薬剤師・医学博士が追い求めた「幻の赤い果実ブアメラ」の世界
第4回:ブアメラの世界、ダニ族の文化
6万年前にアフリカから十数万年の旅を終え、更に東に向おうとしたが太平洋がこれを拒み、世界第2の大きな島パプア島に定住したパプア先住民。
現代社会のインドネシア人とは全く異なる民族であり、文化、習慣、歴史も全く異にしています。
特に2000m級の高地に住む先住民は、全く下界との交流はほとんどなく山の民として農業の先駆者であり、独自の文化を維持させてきました。
非常に興味がもて、元来の好奇心が燃え上がっています。
既に10回ほど高地のバリエム渓谷を訪れ、彼らの文化・習慣をみていますが99%はジャングル、交通、宿、ガイド、滞在期間の短さ、年齢などから、残念ながらごく一部しか見ることができていません。
訪れる日本人はいません。中央政府と独立戦争を行っている危険な地域でもあり、好奇心を満たすことはこれからもないでしょう。
ダニ族のミイラ
バリエム渓谷の中心地ワメナから車で約2時間、収穫率世界一のサツマイモ畑やホナイという家の集落、そして草だらけの草原、隆起した石灰の山々を見ながら進むとミイラの村がある。
戦後アメリカ軍が開拓したといわれる空港(現在は無く、各部族の観光用闘いの見世物広場)の近くである。
バリエム渓谷を訪れる唯一の観光スポットになっている。
ここでミイラを見ることができる。生前この集落の皆から尊敬を集めた男性は、死後薫煙でミイラと化し子孫の祈りの対象とする習慣があるとの事。
定期的(20年だったか?)に御開帳があり、その度に首輪を一つ掛けてゆく。首輪の数でいつ作られたものか分かるらしい。
観光客がくるたびに御開帳されているが、一体だけが見世物的に使用されているのであろう。
この村では、両親、夫、親しい家族が亡くなる度に女性は手の指を1本づつ第1関節あたりを切り落と習慣がある。親しき者の死の苦しみを、指を切断することで分かちあうのであろう。
見せてくれた女性の手指には、正常な指はなかった。
ダニ族のアイデンティティー、ノケン・バッグ(Noken bag)
ユニセフがパプア先住民族の貴重な文化的芸術品と認定している、ダニ族のノケン。バッグ。
2種類の木皮から繊維を作り、灰で繊維を強化した後、世界で唯一の特殊な技法でバッグを編み上げる。
赤色の線維として天然色素(土壌あるいは石の粉)で染め上げるが、ダニ族のアイデンティティーとして現在では海の民も使用する。
女性は赤ちゃん、鶏、子豚、農産物などを容れる多目的に使用する日常生活に必須のバッグとして使用する。男性には小物を容れる肩掛けバッグを開発されている。
現在、植物繊維を用いるには労力と時間がかかること、多彩な模様バッグ製作のため染色済みの線維を使うようになっているが、3万年の伝統芸術と比較して見劣りがする。
パプア先住民のコテカ(ペニスサック)
パプア先住民の少数と思われるが裸同然で寒い環境の中で強く生き残っている。唯一着用するのがコテカと呼ばれるペニスサックを装着している。
瓢箪の種類の果実から作るようだが、残念ながらその植物に出会っていない。
コテカ装着の男性画像をフェイスブックの投稿したが、猥褻であるとの理由で掲載は削除されている。白人のエゴだ。
このNOTEで削除されないことを祈る。
ワメナで宿泊させていただく村長から、数本の使用中のコテカを戴いているが残念ながらサイズが合わず、未装着のままである。
ダニ族と煙草
ダニ族の老若男女とも煙草を好む。
10代の子供も吸うところを見た。
女性の喫煙姿にはほれぼれするが、それも筆者が半世紀上の愛煙家であるためか。
ワメナの公設市場で直径15㎝、長さ50㎝程もある大葉巻を見つけ、購入して持ち帰ったが大きすぎて吸う機会がない。恐らく大葉巻を削り紙巻煙草として愉しむのだろう。因みにパイプも葉巻も先住民は嗜まない。
勝手な推測だが、煙草の起源は南アメリカのマヤ族と云われているが、実際はパプアだろうと思う。
パプア島にホモサピエンスが到着したのは6万年前、南アメリカの最南端には1.5万年前と云われており、貴重な煙草はパプア経由ではないだろうか。
探索不十分であったので、煙草植物はパプア高地で1回しか目撃していない。小さな葉の植物であったが、葉を噛むと真の煙草の味がしたことを思い出す。