デジゲー博2021で買ったゲーム~『夜明けのスイッチをいれて』の凝縮された20分。プレイで感じた“切なさ”は一生心に残るかもしれない~
先日、デジゲー博2021で試遊したゲームについて8本の感想を載せましたが、今回はよじすぎさんのブース(B-04)で購入した『夜明けのスイッチをいれて』の感想を綴っていきます。
本作は、互いに鬱屈した心情を抱える2人の女子高校生たちが心通わせる深夜の交流、その刹那の物語を体験していくアドベンチャーゲームです。
20~30分(自分は20分ほど)でエンディングを迎えられるゲームである為、ボリュームは決して多くありません。エンディングは2種類ありますが、それでも1時間かからずに終わります。
けれど自分は、ゲームのラストを迎えた時、その短いプレイ時間でこんなにも激しく心揺さぶられるのかと逆に一種の感動と驚きを覚えました。
そして、繊細な曲調と歌声のエンディングテーマが、心に染み入るように入り込んできて、それがゲーム体験と1つに溶け合う感覚。切なさと、その中にあるほんのりと温かな気持ちに包まれて、ゲームを終えたしばらく後まで余韻に浸っていました。
その余韻から醒める時、プレイ時間が短かったからこそ逆に、一瞬の花火のような出来事だったゲーム体験に儚さすら覚えてしまう。
それが、最初の説明で“刹那”という言葉を選んだ理由でもあります。
有名ゲームメーカーの作品であれば、モノの善し悪しに関わらず、会社からも世間からも一定のボリュームが求められるでしょうから、本作のようなゲームには決して巡り会えないでしょう。
ですが、ゲームに暇つぶしを求めるか、何か心動かす体験を求めるか。それは人によっても、同じ人間でもその日の気分によって変わるもの。体験を求める場合は、時間に対してどれだけ密度の濃い満足感を得られるかが大事だと思います。
わずか20分のプレイ時間でも、ゲームで感じた心動かす体験は、もしかしたら一生心に残るかもしれない。ゲームにはいろいろな形とおもしろさがあっていい、それを改めて気づかせてくれる作品でした。