読書日記『LIMITLESS 超加速学習』ジム・クウィック著
著者は記憶力、脳の最適化、加速学習のエキスパートとして活躍しており、Podcastを使っている人ならKWIK BRAIN with Jim Kwik という番組のことを目にしたことがあるかもしれない。
実は、読む前のパラパラめくりではあまり期待できそうにないかもしれないと思った。目次を見ても、特に目新しい言葉はない。ただ、本がとても軽くて持ち運びが苦にならないという理由で今週の1冊とした。
ジムの訴えたいことは、記憶力に自信がないとか学習スピードが遅いといった自己評価は自分に制限をかけている、だからそのリミッターを外すことが必要不可欠であるということだ。その上で、効果的な学習方法を学習するといい、となる。
PART1 リミットレスへの冒険
PART1ではリミットレスな世界が自分を変えることを教えてくれる。印象深いのは、「1本のネジがすべてを変える」というエピソードだ。ある発電所ですべての運転が停止したとき、困り果てた所長は一番頼りになりそうな技術者を呼んで修理してもらう。技術者は一通り点検したのち、1本のネジを締めて元通りにし、1万ドルの請求をする。ネジはどんなにしたって1ドルだろうという所長の不満に対して、ネジ代が1ドルで、どのネジを回すか知っていることの報酬が9999ドルと切り返している。知っていること、つまり知識やスキルには価値があるということだ。
リミットレスになるには、マインドセット、モチベーション、メソッドの3つのMが重要になる。次のパートから詳しく解説されている。
PART2 リミットレス・マインドセット
リミット、限界を作って私たちの学びを阻むものは、固定観念と嘘(LIE)である。LIE:Limited Idea Entertained(制限された内心の考え)には思い当たることが多い。
LIE1 知能は固定的である
LIE2 人間は脳の10%しか使っていない
LIE3 間違いは失敗と同じ
LIE4 知識は力である
LIE5 新しいことを学ぶのは大変だ
LIE6 他人の批判は大事だ
LIE7 才能は生まれつきのものである
PART3 リミットレス・モチベーション
モチベーションが大事なのは多くの人が気づいていることだろう。それを高めたり維持するのが難しいのだ。ではどうすればいいか、のヒントを与えてくれている。
まずは「目的」を明らかにすること。なぜするのか、という問いをたて、「私は…」という言葉を発することで自分は何者か、を規定する。そして、自分の大事にしている「価値」が手段の価値(ミーンズバリュー)なのか目的の価値(エンドバリューなのかを見極めなければならない。目標と価値を一致させて、価値のために行動するのだ。
モチベーションは湧いたり湧かなかったりするものではない。
やるかやらないか、だ。
モチベーションとはプロセスであり戦略でもあるので自分で制御できるのだ!
モチベーション = 目的 × エネルギー × S3
S3:Small Simple Step
その先にフロー状態に達することができる。
PART4 リミットレス・メソッド
いよいよ学び方についての解説だが、わりと知っていることが多かった(もちろん知っていることと実践できているかどうかは別のことだが)。
学習を阻む敵は多い。できるだけ避けるほうがいい。
記憶力を高めるには「MOM」という方法を伝授してくれている。
M:Motivation(動機づけ)
O:Cbservation(注意)
M:Method(方法)
マルチタスクの弊害についても述べられている。ひとつのことに集中するのがよさそうだ。
そして、読書については極めて重要。であるからこそ読める速度を上げたほうがいいと説いている。自分としてはこんな分厚い本を1週間で読んだのだから大満足なのだが、もっと貪欲になったほうがいいかもしれない。
冒頭でPodcastの紹介をしたが、Mindvalley というe-ラーニングサービスの中にもジム・クウィックのコンテンツがあるので試してみるのもいいかもしれない。こんな素材を無料で提供しているとはなんともうらやましい限りである。