読書日記『上流思考』ダン・ヒース著
問題が起きれば解決する。
あたりまえのことだとして思考停止していていいのか?
とこの本では警鐘をならしています。
自分には関係ない?
私もそう思っていましたが、繰り返し対処するより根本的なシステムを適切に見直すことで、これほど無駄なくより良い状態を維持できるようになるとは驚きでした。
上流思考を妨げるものには、
① 問題盲
② 当事者意識の欠如
③ トンネリング
があります。
問題が常態化すると見えなくなります。システムの設計が間違っていると結果も間違うという大事なことに気がつかない状態が「問題盲」です。
問題を解決できる立場にある人が、それを解決するのは自分ではないと思ってしまう。残念な「当事者意識の欠如」です。
目の前の問題しか見えないのが「トンネリング」です。ただ、組織では「組織というものはそこで働く人たちに何をすべきかを示すためにある」ことからトンネルからの脱出は難しいとも。
問題を上流で解決してきた世界のリーダーたちの共通点から、上流リーダーに求められる問いが7つ挙げられています。
① しかるべき人たちをどうやってまとめるか
多様な人材を引きつけることがカギとなる
② 壊れたシステムをつくり変えるには?
システムが成功の確率を決める。
ならばよくできたシステムは上流介入となる。
③ テコの視点はどこにあるのか?
人はエビデンスより常識を根拠にすることがある。
どこに視点をもっていくかが重要。
④ 解決すべき問題の早期警鐘を得るにはどうするか?
早期警鐘が見えていなかった問題に気づかせてくれる。
⑤ 成否を正しく測るには?
下流活動が成功したかどうかはわかりやすい。
一方、上流活動は何をもって成功とするか、が難しい。
ここで陥りやすい罠として「幻の勝利」があります。
⑴ 指標の改善が取り組みの成果だと勘違いするケース
⑵ 短期指標は改善したが長期指標には近づいていないケース
⑶ 短期指標が目的にすりかわって本末転倒になるケース
⑥ 害をおよぼさないためには?
システムについて考えるときは、システム全体を俯瞰して考えることが必要。
知らないことがあれば学習し、問題を知るにはフィードバックが欠かせない。
⑦ 誰が「起こっていないこと」のためにお金を払うのか?
上流活動の成功は謙虚さを持てるかどうかにかかっている。
お金を出すポケットと見返りが必要な人のポケットをどう繋ぐか。
✅よく起こることは、目の前の問題だけに対処するのではなく、上流で解決した方がいい。
✅上流にあるシステムの設計が間違っていると、結果も間違ってしまう。
✅幻の勝利に惑わされないようにしよう。
以上のことを意識して上流活動をしていきましょう、という内容でした。
私は車で外出するのですが、車を降りるまではノーマスクでいることが多いのです。
降りる時に、「あ、マスク忘れた!」となり慌てて鞄の奥底に忍ばせてある布マスクで凌ぐことが何度もありました。マスクケースを持ち歩いても、その中のストックがなくなっていることもあって、この繰り返しってなんて無駄なんだろうと思っていました。
そこで、車に不織布マスクを箱で置いておく、という解決策に辿り着き、今はマスクを持ったかどうかを気にするストレスがなくなりました。これもちょっとした上流介入の問題解決だったのですね。
この本の事例のような、社会的、政治的に大きな問題でなくても身近な問題を考えるときに役に立ちそうだと感じました。