コンニャローー
次の瞬間、わたしはその男の肩を叩いていた。
「今、触ってたよね。」男は開けていた目をいきなりつぶり、上を向いて寝たふりをした。
もう一度言ってみた。
「今、触ってたよな!!」
ずっと閉じられた目は開かれることはなかったが、男のリュックの前に置かれた手が小刻みに震え出した。
許さん。絶対逃すもんか!わたしは威圧感を込め、身体ごと男に向けて
怒りのエネルギーを込めて睨みつけていた。
すると、何も知らない娘は
「そんなにジロジロ見たらあかんよ。」と私に注意してきた。
「違うねん。こいつに触られてて。」娘は「エッ?!!」と状況を理解出来てない様子だった。娘をどうしよう。でも、次の到着駅は河堀口、その次の阿倍野橋なら人混みに紛れて逃げられてしまう…。
次の停車駅が勝負だ!!
私は男を睨みつけながら、走れるようにバックの荷物をまとめ
中身が出ない様にチャックをジーッとゆっくり閉めた。
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