薬剤師・医学博士が追い求めた「幻の赤い果実ブアメラ」の世界(第7回)
(第7回)ブアメラの新成分β-クリプトキサンチンの発見
ブアメラの効果
現在まで確認されているブアメラの病気の予防、改善、治療効果を下表にまとめてお示しします。
病気名
がん:肺がん、肝臓がん、食道がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん、
子宮頚部がん、乳がん、皮膚がん、神経芽細胞腫、白血病など
ウイルス性疾患:肝炎、肝硬変、HIV/AIDS、新型コロナウイルス感染症
生活習慣病:糖尿病、高血圧、脳卒中, 心臓・血管病、肥満
骨疾患:閉経後骨粗しょう症、リウマチ、関節炎、骨折
栄養障害:栄養失調、痩せ、夜盲症、母乳を介して赤ちゃんの栄養補給
皮膚疾患:にきび、肌あれ、脱毛、皮膚炎、メラニン色素沈着(美白作用)
その他:便秘、冷え性、スタミナ不足、免疫不全、
活性酸素による病気(抗酸化作用)
ブアメラは、様々な病気に対して効果を発揮します。
今後、飲用者が増えることによって新しい効能効果が発見されるでしょう。
本ブアメラシリーズでは、各病気への予防、改善、治癒効果を各論的に述べていきます。
β‐クリプトキサンチンの発見
2005年8月にインドネシア、パプア島高地でブアメラに出会い、赤い色素は何かと先ず考えるのは自然の事です。
ブアメラのオイル製造工程を見せていただき、その場で急ごしらえのアルコールで抽出実験を行ったり、組織検査用サンプルは特殊液で固定し、信州大学医学部病理学教室で標本にして組織観察も行いました。
日本に持ち帰ったブアメラオイルのサンプルは、母校の長崎大学薬学部の同窓生である中島憲一郎教授(前長崎大学副学長、前長崎国際大学学長、薬学部教授)にお願いして分析同定を行いました。
その結果ブアメラには4種類のカロテノイドが確認され、その一つがβ‐クリプトキサンチンでした。
インドネシアのみならず世界の研究者の誰ひとり報告していない。世界で最初の発見で、私たちは大きな喜びを感じたものです。
β‐クリプトキサンチンは、当時より肺がん予防あるいは治療に重要な微量栄養素であることが報告され、40数年来の愛煙家である著者にとっては、ノニジュースの効果と相乗作用が期待できるブアメラは、即座に研究対象にすることになったのです。
今なお、カロテノイドといえばβ-カロテンあるいはカロチンとどなたでもご存知ですが、β-カロテンは肺がん予防作用はないことが明かにされています。実は、肺がんリスクに関与しているのは、β‐クリプトキサンチンなのです。
以来、ノニとブアメラは著者のライフワークであり続け、中島教授の研究チームや武庫川女子大学薬学部などと共同研究を継続しています。
ノニは2000年より、ブアメラは2005年より毎日欠かさず飲むことにしています。不摂生な生活にも拘らず、いまだ健康を保つことができており、インドネシアの薬用植物の恩恵に大いに感謝しています。
なお、2008年のノーベル化学賞を受賞した下村侑教授は長崎大学薬学部出身。我々の誇りです。
β‐クリプトキサンチンの発見から
ブアメラオイル中のβ‐クリプトキサンチンを含むカロテノイド類の分析成績は学会報告のみならず、論文投稿も行いブアメラの稀少性、新規な栄養機能性健康食品の可能性を示しました。
(投稿論文:Mitsuhiro Wada, Kaori Fujimoto, Toshiaki Nishigaki, Erna Febriyante, Rie Ikeda and Kenichiro Nakashima. DETERMINAT10N OF α- ANDβ-CRYPTOXANTHINS, AND α- ANDβ-CAROTENS IN BUAH MERAH OIL BY HPLC-UV DETECTION. J Agro-Based Industry. 2013; 30(1):1-8)
ブアメラが微量栄養素の宝庫であることが確認されてから、インドネシア政府工業省研究所CABI(Center for Agro-Based Industry)とも共同研究開発に着手しました。
共同開発(MOU)や国連の生物多様性条約に基づく物質移転協定(MTA)を結び、ブアメラ本のインドネシア語版出版にも尽力を頂きました。
インドネシア大学医学部のイングリッド博士にはノニ研究に引き続きブアメラ研究に参画して頂き、インドネシアの国内や国際学会で共同発表を行い、大きな反響を得ました。
2007年には中島教授との共著のブアメラ本を出版し、2008年には長崎大学薬学部で確立したブアメラ中のカロテノイド分析方法を、当時の和田准教授(現九州保健福祉大学薬学部教授)よりCABIに技術移転して頂いた。
同時にCABIの研究者を大学に招聘し修士学位の教育も行うなど、二国間の国際協力に多大な貢献をして戴いています。
免疫腫瘍学で著明な広瀬国孝博士との共同研究によって、肺がんや胃がんの細胞増殖抑制作用を確認することができ、ブアメラが悪性腫瘍に対して有用で新しい栄養機能性食品であることを改めて確信しました。
ブアメラ会議
最初の10年間で忘れられないのは、広瀬博士の友人であるノルウェー大学皮膚科ラルセン教授を迎え、長崎大学、武庫川女子大学、CABI、インドネシア大学研究者などとの第1回国際ブアメラ会議を東京で開催できたことです。2011年5月のことでした。
以来2回、3回と小規模研究会を行い、にきびや発毛への効果を確認しました。ブアメラはEUでも期待される栄養補助食品です。