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薬剤師・医学博士が追い求めた「幻の赤い果実ブアメラ」の世界 (第1回)

第1回:赤い果実ブアメラの世界を求めて、秘境の地パプア島へ

ブアメラを求めて

                                  
ブアメラ(学名Pandanus conoideus, 日本名なし、パプアの先住民の呼称はタウィ)は、インドネシア語でBuah(ブア) は果実、Merah(メラ)は赤いという意味。まさに「赤い果実」です。

稀少なブアメラに辿りつくまで5年の歳月を要しました。
2000年に熱帯薬用植物ノニを日本に紹介し、様々な研究を行ってきました。ノニ果実は完璧な栄養機能性食品であることは、日本における愛飲者が、毎年増加していることからはっきりしています。特に天然のビタミンCはミカンに比較して5~6倍も含まれ、ノニ果実の特徴は中鎖脂肪酸、食物線維ペクチン、有用性物質のスコポレチン、イリドイロ物質、ミネラル類、ビタミン類が豊富なことです。特に、ノニの原産国インドネシア産のノニ果実ジュースが最も栄養的・薬理学的にも高品質であることを私たちは明らかにしてきました。
インドネシア6000年の伝承医薬品の素晴らしさです。日本で最も安心・安全、速やかに効果を体感できるのは、インドネシア産のノニジュースです。
さらに、ノニの葉のお茶、ノニ石鹸、ノニ果実凍結乾燥粉末のノニソフトカプセルやハードカプセルなど、日本人の生活の多様性に合わせた製品開発も支援してきました。

ノニの研究がブアメラを求めるきっかけとなるとは、人生は不思議なものです。

Great Morindaは英国人命名
インドネシアではMengkudu besar(大きなノニ果実の意)

メンクド・ベサールと呼ばれるインドネシア原産の天然成熟ノニ果実


ノニはインドネシアの代表的な伝承医薬品ジャムゥ。各家庭に必ずノニの木を植えて医薬品として使用しています。 まさに庭の薬局です。(ノニ科学読本1~4、東京ノニ研究所)                               
しかし、ノニ果実ジュースは水に溶けるビタミン類は多く含んでいるものの、オイルに溶ける脂溶性のビタミン類は少ない。ジュースの性質上、当然のことです。
現代社会に暮らす私たちに最も欠けているのは、ミネラルの亜鉛、ヨードに加えてビタミンAといわれています(実際はプロビタミンA)。
ノニの研究開発時から、ビタミンAを豊富に含むインドネシア産の果実や野菜類を探していました。高品質のノニが育つ肥沃な土地、広大な国土、大気汚染や公害など無縁の清浄な環境、強烈な紫外線から身を守る植物群に必ずや求めるものがあると信じていました。

5年後のある日、パプア島でキリスト教普及に尽力しているタン氏が「パプア島に行ってブアメラという果実を実際に見てくれないか」という依頼がありました。その時には、ブアメラの成分などの情報は全く教えらず、未知の果実であり、そしてパプア島など今までまったく無縁の地。
ガイドブックによると、渡航制限がされているし中央政府の許可が必要との情報もありました。後日知ったのですが、パプア島先住民が独立運動を行っており、政府軍との間の戦闘で先住民側に多数の死傷者が出ているなど治安が非常に不安定な地域です。在インドネシア日本大使館員もほとんど訪れず、海外青年協力隊員の派遣を行っていません。
生ある限り何でも見てやろうという「好奇心は生みの親」の精神で、タン氏の息子と現地パートナーを伴ってジャカルタから「ブアメラの世界」に向かったのは、2005年8月15日でした。

パプアってどこにあるの?

インドネシアは日本の面積の6倍強、18,500の島々からなる世界一の島嶼国。
東西の距離はヨーロッパに匹敵する細長い国。ブアメラの世界のパプア島は、インドネシアの最も東に位置しています。
パプア島は、以前はイリヤンジャヤ島といわれグリーンランドに次ぐ世界で2番目に大きな島。しかし、島のほぼ中央、東経140度を境に二分され、東はパプアニューギニアという独立国、西側はインドネシア領です。
過去、東は英国、西はオランダの植民地であり、戦後東側は独立を果たしましたが、西はインドネシアに併合され、今なおパプア先住民の悲劇の根源となっています。

日本からインドネシアの首都ジャカルタあるいは神々の島バリ島へ


日本からパプア州都のジャヤプラへは、ガルーダインドネシア航空が最も便利です。東京あるいは大阪からインドネシアのジャカルタあるいはバリ島へ直行便で約7時間、赤道を越えて南半球への旅です。
次いでジャカルタからスラウェシ島のマカサールを経由する北ルート、バリ島からパプア島の南に位置する黄金の街ティミカ(世界有数の金鉱山)を経由する南ルートでパプア島の玄関センタニ空港へ。直行便で約5時間、途中経由の場合は7時間もかかり、ほぼ日本に帰ることができるほどの遠方にブアメラの世界はあります。
センタニ空港は日本軍が整備したもので、日本軍人仙谷氏が関与したと勝手に想像しています。空港の脇の丘にはマッカーサーの軍事施設があり、現在はパプア先住民鎮圧のためインドネシア軍が使用しています。
センタニ空港に下りるとそこは完全に異国。濃い褐色の肌、縮れ毛のパプア人の世界です。
嬉しいことに、パプア島は日本との間に時差はなく、煩わしいビザ受給も入国申請も必要ありません。

ブアメラの世界の玄関口センタニ空港で足止め

パプア州州都ジャヤプラからブアメラの世界の玄関口バリエム渓谷のワメナへ

ジャヤプラに到着後、ブアメラの世界にはセンタに空港から2000m以上の高地ワメナに双発機で1時間の旅。陸路はありません。雨風が強いと飛行機は飛ばない。
初めての旅では雨のため飛行機は飛ばず、センタニ空港のホテルに1泊し、翌日は幸運にも雨が止みブアメラの世界に飛び立つことができました。

センタニ空港の傍のセンタニ湖
淡水湖であるが以前ワニが生息していた

2回目は「憧れのブアメラの世界の先住民族とブアメラとの遭遇へ」




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