営農情報 #7 茹でラッカセイ用新品種「おおまさりネオ」の試験栽培
東京都福生市の落花生『はっ!ぴー☆ナッツ』
東京都福生市では狭い農地面積ながらも、落花生の栽培に取組み、『はっ!ぴー☆ナッツ』というブランドでJAにしたま福生支店直売所の大人気商品として地域住民にもすっかり定着しています。
現在、生産者が栽培するメインの品種は「おおまさり」という大粒品種です。「おおまさり」は茹で落花生用の品種で、莢も豆も大粒でとても食べ応えのある品種です。
新品種「おおまさりネオ」を試験栽培
そして、「おおまさり」の改良新品種として「おおまさりネオ」が登場しました。「おおまさりネオ」は株がコンパクトで、従来種の「おおまさり」より狭い株間での栽培が可能です。
そこで私たちJAにしたま営農指導員は、新品種「おおまさりネオ」が従来種「おおまさり」よりも単位面積当たりの収穫量を増加させることができるのではないかと考え、令和5年5月から試験栽培に取組みました。
試験栽培の概要
試験栽培では新品種「おおまさりネオ」と従来種「おおまさり」を同じ畑で同じ日に播種しました。もちろん、投入した肥料も同じです。
唯一の違いは株間の広さで、「おおまさりネオ」を黒マルチ9230(70cm幅の畝に2条で株間30cm)、「おおまさり」を黒マルチ9245(70cm幅の畝に2条で株間45cm)で栽培しました。なお、栽培の概要は以下のとおりです。
試験栽培の結果
「おおまさりネオ」、「おおまさり」をそれぞれ収穫し、出荷可能な秀品のみを厳選し、重量を測定しました。収穫調査は畝の長さ2.5m分を収穫し、比較してみました。
新品種「おおまさりネオ」は、従来品種「おおまさり」に比較し、単位面積当たり25%の増収が見込める結果となりました。
さらに、「おおまさりネオ」の草姿は立性でコンパクトなので収穫の作業性にも優れ、農作業の省力化も実現できます。
また、食味や莢の形状は両品種とも大きな違いはありませんでした。
考 察
今回の調査では畝2.5m分という限られた条件での比較でしたので、広い圃場での生産環境下では誤差が生じる可能性を含んでいます。しかし、今回の試験から得た結果の25%増に対し、±5%の誤差を見込んだとしても大きな増収を望むことができると考えられます。
なお、JAにしたま管内でのラッカセイ圃場の規模は2aから10a程度のため、畝2.5mのデータを実際の圃場規模に換算したもので売上金額を試算してみます。試算に用いる価格は令和5年度のJAにしたま福生支店直売所での販売価格300g、380円を用いてみました。
このように新品種「おおまさりネオ」の導入により、落花生5aを栽培すると、従来種「おおまさり」に比べて収量で90㎏、売上で114,000円の増加を見込むことができます。
JAにしたまでは、直売所で福生市の『はっ!ぴー☆ナッツ』を少しでも多く地域住民の皆さんに届け、そして、生産者の所得向上を目指して新品種「おおまさりネオ」を推進していきたいと考えています。
おまけ
JAにしたま営農生活課では、ラッカセイの早出し栽培の試験にも取組んでいます。こちらもnoteのコラムに執筆いていますので、併せてチェックしてみてください!