第47回「顧客本位の業務運営に関する原則」改訂案について(シリーズ2)

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今回は、2024年7月2日にパブコメに付された「顧客本位の業務運営に関する原則」改訂案(以下、「改訂案」)についてです。
このシリーズ第2回では、改訂の背景についてご説明致します。
この改訂の背景については、同日公表された、金融審議会 市場制度ワーキング・グループ報告書 ―プロダクトガバナンスの確立等に向けて―が詳細に述べています。
以下、そのポイントを抜粋させていただきます。
 
・金融庁においては、国民の安定的な資産形成を図るため、金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行う全ての金融事業者が、インベストメント・ チェーンにおけるそれぞれの役割を認識し、顧客本位の業務運営に努めることが重要との観点から、金融審議会市場ワーキング・グループの提言に基づき、 2017 年3月 30 日に「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下、「原則」)を策定した。また、2021 年1月 15 日には、「原則」の具体的内容の充実や金融事業者の取組みの「見える化」の促進などに関する同ワーキング・グループの提言を踏まえて、「原則」を改訂した。そして、これに基づき、金融事業者による顧客本位の業務運営に向けた取組みについて継続的にモニタリング等が実施されているところである。
・これまで各金融事業者の取組みにより、顧客本位の業務運営に向けた改善が図られてきているが、我が国においては、金融商品・サービスを提供する販売会社では、時として、収益獲得を最優先した顧客本位ではない販売行動が引き続き見受けられると指摘されている一方、資産運用会社についても、顧客の最善の利益に適った商品提供等を確保するためのガバナンス(プロダクトガバナンス)に 引き続き課題があることが指摘されている。
・資産運用会社は、国民の将来のための資金を託されるプロフェッショナルとして、明確な投資哲学の下、それぞれの特徴や個性を活かしながら創意工夫を重ね、国民の安定的な資産形成を果たしていくことが求められる。こうした重要な役割を遺憾なく発揮するためには、資産運用会社における適切な商品組成・提供・管理、透明性の確保等をより一層後押ししていく必要がある。あわせて、販売会社においても、資産運用会社と適切に連携し、製販全体として顧客にふさわしい商品が提供される態勢が確立されていくことが重要である。
・この点、(従来の(筆者追記))「原則」は、金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行う全ての金融事業者を対象としており、資産運用会社による適切な金融商品の組成・提供・管理、透明性を確保するためのプロダクトガバナンスについても、 顧客本位の業務運営を図る上で基本となるものであるため、「原則」の射程に含まれるものと考えられる。そこで、資産運用会社を含む金融商品の組成に携わる金融事業者(以下、「組成会社」)のプロダクトガバナンスの確立を後押ししていくため、「原則」の内容を基本とした上で、プロダクトガバナンスに関し、これを具体化し補充する原則(以下、「補充原則」)を追加するべきである。(下線筆者追記)
 
【所見】
我が国の金融商品は販売を担う側の主導により作られてきた歴史があり、それは時として「顧客本位」の観点とはややかけ離れたものであったと指摘され続けてきた。この度、顧客本位の業務運営に関する原則に「補充原則」が追加され、組成会社のプロダクトガバナンスにも重点が置かれることとなったことから、組成会社側の意識改革が望まれるところではある。しかし、つまるところ、運用する金融商品に資金を集めてくる販売部門が必須である枠組みの下では、両者のパワーバランスに変更を期待することは容易ではないだろう。
しかし、金融商品それ自体が足早にコモディティー化してきており、投資家一人ひとりの「金融リテラシー」も向上してきている現状を見据えると、そのパワーバランスはおのずと失われてしまうようにも思われてくる。
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以上

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