスタートしてから、問1では同意語・異義語を選ぶ問題になり4択への変更がなされた。
 
◆大問二 文学的文章
17 プレテスト① 〈大問三 文学的文章〉
           複数テクスト(複数作家の作品)
18 プレテスト② 〈大問三 文学的文章〉
           複数テクスト(同じ作家の詩とエッセイ)、知識
           問題(詩の技法)
21 本試第一日程  複数テクスト(資料(本文の批評))
21 本試第二日程  生徒同士の会話文
22 本試      複数テクスト(ノート)、語句問題がなくなる
23 本試      複数テクスト(資料・構想メモ・文章)、語句問題   
           なし
※23年の問題では、プレテスト①②の「複数テクスト」が出題された。また、共通テストがスタートしてから、語句問題の出題がなくなった。
 
新課程における大学入学共通テスト 〔90分〕
 
【問題作成の方向性、試作問題分析】
 従来の問題作成方針を引き継ぎつつ、新学習指導要領における「現代の国語」に対応した大問が一つ追加される。
 
◎現代文
第1問は論理的な文章から、第2問は文学的な文章から出題されるという従来の傾向を引き継ぎつつ、新しく追加される第3問では、現代の社会生活と関わる題材について、複数の文章を読み取るだけでなく、それらを図やグラフなどと関連づけながら解釈し、言語活動をする場面を設定した問題となることが予想される。
 
◎古典
出題形式・分量ともに大きな変化はなく、従来どおり、複数の本文を提示して、「多角的・多面的な視点」からの考察を要求する問題が作成されるだろう。ただし、第3問が増えたことで、今までよりも現代文にかける時間が増える可能性があり、古典に関してはより速読と解答手順の洗練が求められることになりそうである。語彙力と文法力の充実をはかり、読解に生かせるようにする当たり前の学習を大切にし、国語全体の時間配分を意識して、模擬演習を重ねることが、いっそう重要になるだろう。(配点の変更に伴い、設問のマーク数が一つ減る可能性や各設問の配点が見直される可能性もあるだろう。)
 
【分量・難易度】
現行の共通テストが大問4つであるのに対し、大問が5つとなり、第1問から第3問が近代以降の文章、第4問が古文、第5問が漢文となる。新しく追加される第3問は、複数の1ページ弱の文章と図・グラフなどが出題されている。現行の共通テストの第1問や第2問と比べ、一つ一つの文章は短いが、図やグラフの数が多い。解答数は5で現行の大問の約半数である。第3問は、解き慣れていないと手間取ることが予想される。
 
【特徴】
従来のセンター試験や共通テストでは出題されたことのない形式の大問が1つ追加される。新しく追加される第3問では、現代の社会生活に必要とされる論理的な文章及び実用的な文章からの出題となり、文章の読み取りだけでなく、図やグラフなどを的確に読み取ったり、複数の文章や資料を関連づけて解釈したり、それについて分析し検討したりするといった言語活動の過程を重視した問題になる。
 
【学習対策】
現行の共通テストやセンター試験の過去問を使って演習することは有効であると考えられる。ただし、新しく追加される第3問については、新学習指導要領における「現代の国語」で学習する、資料の読み取りや、それを基に言語活動をする力が求められる。文章の読解だけでなく、図やグラフを正確に読み取る力やそれらを関連づけて解釈する力を養っておくことが必要となる。また、現代社会の問題についてレポートを書くなどといった言語活動に触れておくことも必要になる。

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